121.職業と農地改革
Twitterにて、「余命半年のフライング開拓~来世の俺のために神の力で全力チート村づくり~」の挿絵(主人公イメージ画)をUPしました。
読者の皆さんの個々のイメージがあると思いますので、なろう本編にあげる予定はありません。
見てやっても良いよという方は、下記のTwitterアカウントよりご覧ください。
アカウント名:きくらげ@小説家になろう(https://twitter.com/kikuragenarou)
職業を決める、ということで、今の状況を整理してみる。
【人族】
俺:村長。外交や『賢者の書』を使っての技術指導など
ロベルトさん:副村長と畑全体の管理
マリアさん:食堂で料理
テレサ:機織り小屋で布や服作り
セシル:皮の加工の手伝い
フランカ:精霊やシルキィたちの通訳
【鬼人族】
ガルク:狩りと護衛、採掘。以下鬼人族の男性は同じ
エルヴィラ:食堂で料理。肉切り担当
ビオラ:皮の加工。衣服や小物づくり
ナディア:皮の加工。衣服や小物づくり
ゼノ:周辺の探索。地図製作
【エルフ族】
オリバー:エルフのまとめ役。みんなの研究のとりまとめ
サラ:秘書。記録係
あとは研究所ごとのグループで、
魔法研究:四人
魔法薬研究:四人
発明(魔法道具):三人
発明(魔導ゴーレム):四人
発酵(調味料関連):三人
発酵(酒造):二人
繊維研究:二人
精油・石鹸:二人
その他:十四人
【ドワーフ族】
ジークベルト:工芸、道具作り
ヴォルフラム:金属加工、道具作り
バルタザール:魔導コンロ、武器、道具作り
グレゴール:彫金、宝飾品づくり
ゲオルグ:採掘
ヴェンデリン以下五人:彫刻、採掘
【ノーム】
トウリョウ:ノームたちのまとめ役
赤帽子隊:建築
青帽子隊:建築
黄帽子隊:建築
緑帽子隊:家具づくり
桃帽子隊:資材加工
橙帽子隊:レンガ製造
【オンディーヌ】
畑の水やり:八人
ため池・排水の浄化作業:三人
【シルフ】
洗濯乾燥:一~三人
物資の運搬:六~十人
風移動補助(村長・ゼノ):二人
【龍とライア】
アヤナミ:料理、村長の護衛・サポート
シリウス:村長の護衛・サポート
ライア:全体の見守り
大体こんなところか。
これに加えて、空いた時間は皆で畑に行って農作業をしている。というか収穫期は農作業がメインで空いた時間にそれぞれの仕事をする感じだ。
ぶっちゃけ今も人手が足りていないところがいくつもある。
具体的には料理とか酒造りとか石鹸作りとか。逆にシルクや皮は余り気味で倉庫の肥やしと化している。
需要と供給が合っていないんだよな。
村人が約百人も増えたということで、そのあたりに割り振って何とかして行こう。
まずは農地の割り振りについて。
畑を開拓し始めた時から、同じくらいの大きさで区画を作ってある。
これまでは何となく手が必要なところにそれぞれが作業に入る感じだったが、区画ごとに担当を決めよう。
領内の土地は領主の物、というのがこの世界の基本らしいので、一応俺が村人に貸し出しているという体を取り、村人たちに農地を与える。農民は与えられた農地を世話して、作物を育てていく。税もこの農地の収穫量をもとに取っていく。
村人も増えたし、種類や畑の規模も拡大する予定だ。
商店・工房・研究所は基本的に今まで通りの人間にやってもらう。
ただしこれからは「仕入れ」というものも頭に入れること。作りたいものを作りたいだけ作ると、材料費が嵩んで生活が回らなくなるから注意だ。
それと、工房や研究所にも農地を割り当てておく。日替わり交代で世話をし、それ以外の時間は研究などに。
専業農家の人たちと違って何人かで一区画を割り当てる予定だから負担はそんなに増えないと思う。
あと、なるべく研究などに関わりのある花や薬草類の畑を割り振る。モチベーションのアップにもつながるだろう。
毎日忙しい食堂はさすがに免除で。
鉱山資源は農地と同じく、採取量の四割は税として納めてもらい、あとは村人たちで売り買いしてもらう。
村の中では高級な道具や雑貨、薬などはあんまり売れないと思うので、しばらくは俺が買い取ってオルディス商会などに持って行ってもらう予定だ。
建設予定の公衆浴場と学校、いわゆる公共施設は、管理人には俺から給与をだす。つまるところ公務員だな。
こんな感じで話し合いは進んで行った。
一から経済活動を取り入れるということで不安そうな者もいたが、不安なのはみんな一緒だ。少しずつ試行錯誤しながら乗り越えていこう。
あとは、移住してきた者の仕事や割り振りについて。
ここからは長老とババ様が自分たちの種族について話してくれた。
コボルト族は、森の中で獣を狩って生計を立てる狩猟民族だ。大型の獣は勿論、オークくらいなら頑張れば一人で倒せるとのこと。
ロベルトさん曰くオークはDランクの魔物なので、オルトロスよりも少し弱いくらいだ。
おおう、結構みんな強いんだな。
狩猟以外には毛皮をはいで加工したり、蔓で小物を作ったり。嗅覚や聴覚に長けているので護衛でも役に立てるはずだという。
毛皮の加工や蔓細工も自作しているあたり、手先もかなり器用そうだ。
ケットシー族は、なんと言っても魔法が使えることが特徴だ。小柄で力は強くないし、身体能力はコボルト族には劣るが魔法を使った攻撃や罠などで小動物を狩って暮らしている。
また、薬草やハーブなどに詳しく、特に植物や鉱物を用いた染料は人間にも売れるとか。そして驚くべきことに、漆加工を習得していた。やっぱりあれは漆だったのか。かなり手先が器用で頭がいい種族だということがわかる。
それぞれの特徴を聞いてみんなで話し合った結果、コボルト族の男性を護衛と狩り斑、鉱山採掘に、女性の数人を毛皮加工や衣服づくり、蔓細工工房に。ケットシー族は染料と漆の工房、そしてエルフたちの研究所の助手に何人かいってもらうことになった。
それ以外の者は畑仕事に割り振ることにする。
また、様子を見て他のところに行ってもらったり、新たな仕事をお願いするかもしれない。
「ここへきて庇護を受ける以上、領主様の言うことが絶対ニャ。我々は従うのみニャ。」
「領主様に忠誠を捧げますワン。」
よし、決まったな。
最後に、探索とマッピング担当のゼノは解任。これからは学校で学んでもらう。
後任にはコボルト族から二人ほど選定。身体能力的にも鬼人に近いし、大丈夫だろう。もともと森に棲んでいた種族だしな。
「あの、学校で勉強ができるのは嬉しいんですが、”風移動”が問題かも……。」
「”風移動”?」
ゼノによると、近隣の探索はほとんど終了し、最近は東の海に向かってどんどん足を延ばしているところだとか。そしてその移動にはシルフの”風移動”を使っているらしい。
なるほど。そうするとコボルト族の脚では到底同じようにはできないというわけか。
でも、仕事を理由に学ぶ機会を奪ってしまうのは申し訳ない。こんなに頭のいい子なんだから、しっかり学んで大人になってからその力を存分に生かしてほしい。
「わかった。じゃあ、学校ができるまでの間、ゼノは後任のコボルトたちに”風移動”を教えてよ。」
「僕がですか?」
「そ。ゼノが先生だ。ゼノの地図はすごく役に立ってるし、これからも大事になってくると思う。それを途切れさせないためにも、頼むよ。」
「……わかりました。精一杯務めを果たします!」
生徒になる前に先生になるなんておかしなところではあるが、重要任務を任されたゼノはやる気に満ち溢れている。
こうして改革の春に向けての村民会議は幕を閉じた。