表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/246

120.移住と村民会議

活動報告にも書きましたが、今更ですがTwitter始めました。

更新のお知らせやその他ぽつぽつと呟きます。そこまで頻度は高くないです。

良かったらフォローしてくださると小躍りして喜びます!


アカウント名:きくらげ@小説家になろう(https://twitter.com/kikuragenarou)

よろしくお願いします!


 冬場はノームたちに頑張ってもらった。

 コボルト族とケットシー族の長に書いてもらった戸籍を元に、新たな住居を建築。

 寒いだろうに申し訳ない。


「ノームも魔法が使えますから、魔法で暖かくしているはずです。」


 ライアに言われて確かに、と思った。

 曲がりなりにも下級精霊だ。変な心配はせず、お任せしよう。

 そして十数軒の家々が冬の間に出来上がった。上下水道完備の二階建て。

 春からコツコツと上下水道の整備に取り組み、この冬の間に村のすべての施設に上下水道が完備された。

 さすがの仕事ぶりだ。

 温かいジャガイモのポタージュで労う。


 そして雪が融け、寒さもいくらか和らいだ頃、コボルト族とケットシー族の集団がそれぞれやってきた。


「お久しぶりだワン!」

「これからお世話になりますニャ。」

「久しぶり、その様子を見ると冬も無事乗り越えられたみたいだな。」


 挨拶もそこそこに、エルフたちに住居に案内してもらう。

 ノームの姿を見て「ここにもノームがいるニャン。」と言っていた。


「ここにもってことは、ケットシー族の村にもいたのか?」

「ノームは森の至る所にいますニャン。まあいうなればご近所さんみたいなものニャ。たまに助けてくれる良い小人たちですニャン。」


 ふむ。精霊たちとも上手くやって行けそうだな。

 家族ごとにあてがわれた家に入る。「こんな立派な家をタダでもらえるなんて……ありえないワン……」と驚きっぱなしだったが、ここではそれがスタンダードだ。お礼はノームたちによく言っておいてくれ。

 その他生活についてのあれこれは、テレサやマリアさんを中心にみんなが世話を焼いてくれていた。

 子どもたちも「毛がふわふわだー」「よろしくね!」と早速交流していた。

 うん、みんなともうまくやっていけそうで一安心。






 春目前なので、毎回恒例の村民会議。

 今回はコボルト族の長老とコーディ、ケットシー族のババ様とミケにも参加してもらった。


 食料の在庫報告など、毎回のルーティンを一通り終え、ここからは新しい議題。

 この春、大きな議題の一つ。

 それは公衆浴場と学校の設立だ。


「公衆浴場?」

「学校!?」


 驚きの声が口々に上がる。でもこれは、ずっと前から考えていたことだ。


「コボルト族とケットシー族もやってきて、子どもの数が増えるだろ?冬季学校だけじゃ賄えないと思って。それに、教育は大事だ。子どもの頃に教育を受けているかどうかで将来の選択肢がグッと変わる。村出身のみんななら分かるだろ?」


 辺境の農村で生まれ育ったロベルトさんたちや、鬼人族の村で狩りをしていたガルクが、「確かに」と頷く。

 うん、だからこそ、子どもには「仕事」ではなく「勉強」をさせたい。


 他のみんなも納得してくれた。


 次に公衆浴場は、単純に人数が増えて今の風呂場が窮屈になったから。

 いっそ立派なものに立て替えて毎日風呂に入れるようにしたらいいんじゃない?ということで。


 これも満場一致で賛成。


 建築チームが大忙しになるけど、とりあえずは公衆浴場と学校の建設。

 デザインや欲しい機能などはあとでトウリョウと話し合う予定。トウリョウも大きく頷いてくれた。よっ、いぶし銀!


 そしてもう一つの大きな議題。それは


「この村に、経済活動を取り入れたいと思うんだ。」

「経済活動?」

「そう、ドワーフや人間の町と交易するようになって、金が溜まってくるだろ?それを村の中でも回したいと思って。」


 今は魔法袋の賃貸料で経済ごっこをしているだけだからな。ちゃんとしたものとして発展させたい。

 具体的には、今やっている各々の仕事を「職業」として固定する。

 最初に俺からいくらかずつみんなにお金を支給する。

 みんなは、例えば小麦農家のロベルトさんがテレサの服を買いたいと思ったら、お金を払って買う。テレサは綿農家から綿花を買って、それで布や服を作って売る。

 マリアさんの食堂も、材料を各農家や店から買って料理を作る。そしてそれを商品として提供。

 こんな感じで少しずつ金の流れを作っていきたい。


「税金はどうする?元々土地とは領主様のものじゃ。税を納めねば村としても立ち行かんしな。」

「農家は収穫量の二割、商店や工房は売上や製造量の二割でどうかな?あとは人頭税か。」

「二割じゃと?安すぎじゃよ。さすがに少なすぎても不安になるのう。」

「優遇してくれるのは有難いけど、あまり村人を優遇しすぎると領主様が舐められますニャ。」

 

 なんでもこの世界は五割六割が普通で、場所によっては七割八割取るところもあるとか。八割税って、どんだけの暴利だよ……。

 色々話し合った結果、四割という形に落ち着いた。

 俺は別に贅沢したい訳じゃないし、貴族がするパーティーなんかも開かない。宝石とかもそんなに興味無いし、それで十分。

 収穫祭や宴会なんかは税金から賄えるだろう。

 

 ちなみにこの世界は脱税や横領が日常茶飯事らしく、刑罰もどんどん厳しくなっているとか。

 脱税は死罪や奴隷落ちという街もあるらしい。


「さすがに死罪はちょっと……」

「でも何らかの罰はあった方がいいと思うわよ。」

「起きてからの対処では遅いですしね。」

「この村にそんな人はいないと信じたいですけどね。」

「……じゃあ、村から追放で!」

「「「「「えっ」」」」」


 え、なんでそんな血の気が引いた顔してんの?

 死罪や奴隷落ちよりはマシでしょ?


「そ、そうじゃな。そのくらい厳しい方が良いかもしれん。」

「この村を追放って、天国から突き落とされるようなものよね……」

「村の外は危険もたくさんだしねぇ。」

「さすが村長、血も涙もないご判断です!」

「まともな頭があれば、脱税しようなんて愚か者は現れませんね。」

「世界樹の加護を受けられなくなるのは痛いワン。」

「これだけ快適に過ごせておいて、追放……ある意味死ぬより辛いかもニャ。」


……そんな厳しい処罰だった?

みんなにとってこの村は一体……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ