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119.提案

本日、この「余命半年のフライング開拓〜来世の俺の為に神の力で全力チート村づくり〜」が12万PVを突破しました!

これもひとえにお付き合いくださる皆様のおかげです。

これからも頑張りますので、何卒よろしくお願いします!!

「この村は最高だワン!」


 プラムジュースを飲みながらそう言ってくれるのは、コボルト族の商隊の隊長を務めるコボルトだ。確か、コーディと言っていたっけ。

 

「食べ物も美味しいし、ぜひまた取引したいニャ。」


 そう続くのは、ケットシー商隊の隊長を務める、確か、ミケと言ったな。

 そう言ってくれるのは俺としても嬉しいよ。

 カーバンクルの毛皮や染料など、有用なものはたくさんあったからね。

 村のみんなも同じ気持ちのようだ。


「我々もぜひまた取引したいです。」

「また良いハーブがあったら持ってきてください。」

「私達ももっと素敵な服を用意しておくわね。」

「今度は新しい作物も試してみてください。」


 村人が口々に言い、料理や果物を勧める。


「ここの村人は良い人だワン。」

「人間はワタシたちを見ると攻撃してくるから、怖い種族だと思ってたニャン。」

「人間は攻撃的ニャ。ここの人たちが特別親切なんだニャ。」

「ワオン。その通り!でも、こんなにいい人達だったら安心して交流できるワン。」

「広場に世界樹があったのも驚きニャ。道理で最近森が豊かになったと思ったのニャ。」

「そうだワン、いろんな種族が一緒に暮らしているのも不思議だワン。ここは森の中でも天国みたいな場所だワン。」

「はぁ~、もういっそ、この村の近くに引っ越してきたいくらいだワン……。」


 口々に言うコボルト族とケットシー族に、「あら、だったら……」とテレサが続ける。


「だったら、この村に越してくればいいんじゃない?」

「確かに、ここで毛皮などをとってくれたら我々も助かります。」

「ハーブや染料も手に入りやすくなりますね。」

「あの籠や食器も珍しくて興味深いです。」

「人手はいくらあっても足りません!」

「本当ワン?受け入れてくれるワン?」

「もちろんです!村長、どうですか?いいと思うんですが……」

「え、あ、うん。そうだな。」


 俺も人手は欲しいと思ってたところだし、別にいいと思う。

 人間の移住者を想定してたけれど、こんだけの人外種族が暮らしてて今更種族云々というのも馬鹿馬鹿しいか。


「ちょっと待つニャ!!」


 声をあげたのはミケだった。


「盛り上がっているところ悪いけど、ワタシは……うちの村はちょっと考えさせて貰うニャ。ババ様にも相談しニャきゃならニャいし、うかつに答えは出せニャいニャ。……この村が気に入らニャいわけではないニャ。」


 水を差したと思ったのか、最後にちょこっとフォローを入れてくれるミケ。

 ミケの意見を聞いて少し落ち着いたのか、コーディも「そうだな。」と頷く。


「うちの村も長に確認する必要があるワン。さすがに村のこれからに関することをオレ一人では決められないワン。領主様、どうか改めて話し合う場を設けてほしいワン。」

「ああ、それは勿論だよ。俺もこの場の勢いで決めるのは良くないと思う。どちらの村も、一度帰って長に報告してくれ。それで今度改めて話そう。」

「ありがとうございますニャ。そうさせてもらうニャ。」

「早速、村に帰って報告だワン!」


 というわけで、コボルト族とケットシー族の移住提案という案件も引っ提げ、両者は帰っていった。

 

 うちの村でも村民会議が行われた。

 冬目前の移住。

 今の村の状況。

 物資の余剰、住居のこと、仕事の割り振り。

 そして、移住自体をどう思うかについて。


「移住自体はいいと思うわ。」

「そうですね、我々が今まで手にし得なかった物資が手に入るというのは大きいです。」

「食料も今は売るほどあるからのう。冬場に人が増えても困ることはないじゃろう。」

「ケットシーは魔法が使えるのであれば、研究所での助手としてもいいかもしれません。」

「コボルト族は身体能力も高そうですし、狩りと護衛で活躍しそうですね。」


 どうやら彼らを受け入れることについてはみんな賛成のようだ。

 問題は


「住居だよな。冬場に家がないのは可哀想だし。」

「コボルト族やケットシー族は、一体何人くらいなんでしょう?」

「どんな家に住んでいるのかも気になりますね、私たちと同じで良いんでしょうか?」

「彼らの要望もあるでしょうしね。」

「こればっかりは、本人に聞いてみないと分からないな。今度代表者と話し合う時に聞いてみるよ。」





 後日、コボルト族とケットシー族が再びやってきた。コーディとミケだけかと思ったら、なんとそれぞれの村の長が直接やってきた。

 どちらもかなりのご年配だ。

 「長老」と呼ばれるコボルト族の長は、「コボルトキング」というコボルトの上位種らしい。

 「ババ様」と呼ばれるケットシー族の長は、ケットシーの進化種族「猫又」らしい。確かにしっぽは二つあった。



 早速屋敷の会議室へ。

 うちの村からは俺と副村長のロベルトさんの二人が会議に参加する。

 ちなみにシリウスとアヤナミは当然の様に俺の後ろに控えている。

 

 まずは単刀直入に聞いてみた。

 うちの村に移住することについて、どう思っているのか。

 長老もババ様も口を揃えて「賛成だ」と言ってくれた。むしろ願ってもないことであると。

 森の種族にとって、世界樹の根元で暮らしその庇護を得ることができるというのは、人間が楽園で暮らすようなもんらしい。

 一族は安泰、繁栄の一途。断る理由が無いんだと。

 領主が人間ということが気になったが、商隊の報告と他種族が共生しているということから鑑みて善良で安全な人間だと判断してくれたらしい。


 じゃあ、決まりだな。

 コボルト族とケットシー族はうちで受け入れる。

 ここからは具体的な話だ。


 まずは住居。ぶっちゃけこれから大急ぎで作るから、家族構成とか、何棟いるとかの情報が必要なんだよね。

 村の人口ってそれぞれどれくらいなんだ?


 聞いてみたら、コボルト族が五十人、うち子供が九人。ケットシー族は四十九人、うち子供が七人。

 どちらも大家族で、二世帯三世帯が一緒に暮らすのが当たり前らしい。

 なるほど、それなら思ったより家の数は少なくて済みそうだな。一つ一つを大きめにすれば良さそうだ。


 長老もババ様も字が書けるということなので、戸籍を書いてもらった。

 結構な年に見えるが、村人の名前から年齢、家族構成など全てが頭に入っているらしい。

 すごいな。村の長としては完全に負けている。俺も名前や子供たちの年齢くらいは覚えているけどね。

 大人たちの年齢は幅が広すぎて諦めた。三桁はさすがに無理。エルフたちも自分の年齢についてはあまり気にしてなさそうだったし。


 移住時期だが、やはり冬があけてからにした。

 冬場に拠点もなく移動生活というのはかなりきついし、来ても家がなかったら可哀想だしね。

 春になるまでに住居を完成させておくから、春になったら移動を始めることに。


 その他要望や気になることをどんどん述べていく。

 食べ物は問題ない。むしろ村の作物が美味しかったので期待している。

 家に関してはコボルト族は暑いのが苦手でコボルト族の村も風通しのいい作りになっているとか。さすがに冬場は木の板や皮で機密性をあげるらしいけど。

 逆にケットシー族は寒いのが苦手、断熱をしっかりした家を作っているとの事。

 断熱とはハイテクだなと思ったら、自分たちの魔法で温めているだけだと言った。それでも十分すごいけどな。

 ま、住居に関してはノームたちが素晴らしい家を作ってくれるだろう。

 今の家も気密性に優れ、夏は涼しく冬暖かい。それでも足りない場合は魔法で何とかしよう。


 衣食住の衣もまあ問題なさそうだ。

 コボルト族はコーディを見る限り革鎧っぽいものを着ているし、ミケたちは色鮮やかなマントを羽織っている。

 うん、このくらいなら村でも作れるだろう。

 それぞれの村で作ってたってことはテレサたちに全部任せる必要もなさそうだし。

 消耗品って訳でもないから数を揃えるのも時間はかからないかも。


 その後も細々したことを話し合い、無事に移住計画についてはまとまった。

 あとはみんなが無事に冬を越してここに来てくれるのを待つばかり。

 一気に約百人もの村人が増えた。賑やかになる予感。


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