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116.大金をゲットした

 応接室を出て、広い玄関ホールへ。

 そこに横たわるのは、”アレ”こと、キメラの死体。それが二体。

 魔王から贈られたものだ。


 ヘイディスさんはしばらくの間固まっていた。


「キメラと戦って勝ったのですか?しかも二体相手に……?」

「いやぁ、まあ、ははは……」

「失礼しました。龍族の方がおられるんですから、キメラごとき当然ですよね。……ははは、キメラごとき……」


 遠い目をしないでいただきたい。


「それで、買っていただけますか?」

「当然です。キメラは皮や肉は勿論、血から内臓から牙から尾から……とにかくありとあらゆる部位が役に立つのです。」

「そうなんですか?」

「はい、武器や防具に使ったり、薬に使ったり、あとは高度な魔術を使う際の媒体として使用されたりですね。」

「へぇ、じゃ、とりあえず全部買取で!」

「よろしいのですか?キメラを狩るなど相当な功績、頭や牙を記念品として取っておかなくても?」

「別にそこまで特別思い入れもないし……」


 あ、でも一応魔王からの贈り物だから、一部を飾って大事にしてるアピールをした方がいいのかな?

 さすがに「全部売り払った」なんて向こうに知られたら心証が悪いし。


「あ、じゃあ、一頭分の頭だけ残して、あとは買取で……」

「かしこまりました。では、ここでは解体できませんので、外に……」

 

 ヘイディスさんに促され外に出たはいいが、当のヘイディスさんは「しまった!」と言って眉をしかめ考え込んでいる。

 何か問題でもあったのだろうか。

 あ、もしかして解体用のナイフを忘れたとか?

 それならうちのナイフを貸すよ。ドワーフ製だから品質は折り紙付きだ。


「どうしました?ヘイディスさん。」

「ケイさん、外まで連れ出して申し訳ない!このキメラ、いったん丸ごと預けてもらえませんか?」

「え?別にいいですけど。」

「というのもですね……」


 ヘイディスさんが言うには、キメラは血の一滴でさえも有用な上、なかなか手に入らない希少生物。当然少しでも無駄のないように解体しなければならない。

 この村には場所とナイフがあっても、流れる血を集めて瓶詰する道具がないというのだ。ついでに他の解体の専門器具も。

 うちにあるのはあくまで肉と皮をゲットするための解体用具だからな。捨てる部分をかき集めて保管できるような設備はない。

 というわけで、専門の設備があるキークスに持っていくということだった。ついでに頭を剥製にするならその処理もしてくれるらしい。

 次に来た時に頭の剥製を持ってくるということで話がまとまった。お手数おかけして申し訳ない。


 ま、とりあえず買取品は全て決まったということで再び応接室へ。










「こちらが今回の買取金額です。ご確認をお願いします。」


 丁寧に積まれた金貨のタワーを一緒に数えていく。よし、まちがいないな。

 大量の作物には高めの上乗せ金額をつけてくれたし、エルフの薬と世界樹の”フルポーション”、そしてキメラの買取で、トータルですごい金額になっている。


「はい、金貨6411枚。確かにお受けしました。」


 俺は金貨を鞄にしまう。おおう、手が震えるぜ。

 ちなみにキメラの買取りだけで金貨三千枚以上になった。


「あ、そうだ。ここから『転移の水盆』の代金を払いたいんですけど。」

「ああ、もちろんいいですよ!でしたら契約書と貸付票をご準備しますね。」


 前回、『転移の水盆』を買うときにお金が足りなくて分割払いにしたんだった。

 ちょうどまとまったお金もあるし、さっさと返してしまおう。借金なんて無いに越したことはないしね。

 前回は半分の金貨千枚を払ったから、残り千枚を払ってしまう。


「……はい!確かに!お支払い有難うございました。」

「あれ、本当に便利ですね。高いなと思ったけれど、買ってよかったです。」

「こちらこそ、お買い上げいただき有難うございました。あれ、本来はギルドや大店の店向きで、一個人で買っていかれたのはケイさんくらいですよ。」

「そうなんですか。」

「手紙に金貨四千枚も払える人は少ないですからねぇ。」


 そうなのか。でも手紙が届く日数を考えると、投資としては悪くないと思うけどな。


「では、今度はこちらのお品物を出しますね。お手紙にあった通り魔法袋を各種ご用意しました。」


 そういってテーブルにいそいそと商品を並べ始める。

 しばらくすると、魔法袋が大中小とずらりと並んだ。鞄タイプの物もある。

 俺が買おうとしているのは村用の魔法袋だ。俺の鞄のように手の込んだつくりをしていると高くなるけど、ただの魔法袋単体ならもう少し値を抑えることができる。

 最初は一人一つ……なんてことも考えたが、こんな村の村人が全員魔法袋を持ってるなんておかしいかと思ってやめた。全員が持っていても使い道がないんじゃしょうがないしね。

 というわけで、これは村長である俺が所有し、必要に応じて――例えば収穫の時や狩りに行く時などに貸し出すことにしよう。魔法袋自体が高額だから少しずつお金を取ってね。所謂賃貸料という奴だ。しばらくすればもともとれるだろう。

 あれ、あんまり賃貸料高くするつもりないんだけど、もと、取れるよな……?


 大きさや数などあれこれ悩んだ結果、大中小合わせて三十枚の魔法袋を買った。結構な金額になったけど、こっちにはさっきのお金は勿論、ドワーフの里から受け取った金がたまっているからな。難なく支払うことができたよ。


 他には、魔物除け効果のある鈴をいくつか買っておいた。

 森で探索や食料を調達している時に襲われたりしたら大変だからな。

 鬼人たちは強いが、だからと言って襲われていいわけではない。それに鬼人以外のみんなも自由に森に入れるようになった方が便利だし。

 ただすべての魔物を除けるわけではないとのこと。具体的には魔物除けの効果よりも強いやつとか。

 まるっと安心して森を歩けるわけではなさそうだな。ま、気休めがあるだけで十分だろう。

 


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