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111/246

111.馴染んだらしい

日間ファンタジーBEST300、256位にランクインしました。

好き勝手書いてきた作品がランクインして自分でもびっくりです!

これもお付き合いくださる皆様のおかげです。

ありがとうございます!!

 みんなのやる気がアップして、俺のやる気もアップしている。

 ということで今日は魔法の練習。


 シリウス先生についてもらいながらさらなる魔法技術の底上げを図る。

 身体中に魔力を巡らせて……心を落ち着けて、

土壁(アースウォール)!」


 ズザザザッ


 一メートル四方くらいの土でできた壁が俺の目の前にそり立った。一発目にしては良い出来じゃないか?

 次はもっと大きく……


土壁(アースウォール)!」「土壁(アースウォール)!」「土壁(アースウォール)!」


 最終的に、三メートル四方くらいの壁は作れるようになった。

 壁を元に戻すのも時間はかかるが自力でできる。


「かなり上達しましたね。」

「なんだか魔法が使いやすくなった気がするな。」

「おそらく、慣れてきたのでしょう。」

「そんなもんかな。次は……『水刃(ウォータースラッシュ)!』」


 水の塊が鎌のようにしなり、鋭く切りつける。

 といっても鋭さが足りないのか樹の幹に傷がつくことはなかった。


水刃(ウォータースラッシュ)!」「水刃(ウォータースラッシュ)!」「水刃(ウォータースラッシュ)!!」


 しばらく練習しているとかなり深くえぐることができるようになった。

 目標はスパンッと切り倒せるようになることだ。これはまだまだ練習あるのみだな。


「次は――」

「ケイ様は、物質を生成することには興味はないですか?」

「へ?」

「以前申し上げましたように、私は地龍です。大地の系譜は物を一から作り上げる”構築”の力を司ります。」

「ああ、たしかシリウスが”構築”で、アヤナミは”癒し”なんだよな。」

「はい、ですので主であるケイ様もその力を使うことができるのですよ。」

「へぇ、例えば、どんな風にするんだ?」

「例えば……」


 シリウスが俺に手を差し伸べる。そしてその掌の上に金の塊が出現した。

 

 「これって……」

 「御覧のように、任意の物質を生成することができるのですよ。」


 シリウスがふっと口角をあげる。

 まじかこいつ、金を作り出した。

 無から金を作り出すなんて、ファンタジーの錬金術師じゃないか。

 そんなチート魔法が使えるようになるのか。


「手のひらを上に、生成するものをよくイメージしてください。」

「――『金生成(クリエイトゴールド)』!」


 

 何度か試してみると、豆粒大ではあるが金を作り出すことができた。

 魔力だけで金を作り放題って、そんなのありかよ。……この先、俺が金欠に困ることはなくなったな。

 他にも、銀、銅、鉄などいろいろ試してみたが、ちゃんと作ることができた。

 ただ、よく知らない物質はダメだった。生成するときのイメージの鮮明さが重要らしい。

 あと、植物はいけたけど動物は無理だった。あくまで「モノ」を生成するのであって「生物」を生み出すことは不可能らしい。

 生物を作り出すのは「上位精霊と神の特権」だそうだ。


「それにしても、なんか魔法の練習しても全然疲れなくなったな。」


 かれこれ二時間は魔法を使い続けている。以前なら休憩を挟まないと集中力がもたなかったはずなんだけど。


「それも慣れでしょうね。」

「慣れというには、変化が速いというか……」

「失礼しました。”慣れた”というよりは、”馴染んだ”が正しいですね。」

「馴染んだ?」

「はい。」


 シリウスが言うには、俺が魔法を使うときはシリウスやアヤナミの魔力を借りている。もちろん体内に巡っているのも二人の魔力だ。他人の魔力を使うわけだから、当然自分の物よりは扱いづらい。それが時間と共に俺の身体に徐々に馴染んで、一体化してきたらしい。だから以前よりも魔法を使いやすいし、無駄な労力を使わなくていい分疲れにくくなったということだ。


「そういう仕組みだったのか。全然知らなかった。」

「他人の魔力を借りる、まして龍の魔力を借りる者など、ケイ様の他にはいませんのでご存じないのは当然でございます。」

「二人は何ともないんだよな?」

「はい、全く問題ありません。」

「龍の魔力を使い放題なんだから、もっと馴染んだらすごい魔法が放てそうだな。」

「魔力コントロールが上達すれば、体内の魔力を一点に放出するだけでかなりのパワーが見込まれますよ。」

「なんかかっこいいな。」

「それと、ケイ様は魔法を使う時のみ魔力を巡らせているようですが、常に巡らせておけばここぞという時にスムーズに魔法を使うことができますよ。」

「ああ、確かに。よし、じゃあこれからは常に体内に魔力を巡らせておくことにしよう。」

「意識せずともそれができるほどのレベルになれば、もっと高度な魔法も使えます。」

「その時はまた教えてくれよ?」

「主の命とあらばいつでも。」


 シリウスがにっこりと微笑む。

 よし、当分は魔法の練習に加えて、常に魔力を巡らせる訓練だな。目標は無意識にそれができるようになることだ。





 ――――――――――――――




「そういえばシリウスさん。」

「なんでしょうか、アヤナミさん。」

「どうしてケイ様は普通に生きているんでしょうか?」

「と、言いますと?」

「主とはいえ、龍の一族程の魔力を体内に宿して耐えられる人間なんて聞いたことがありません。しかも私だけでなくシリウスさんの魔力まであるのに……」

「確かに、普通は器が持たずに霧散してしまいますね。」

「人間とは不思議ですね……いえ、ケイ様が不思議なお方ですね……」

「我々の魔力も順調に馴染んでおりますし、ご本人は気付いておられませんが、あれほどの魔力に耐えられるならどんな魔法攻撃も吸収して無力化してしまいますね。」

「ですね、本当は魔王を恐れる心配もないのですけど。」

「まあ、我々は黙って見守っておきましょう。」

「そうですね。」




ケイ、いつの間にか魔法攻撃無効のスキルゲット(本人は知らない)


ケイもそこそこの魔法の使い手なんですが、見せ場が分からない……。

ケイが活躍する日は来るのでしょうか……。

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