6 况乃さんの意外な一面
「フン、それくらい、私がやってあげるわよ」
と声を上げたのは、いつの間にかここに現れた况乃さんだった。
その意外な言葉に、私は思わず目を丸くして尋ねた。
「况乃さん、ぬいぐるみの首を縫い合わせたりできるんですか?」
それに対して况乃さんは、事もなげにこう返す。
「どうって事ないわよ。
あと、そのぬいぐるみの中に入っているいかがわしい粉も全部抜き取って、
きれいな綿をつめてあげる」
「况乃さん・・・・・・」
况乃さんのその言葉に、私は目を丸くして况乃さんを眺めた。
况乃さんにそんな事ができるというのも意外だけど、
それよりも况乃さんがこんなに親切な事を言っているのが何よりも意外だ。
いつもの况乃さんなら、
『フン、ぬいぐるみの首を切られたくらいでウジウジしてるんじゃないわよ。
自分の命が助かっただけでもありがたいと思いなさい』
とか言いそうなのに。
とか思いながら况乃さんを眺めていると、
その視線に気づいた况乃さんがいぶかしげな顔をして私に問いかける。
「何か言いたそうね、詩琴」
「あ、いえ、况乃さんがそんな親切な事を言うなんて、ちょっと意外だなと思って」
「別に親切で言ってるんじゃないわよ。
ただ、私の気が向いたからやってあげようってだけ。どうするの?必要ないならいいけど」
「あ、いえいえ!ぜひともお願いします!」
私は慌ててそう言い、智由ちゃんの前にしゃがんで声をかける。
「ねぇ智由ちゃん、このお姉さんが、フランソワのお首を元通りにしてくれるって。
だからフランソワのお首が治るまで、フランソワをあずかってもいいかな?」
すると智由ちゃんは私と况乃さんを交互に見て、すがるような声で言った。
「そしたらフランソワ、またいきかえる?」
それに対して况乃さんは、さも当然という口調でこう返す。
「当たり前じゃないの。私の手にかかれば、前よりもさらにきれいにして生き返らせてあげるわよ」
その言葉を聞いた智由ちゃんは傍らに落ちているフランソワの頭を拾い上げ、
抱いていた体と一緒に况乃さんに差し出してこう言った。
「フランソワをいきかえらせてください。おねがいします」
その智由ちゃんの隣に智矢ちゃんも寄り添い、頭を下げてこう言った。
「私からもお願いします。フランソワを、智由の大切なお友達を、元に戻してあげてください」
「フン、いいわよ」
况乃さんは素っ気なく答えながらも、丁寧な手つきで智由ちゃんからフランソワを受け取った。
これでフランソワが元通りになれば、これで本当に今回の事件は、万事一件落着という訳だ。




