3 衝撃の光景
待ちなさい!
と言いたい所だけど、また襲いかかって来られても困るし、今は潟奈ちゃんの傷の手当てが先決だ。
そう思っていると、戦いが終わって気が抜けたのか、
潟奈ちゃんはその場に崩れ落ちるようにへたり込んだ。
「潟奈ちゃん!」
私は咄嗟に潟奈ちゃんの体を抱きとめ、近くの大きな柱にそっともたれさせた。
傷は浅いみたいだけど、血の染みはさっきより大きくなっている。
「とにかく早く傷の手当てを!」
私はそう言ったけど、潟奈ちゃんは私をまっすぐに見つめて言った。
「私の事より、連れて行かれた女の子達を助けに行ってあげてください。
ここで休んでいれば、あの赤髪の棒力女が来るでしょから」
「だけど、潟奈ちゃん・・・・・・」
「行ってください!早く!」
潟奈ちゃんに強い口調でそう言われ、私は
「すぐに戻るからね!」
と言い残し、踵を返して一目散に走った。
智矢ちゃんと智由ちゃんが捕まっているであろう、奥の事務所へ向かって。
智矢ちゃん達が連れて行かれてからどれくらいの時間が立っただろう?
あの怪しい中年オヤジの社長は、
どう見ても幼い女の子にしか興味がないようなロリコンの変態って感じだった。
智矢ちゃんと智由ちゃんは、今頃そんな変態オヤジの毒牙にかけられているかもしれない!
そう思うと怒りの感情が火山のマグマのごとくボコボコと湧き上がって来て、
たちまち噴火寸前まで燃え上がった。
そして乱暴な手つきで事務所の扉のノブを握ると、扉には鍵がかかっていた。
「ぬああああっ!開きなさいよ!」
私はそう叫び、力任せにドアノブを思いっきり回した!
するとバキャッ!と何かが砕けたような音を立ててドアノブは回り、鍵を開ける事ができた。
どうやらこのドアノブはさびていたらしい。
決して私がバカ力で壊した訳ではない。
それより智矢ちゃんと智由ちゃんは大丈夫なの⁉
あの変態オヤジに押し倒されていたらぶっ飛ばしてやる!
そう意気込みながら私はバァン!と事務所の扉を豪快に開け放ち、あらん限りの声で叫んだ!
「智矢ちゃん!智由ちゃん!助けに―――――――」
そして私は事務所の中で行われていた光景を目の当たりにし、言葉を失った。
何と、智矢ちゃんが事務所の床に押し倒され、
変態オヤジの縫来留美人がその智矢ちゃんに襲いかかっている!
・・・・・・のかと思いきや、そうではなかった。
事務所の床に寝ていたのは、変態オヤジの縫来の方だった。
そしてその傍らにワイシャツとショートパンツ姿の智矢ちゃんが立っている。
智矢ちゃんはここに来た時と同じ格好なので、
服を脱がされたり、違う服に着替えさせられた訳ではないようだ。
ただ、その光景は私が想像していたものとは大きく違っていた。
床に寝ていたのが智矢ちゃんではなく縫来の方だったというのもあるけど、
その縫来の顔を、
智矢ちゃんが、
靴下を履いた右足で
踏んでいた。
「・・・・・・・・」
続けて言葉を失う私。
えーと、繰り返して言うと、
床に寝ころぶ縫来の顔を、
傍らに立つ智矢ちゃんが、
右足でグニグニと踏んでいる。
縫来のヒゲの生えた頬や、
脂ぎった鼻頭や、
汗でテカっている額を、
グニグニと踏みまわしている。
踏んでいる智矢ちゃんは脅えた様子で胸の前で両手を組み、
どうしてこんな事をさせられているのか分からないという様子だ。
一方、踏まれている方の縫来は、
喜んでいた。
口元はだらしなくゆがみ、
目元はうっとりとうつろになっていて、
鼻から汽笛のように荒い息を吹き出している。
そしてもだえるように声を漏らした。
「ああっ、そう、そうです。もっと踏んでください。
いいっ、いいですよぉっ!この年端のいかない少女のおみ足。
その柔らかな足裏に踏みつけられる快感と背徳感!
そして靴下から漂うかぐわしい香り!
たまらない!ああ!もっと!もっと踏みまわしてください!」
縫来はそう叫びながら一人で高ぶり、全身をもだえさせている。
その様子を見て智矢ちゃんは一層脅えた様子で身を縮ませている。
その光景を三文字で表すとこうなる。
きもい。
五文字で表すとこうなる。
気持ち悪い。
次の瞬間私の中で一旦停止した怒りが再び燃え上がり、
その炎は原始時代の火山のごとく大爆発を起こした。
そして私は怒りの炎がほとばしるような目つきで、
縫来と智矢ちゃんの元へゆっくりとした足取りで歩みよって行く。
すると私に気付いた智矢ちゃんが
「詩琴お姉ちゃん!」
と叫び、一目散に私の元に走り寄って来て、ガバッと抱きついて来た。
そして私はそんな智矢ちゃんをしっかり抱きとめ、その頭を優しくなでながら言った。
「よしよし、怖かったね。もう大丈夫だよ」
私はそう言って智矢ちゃんを慰めて、縫来をギロリとにらみつける。




