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シティーガールハンター3  作者: 椎家 友妻
第六話 殺し屋VS元殺し屋
36/43

2 ギロチンとマタタキ

二人の距離は十メートルは離れていたのに、その距離はほぼ一瞬でなくなり、

刹羅は開いた首切鋏(ぎろちん)で潟奈ちゃんの首を狙い、

私が危ない!と叫ぶ間もなくジャキィン!とひと思いにその刃を閉じた!

が、紙一重の所で潟奈ちゃんを身をかがめてそれをかわし、鞘の先端で刹羅の足元を薙ぎ払った!

しかし刹羅をそれをフワッと飛び上がってよけ、

着地する前に閉じたままの首切鋏の先端で潟奈ちゃんの額に突きを入れる!

けれど潟奈ちゃんはそれも紙一重でかわし、右手で瞬の柄を掴んだ。

そして次の瞬間潟奈ちゃんの目にも止まらぬ剣撃が炸裂した!

が、

 キィン!

 刹羅をそれを首切鋏ではじき返した!

更に潟奈ちゃんは瞬で斬りかかるが、刹羅はそれを見きったように首切鋏ではじき返す。

 つ、強い。

自分で言うだけじゃなくて、久尾刹羅は本当に強い。

潟奈ちゃんの目にも止まらぬ剣撃を、あの巨大で重そうなハサミでことごとくはじき返し、

その隙を狙って潟奈ちゃんに反撃している。

今の所二人の実力は全くの五分。

お互いの攻撃はどれも一撃入れば致命傷になりかねない程強力だけど、

それを二人は互いにかわし、はじき、反撃に転じ、を、繰り返している。

 この戦いは一瞬先ですらどうなるのか、全く予想がつかない。

そんな紙一重の戦いを、私はまばたきも忘れ、息を飲みながら見守った。

 そんな中刹羅は潟奈ちゃんの剣撃をかわしながら、さも楽しそうに口を開いた。

 「ダッハハハ!先輩よぉ、後輩のアタイに気を使ってくれてんのか知んねぇけど、

峰打ち(・・・)なんてシケたマネはやめてくれよ。

こっちは生きるか死ぬかのつもりでやってんだからよぉ、

先輩も文字通り真剣でやってくれなきゃつまらねぇよ!」

 そうか、潟奈ちゃんは鞘から(またたき)を抜いた瞬間に刃を峰側に返すから、

ほんの刹那(せつな)ほどだけど剣が遅くなるし、

峰打ちだから首切鋏ではじき返す事もできるんだ。

ただ腕力だけが強い男ならまだしも、刹羅ほどの相手だと、

それじゃあ決定的な一撃を与える事はできない。

潟奈ちゃんは刹羅を殺さずに仕留めようとしてるけど、

向こうは完全に潟奈ちゃんを殺すつもりで攻撃してきてる。

このままじゃあ本当にヤバイよ潟奈ちゃん!

 そう思いながら潟奈ちゃんの背中を眺めていると、

潟奈ちゃんは腰をかがめて居合いの構えを取り、静かな声で刹羅に言った。

 「いいのですか?私が本当に真剣で戦えば、あなたは大怪我をするかもしれませんよ?」

 その言葉にカチンときたのか、刹羅は露骨(ろこつ)に不愉快そうな表情を浮かべてこう返す。

 「その上から目線、最高にムカツクよ。そんなのはいいからさっさと本気出せってんだよ!」

 それに対して潟奈ちゃんは

「わかりました」

と言って右手で瞬の柄を掴み、

「はっ!」

という気合とともにそれを鞘から振り抜いた!

次の瞬間瞬(またたき)の先端から三日月のような形の風(?)が放たれ、

それが刹羅目がけて一直線に飛んで行く!

あれは潟奈ちゃんの必殺技のひとつ、

飛斬(ひざん)・三日月』

カマイタチのような風を飛ばし、離れた相手をも斬りつけるという潟奈ちゃんの必殺技だ!

あれをくらったらいくら刹羅でも無事じゃあ済まない!

 すると刹羅も流石に虚を突かれたのか、

「なっ⁉」

という声を上げ、その場に倒れ込むようにして飛斬・三日月をかわした!

が、首切鋏は飛斬・三日月をまともにくらい、

その大きな二つの刃は、根元からバッサリ斬り落とされた!

 「何じゃこりゃあっ⁉」

 上半身を起こし、根元から切断された首切鋏を眺めながら刹羅は叫ぶ。

と、その刹羅の脳天目がけて、潟奈ちゃんは瞬の()を一気に振り下ろした!

 ガキィン!

 刹羅は残った首切鋏の根元で潟奈ちゃんの瞬を受け止めた!

そしてツバぜり合いをしながら(刹羅のはツバじゃないけど)刹羅は言った。

 「どこまでも甘ちゃんだねぇ先輩は。

真剣で斬りかかっていりゃあ、今頃アタイを真っ二つにできてたろうによ!」

 それに対して潟奈ちゃんは、ググィッと瞬の峰を刹羅に押し込みながらこう答える。

 「私は人を(あや)める為に剣を振るのではありません。人を守る為に剣を振るのです」

 「ハッ!そんなキレイごとだけじゃあこの世の中は生き抜いていけねぇぜ?

アタイみたいなきたねぇ人間がウヨウヨ居るこの世の中でなぁっ!」

 刹羅はそう言うと、右手を首切鋏から放し、

自分のスカートの中に右手を入れ、

そこから小型サイズの裁ちバサミを取り出し、

その切っ先を潟奈ちゃんの左肩に思いっきり突き刺した!

 グサァッ!

 「くぅっ⁉」

 意表を突かれた潟奈ちゃんは刹羅から大きく飛び退き、左肩を押さえてひざまづく。

 「潟奈ちゃん⁉」

 私はそう叫び、後先考えずに潟奈ちゃんのそばに駆け寄る。

刺された傷口からは血がにじみ出し、純白の制服の袖を赤く染めていく。

 「大変!すぐに手当てしなきゃ!」

 私はそう言いながら、包帯になるような物をキョロキョロと探す。

だけどこんな所に救急箱があるはずもない。

そうだ!

私のジャージの袖を引き裂いて包帯代わりにしよう!

でもその前に先に傷口を洗って消毒しなきゃ!

そう思いながらワタワタする私に、潟奈ちゃんは少し息を荒くしながら言った。

 「大丈夫、大した傷ではないでの心配いりません。

それよりまだ彼女との決着がついていないので、詩琴さんは下がっていて下さい」

 「で、でも!」

 尚も言い募ろうとする私を潟奈ちゃんは右手を上げて制し、

立ちあがって刹羅を見据え、刀を突き刺すような口調で言った。

 「さあ、決着をつけましょうか。あなたが言う所の『最強』というのが、どちらなのかを決める為に」

 すると刹羅は

「いや、もういいよ」

と言い、両手に持っていた首切鋏を目の前に放り捨て、その両手を頭の後ろに組んでこう続けた。

 「アタイの首切鋏はこうなっちまったし、結局先輩は本気出してくれねぇし、

これ以上やり合っても意味がねぇよ。あ~あ、何だかシラけちまった。

アタイはこの辺で舞台から降りる事にするよ。後は好きにしなよ」

 そして刹羅は踵を返し、そのまま倉庫の裏口の扉から出て行った。



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