1 久尾刹羅
刹羅は愛用の武器である巨大バサミの首切鋏を両手に持ち、
潟奈ちゃんをなめるように眺め、舌なめずりをしながら口を開いた。
「待ってたぜ先輩。お目当てのお嬢ちゃん達はこの部屋の中だよ。
今頃あの変態社長が楽しいお遊戯をしてるだろうぜ。
その間ヒマだからよぉ、アタイと遊んでくれよ先輩♪」
刹羅は私の事等一切目もくれず、潟奈ちゃんを見詰めたまま言った。
それに対して潟奈ちゃんは、私より一歩進み出てこう返す。
「あなたに先輩呼ばわりされるのはとても不本意です。
私はもう殺し屋ではありませんので。
それより、私達はその部屋に用があるので、そこをどいてもらえませんか?」
「ああ?聞いてなかったのかよ先輩?アタイは今ヒマしてるから、遊んでくれって言ってんだよ。
ぶっちゃけて言うと、アタイと殺し合おうって言ってるんスよ」
その言葉を聞いた私は、震えそうになる声を必死に抑えながら刹羅に言った。
「あ、あんた、『殺し』はするけど『戦い』はしないってこの前言ってたじゃないの!
なのにどうして潟奈ちゃんに戦いを挑もうとするのよ⁉」
すると刹羅は一転して不機嫌な顔になり、声を叩きつけるように私に言った。
「アタイがそうしたいからに決まってんだろボケ!
アタイはなぁ、アヤメビトコーポレーションじゃあ数えきれないほどの人間を殺してんだよ。
なのにいくら殺しても、最強と言われるのは桐咲先輩だ。ムカツクじゃねぇか。
アタイは殺す事しか能のない単細胞バカとは違って、戦闘能力もゴリゴリに高いってのによ!
だからいっぺん桐咲先輩と本気の殺し合いをしてみたかったんだよ。
どっちが本当に最強かを確かめる為になぁっ!
・・・・・・けど、まずはお前から先に殺してやろうか?
首切鋏のウォーミングアップにはちょうどいいや」
そう言って首切鋏の刃を大きく開く刹羅。
それが私の首筋を狙っているかと思ったら、思わず
「ひっ」
と声を漏らしてしまった。
そんな私をかばうように潟奈ちゃんは私の前に立ち、刹羅を見据えて静かに言った。
「この人には指一本触れさせません。
最強と呼ばれる事には全く興味がありませんが、
私を倒せばそれが手に入ると思っているのなら、私が相手になりましょう」
「流石は先輩♪そうこなくっちゃなぁっ!」
刹羅はそう叫ぶと同時に、正面切って潟奈ちゃんに突進して来た!




