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シティーガールハンター3  作者: 椎家 友妻
第五話 暴れる二人
32/43

7 潟奈ちゃんも来た

 するとその瞬間、スパキィン!

と鋭い音が響いたかと思うと、

一辺約三メートルの正方形に切り取られたシャッターの破片が内側に吹き飛び、

その付近に居た十人程の男達にそれが命中し、男達は白目をむいて失神した。

 「おわぁああっ⁉」

 「今度は何なんだよぉっ⁉」

 再び起こった予想外の事態にパニックになる男達。

その視線の先ではシャッターが正方形に切り抜かれ、

そこに、鞘に収まった日本刀を持った、一人の少女が立っていた。

 白鳥学園指定の純白のワンピースの制服で身を包み、

青みがかった黒髪を肩まで伸ばし、

手に持つ愛刀のごとき鋭い瞳を光らせている。

 彼女の名は桐咲潟奈。

通称『瞬の潟奈』。

愛刀の『(またたき)』を操り、瞬く間にどんな物でも斬り捨てる。

その太刀筋は文字通り目にも止まらない程の速さで、

あの綾芽と互角に戦えるほどの強さを備えている。

以前アヤメビトコーポレーションで最強の殺し屋(一人も殺してないみたいだけど)と言われた腕前は伊達じゃないのだ。

 そんな潟奈ちゃんが駆けつけてくれた事に更に勇気を得た私は、弾んだ声で潟奈ちゃんに言った。

 「潟奈ちゃんも来てくれたんだね!それにしても、よくここが分かったわね?」

 それに対して潟奈ちゃんは、ニッコリほほ笑んでこう返す。

 「詩琴さんがぬいぐるみと一緒に居なくなったので、もしやと思ってここに来たのです。

詩琴さんのジャージには、况乃さんが発信機を仕込んでいるので、場所はすぐにわかりました」

 このジャージにも発信機が仕込まれているの⁉

と内心びっくらこいていると、潟奈ちゃんの言葉に割り込むように綾芽も口を開く。

 「だけどしぃちゃんのピンチに先に駆け付けたのは私ですからね!

私の方がしぃちゃんとの付き合いが長いし、何より心と心でつながっていますから!」

 いつから私とあんたの心がつながったのよ?

と心の中でツッコミを入れていると、そんな綾芽の言葉にカチンときた様子の潟奈ちゃんが、

トゲのある声で言い返す。

 「ここに来たのは私とほとんど同時だったでしょう?

それをあなたは何の考えも無しに、いきなりこのシャッターを突き破ったのではないですか。

あなたには物事を考える脳みそは存在しないのですか?

ここは中の状況を確かめてから突入するのが正しい判断でしょう?」

 それに対して綾芽も、潟奈ちゃんに思いっきりガンを飛ばしながらこう返す。

 「はいぃ?事態は一刻を争うんだから、さっさと突入する方が正しいに決まってるじゃないですか。

ゴチャゴチャした事は、突入して敵を吹っ飛ばしてから考えればいいんですよ!」

 「あなた、筋肉ばかりに血液が集中して、脳には全く血液が行っていないみたいですね。

それでよくこの世界で『シティーガールハンター』なんて大層な通り名を名乗れるものです」

 「はあぁ?そっちも似たようなもんでしょうが?

目の前にある物をとりあえずその刀でスパスパ斬り倒して、

『またつまらぬ物を斬ってしもうたで』とか言うんでしょ?

そういうキャラに陥るパターンでしょ?そんな事じゃあ『瞬の潟奈』の通り名が泣きますよ?」

 「どうして関西弁でそんな事を言わなきゃいけないんですか?

あなたはアホですか?いえ、阿呆ですか?」

 「何故漢字で言い直しました?あなたはバカですか?それともカバですか?」

 「バカでもないしカバでもありません。

ともかくどちらが阿呆でどちらが馬鹿なのか、この場でハッキリさせましょうか?」

 「上等です。あなたとはそろそろ決着をつけなきゃいけないと思っていたんですよ。

どちらがしぃちゃんのパートナーに相応しいのかも、この場で白黒つけましょう」

 「そうですね。それが最もハッキリさせなければいけない事です」

 そう言って互いに暴憐棒と瞬を構える綾芽と潟奈ちゃん。

何か完全に趣旨が変わってるんですけど。

ここに来たのは私を助ける為じゃなかったの?

それがどうして私を賭けて決闘みたいな話になってるのよ?

 すると似たような事を思ったらしい、

私の腕を掴んでいた男が、しびれを切らしたようにこう言った。

 「うぉおおいっ!さっきから何訳の分からねぇ事言い合ってんだよ!

お前らはこの状況が分かってんのか⁉」

 確かにこの状況、綾芽と潟奈ちゃんが突き破ったシャッターの破片で、

二十人近くの男が失神したとはいえ、

まだ三十人以上のゴロツキが鉄パイプやら金属バット等、物騒な凶器を持って構えている。

そんな男達を相手にたった二人で立ち向かうなんて、どう考えても無謀にしか思えない。

 そんな絶望的な状況の中、その言葉を聞いた綾芽と潟奈ちゃんは、同時に男の方へ顔を向ける。

 「そういえば、そもそも私はしぃちゃんのピンチを助ける為にここに来たのでした。

しぃちゃんを危険な目にあわせた罪は万死に値します。

あなたとの決着はこのゴミどもを片付けてからにしましょう」

 綾芽がそう言うと、潟奈ちゃんも頷いてこう返す。

 「それに関しては賛成です。まずはこの害虫以下の生物を静かにさせましょう」

 すると綾芽と潟奈ちゃんの言葉を聞いたゴロツキ達が、怒りの声を上げる。

 「何だとてめぇら!本当にこの状況が分かってねぇみたいだな!」

 「後で泣いて謝ってもカンベンしてやらねぇからなぁ!」

 「小娘だからって容赦(ようしゃ)しねぇぞコラァッ!」

 そしてそのうちの男の一人が鉄パイプを振り上げ、潟奈ちゃんに襲いかかった!

すると次の瞬間、

 キィン!スチャッ!



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