3 智矢からの電話
そう考えた私は、况乃さんや潟奈ちゃんと夕食を済ませ(今日のメニューはご飯とわかめの味噌汁と少量の豚バラ肉と大量のもやしのオイスターソース炒め。決して儲かっている探偵事務所ではないので、毎日の食事のメニューもできるだけ質素なものにしなければいけないのだ)、
お風呂に入ってパジャマに着替え、
『しぃちゃんの手作り料理を食べないと力が出ないですよぉ』
とグチをこぼす綾芽からのメールに
『仕事が終わったら好きなだけ食べさせてあげるから』
とメールを返し、ベッドに入って目をつむった。
すると再び私の携帯がブーブーと鳴った。今度は電話の方だ。
ああもううるさい!
綾芽のヤツ、ちゃんと高藤さんのボディーガードをしてるんでしょうね?
そう思いながら携帯の画面を見ると、それは綾芽からではなく、あの智矢ちゃんからだった。
フランソワの事で何か手掛かりをつかんだらすぐに連絡するからと、電話番号を交換していたのだ。
私は通話ボタンを押して電話の向こうに居る智矢ちゃんに話かけた。
「もしもし智矢ちゃん?こんな時間にどうしたの?」
しかし智矢ちゃんからの返事はない。
私はもう一度智矢ちゃんに声をかけて見る。
「智矢ちゃん?」
おかしいな、電波が悪いのかな?
と思っていると、電話の向こうで智矢ちゃんが、すすり泣いているような声がかすかに聞こえて来た。
『うぅっ、ぐすっ・・・・・・』
「智矢ちゃん⁉どうしたの⁉何かあったの⁉」
智矢ちゃんのただならぬ様子に、思わず声を荒げる私。
すると智矢ちゃんは消え入るような声でポツリと言った。
『智由が、さらわれました・・・・・・』




