1 ヒグマと月の輪熊には注意すべし
翌日の放課後、そそくさと学校を出る支度をしていると、由奈ちゃんが歩み寄って来て言った。
「しぃちゃん、今日、智由ちゃんのぬいぐるみを捜しに行くの?」
それに対して私は元気よく頷いてこう返す。
「うん!行くよ!智由ちゃんのフランソワをさらった犯人を見つけ出して、
何としてもフランソワを取り返すんだ!」
すると由奈ちゃんは申し訳なさそうに両手を合わせて言葉を続ける。
「私も行ってフランソワ捜しのお手伝いをしたいんだけど、部活でどうしても抜けられないの。
一緒にお手伝いするって言ったのにごめんね?」
「ううん、全然構わないよ。これは私が勝手に首を突っ込む事だし、
由奈ちゃんも部活や塾で忙しいでしょう?だから気にしないで」
「ありがとう。でも、くれぐれも気をつけてね?
もしフランソワをさらったのがヒグマや月の輪熊だったら、すぐに逃げなきゃダメだよ?」
「うん、都市部にそんなガッツリした熊は出ないと思うから大丈夫だよ。
それに本物の熊がクマのぬいぐるみをさらうっていうのも考えにくいし」
「なるほど!」
そう言って深くうなずく由奈ちゃん。
由奈ちゃんは時々冗談なんだか本気なんだか分からない事を言うので返事に困る時があるけど、
それも含めて由奈ちゃんは可愛いので問題は無しだ!




