2 連続首切り殺人
すると画面にニュースの映像が映し出され、アナウンサーが神妙な口調でニュースを読み上げた。
『今日の午後五時三十分頃、四邸阪田市の雑居ビルの一室で、
首のない男性の死体が発見され、警察に通報がありました。
この男性はこの雑居ビルのオーナーで、桑原信明さん四十八歳。
先週から続いている首切り殺人事件はこれで六件目で、
警察は同一犯の可能性が極めて高いと見て捜査を進めています――――――』
アナウンサーがそこまで読み上げた所で、况乃さんはテレビのスイッチを切った。
この事件は朝晩のニュースで最近毎日流れているし、学校でも話題になっているので私も知っている。
先週から、首を切断された死体が発見される事件が、この四邸阪田市で立て続けに五件起きていて、
犯人は未だに捕まっていない。
そして今のニュースで六件目。
被害者はいずれも成人の男性だけど、その職業や肩書はいずれもバラバラで、
これらの被害者たちには何の共通点もなく、
現場には犯人の手掛かりになるような証拠も残っておらず、
警察は全く犯人を特定する事ができていないらしい。
そんなおっかない事件の解決に、况乃さん達は乗り出そうとしているんだろうか?
私はおそるおそる况乃さんに尋ねた。
「まさか、この連続首切り殺人の犯人を捕まえようって言うんですか?」
それに対して况乃さんは、あっさりした口調でこう返す。
「いいえ、違うわ。私が調べているのは、この事件の裏側の部分よ。それが今回の依頼なの」
「この事件の、裏側?」
そうつぶやいて首をかしげていると、ピンポーンとインターホンの音が響いた。
「詩琴、出てちょうだい。多分今回の依頼人だと思うから」
「わ、わかりました」
况乃さんにそう言われ、私は事務所の部屋を出て、
二階の玄関へ向かった(この建物は、外の階段を上がって直接二階の事務所へ行く作りになっている)。
そして玄関の扉を開けるとそこに、
三十歳前後(もっと若かったらごめんなさい)の細身の女性が立っていた。
少しウエーブのある髪を肩の下までのばした上品な雰囲気の女性だけど、
その表情は暗く沈んでいて、ひどく物悲しげな雰囲気だ。
この人が今回の依頼人なのかな?
と思っていると、目の前の女性はうやうやしくお辞儀をして言った。
「はじめまして、私、このたびそちらにお仕事の依頼をさせて頂いた、高藤恵子と申します。
あの、あなたが園真さんでいらっしゃいますか?」
「あ、いえ、私はこの事務所で助手として働いている者です。
園真は事務所に居ますので、ご案内します」
私はそう言って、高藤さんを事務所の中へ案内した。




