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シティーガールハンター3  作者: 椎家 友妻
第一話 消えたフランソワ
10/43

10 ある夜の出来事

 「あれは、今から五日くらい前の、夜の事でした。

私と智由は部屋が一緒なんですが、智由と一緒にお風呂に入った私は、

一足先に部屋に向かい、廊下を歩いていました。

するとその時、誰も居ないはずの私達の部屋の中から、物音が聞こえたんです。

嫌な予感がした私は、急いで部屋のドアを開け放ちました。

すると部屋の窓が開いていて、見知らぬ人間がフランソワを・・・・・・

あ、フランソワっていうのは、智由の一番のお気に入りのクマのぬいぐるみなんですが、

それを小脇(こわき)に抱えて、窓から外に飛び出して行ったんです。

私は『待ちなさい!』と叫んで窓から身を乗り出しましたが、

犯人は家の屋根を飛び移り、あっという間に遠くへ逃げてしまいました。

その様子は本物の忍者みたいで、あんな動きができる人が現実に居るなんて、

この目で見た私でも、いまだに信じられません」

 「そ、そうなんだ」

 智矢ちゃんの話にあいまいにうなずく私。

ちなみに私はそんな忍者みたいな動きができる人間を二人ほど知っているけど、

まさかあの二人のどっちかが犯人なんて事はないわよね?

そうは思ったけど、私は一応、その犯人の特徴を聞いておく事にした。

 「ちなみに、フランソワをさらっていった犯人は、どんな人物だったの?」

 「何というか、全身真っ黒な、凄く体の細い女の人でした。

黒いミニスカートのワンピースに、黒いストッキングに黒い靴。

髪も真っ黒でウネウネしていて、でも肌だけは異様に白くて、

瞳は死んだ魚みたいで、だけど表情はニヤついていて、何とも不気味な雰囲気の人でした」

 「そ、それは確かに不気味だね・・・・・・」

 そう言ってひとつ息をつく私。

どうやら犯人は、綾芽や潟奈ちゃんではないようだ。

まあ、当たり前と言えば当たり前だけど。

それにしても、そんな全身黒ずくめの怪しい女が、

どういう理由で智由ちゃんのぬいぐるみをさらって行ったんだろう?

しかも忍者みたいに屋根の上を駆けて行くなんて、一体何者?

 「智矢ちゃんは、何か心当たりはないの?

どうして智由ちゃんのぬいぐるみが、その人にさらわれたのか」

 由奈ちゃんの問いかけに、しかし智矢ちゃんは首を横に振って答える。

 「全く、ありません。どうしてフランソワがさらわれなければいけないのか。

そして、あの人が何者なのかも、全く心当たりがないんです」

 「う~ん、単純に智由ちゃんのぬいぐるみがどうしても欲しかったから・・・・・・

っていう理由じゃないよねぇ?」

 私はとりあえず思いついた事を口に出してみたが、これにも智矢ちゃんは首を横に振って言った。

 「多分、違うと思います。同じ形のぬいぐるみなら、さっきのお店にまだあるはずだし、

恐らく、フランソワ(・・・・・)じゃ(・・)ない(・・)と(・)いけない(・・・・)理由(・・)が、何かあるんだと思います。

それが何なのかは、わかりませんけど・・・・・・」

 「ちょっとこれだけじゃあ、手がかりが少なすぎるよねぇ・・・・・・」

 智矢ちゃんの言葉に、腕組みをしながらうつむく私。

すると智矢ちゃんは智由ちゃんを背中におぶってスックと立ちあがり、

私達にペコリと頭を下げて言った。

 「遅くなるとお母さんが心配するので、そろそろ帰ります。

お話を聞いてくれてありがとうございました。

フランソワをさらった人物は、私が探します。

今日会ったばかりの方を、巻き込む訳にはいかないので」

 そして智矢ちゃんは、智由ちゃんとともに公園を去って行った。

その後ろ姿を眺めながら、由奈ちゃんはシミジミとした口調で言った。

 「智矢ちゃん、いい子だったね」

 「うん、しっかり者のお姉さんって感じだった。

何とかしてあげたいけど、犯人を見つけるのは至難(しなん)(わざ)かもね。

それに智矢ちゃんの話だと、フランソワをさらった犯人は、ちょっとヤバイ感じの人っぽいし」

 私がそう言うと、由奈ちゃんは私の顔を覗きこむようにしてこう続けた。

 「ねぇ、園真会長に相談してみたらどうかな?

もしかしたら、犯人探しに力を貸してくれるかも知れないよ?」

 「そうかなぁ?あの人は基本的に、お金儲け以外の為には動かないからなぁ・・・・・・」

 「そんな事ないよ!園真会長だって人の子だもの!

小さい女の子が悲しんでいる話を聞いたら、きっと何とかしてあげたい気持ちになるよ!

私もできる事はお手伝いするし!」

 「お、落ち着いて由奈ちゃん。まあ、とりあえず聞くだけ聞いてみるよ」

 正義感に燃える由奈ちゃんをなだめるように私はそう言い、今日のところは解散する事にした。

 何やら新たな事件の匂いがするけど、それがどう転がって行くのか、この時の私は知る(よし)もなかった。


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