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冬の童話祭

私の探し物

私にはすごく大事な鍵がある

ちょっと汚れたどこにでもあるような見た目の鍵だ

その鍵は私の父から貰って

父は祖父から譲り受けたらしい

家宝みたいなものだ

私の仕事にも必要なもので、これがないと仕事にならない

だが、どう言ったわけかある日突然なくしてしまった

厳重に管理していたし、これがもしも悪いことをしようとしていた人の手に渡ったらとても大変だ

私はあわてて鍵を探しだした

どうか君たちも一緒に手伝って欲しい


最初に探しに行ったところは、

いつまでも雪が降り続ける寒い国

ここはあいすをつくるきかいを届けに行った

この国はあまりにも寒すぎるので、みんなあったかいシチューやホットパイばかり食べている

なので、アイスクリームをつくる機械が手に入らないのだ

アイスクリームをどうしてもお腹いっぱいに食べたいと言うので、それを届けに行った

「寒い寒い」

特製のコートでも寒くて凍えてしまう

さて、ここにあるかな?


「うーん、あったような気がするけど見つからない」

次に向かったのはさっきとは真逆

とーっても熱くて汗がダラダラ流れちゃう国

「あつあつ」

この国特産のスパイスたっぷりのからーいご飯を食べながらあたりをきょろきょろ

ここにはおしゃれが大好きな女の子に厚底の長ーいブーツを届けに行った

履いていても涼しい特注品だ

みんなサンダルばかりで、女の子の好きなブーツはないらしい

「わあっ!」

いたずら好きなおさる達が私に木の実を落としてきた

「こらこらやめなさい」

「きゃっきゃっきゃっ」

このままここにいたら、からだじゅうたんこぶまみれになってしまいそうだ、、

かがやく太陽を背に、

ぎりぎりで避けながら次の目的地に向かう

さて、ここにもあったかな?


「さっきからあったようなないような…」

とにかく次の国に急ぐ

3番目に行ったのは鮮やかな花々や緑が生い茂る木々が溢れる暖かいひだまりな国

寒いところと暑いところに行ったのでおちつきたかったのだ

降り立った途端、花々の甘い香りに包まれる

ここには、カメラを欲しいと届けに行った

遠くに住むおじいちゃんにここの風景を送りたいらしい

「確かにきれいだなー」

 とぎれた雲の隙間から暖かい日の光が大地を照らし、そよ風が花々の頬をなでる

「……はっ!」

いけないいけないこのままだと昼寝をしてしまいそうだ

うたた寝してしまった頭をブンブン振って次の目的地へ


「ぼーっとしてたから見つからなかったな」

「一体、どこに落としたんだろう?」

今日は一旦、帰ることにした

次の仕事まであと364日ある

体を壊しては大変だ

「また明日にしよう」

いそいそと家に帰る

「おじいちゃん!」

家に帰ると、孫が遊びにきていた

「おやまあ、どうやってきたんだい?」

「これ」

孫が差し出した手をみてみると

「あった!あった!!」


       だいじな

     だいじなかぎがその

    ちいさな  手にちょこん

   とのって    いた「おじい

   ちゃん、き  のうプレゼント

   届けにきてくれた時に落として

    たよ」「そうだったのか」

     「次は僕にくれる

       んだから気

         をつけてね」「ごめん、

          ごめん、ありがとうね」

           孫とふたり

            で温かいスープとふっくら

             したパンにバターを塗っ

              たものを食べ

                る


食後は孫が好きな色んな国の話をした

昨日回ったたくさんの国の話

それから、今日、鍵を探しに行った国の話

「あれ?おじいちゃん、この国にもあったよ」

「え?本当かい?」

「寒いところにも、暑いところにも、花がたくさんあるところにもよーく見たら、あったじゃん」

「あー、本当だ、よくみてるね」

よく見ていると、隠れていたけど本当にあった

昨日、世界各地を回ったので、疲れていたようだ

「よくみつけたね」

「へへ、僕だっておじいちゃんの仕事していくからね

みんながどんなもの欲しいか、どんな国に行くのかちゃんとわかるようにしたいとね」

「えらいえらい」

暖炉の前でのんびりとしていると、時間を忘れてしまう

「あ!そろそろ帰らなきゃ

後少しで、新しい年になるから掃除を手伝っててママに言われてたんだった」

「そうか、それじゃあ」

私は鍵を取り出して自分の家のドアに刺す

がちゃり

「あら、おじいちゃんのところにいってたの?」

「ママ!」

「鍵を届けにきてくれたんだよ」

「そうだったのね、えらいわね」


お別れを言って扉を閉める

すると、誰かが扉を叩いてきた

今度は鍵を使わずに扉を開く

「やあ!おつかれさま!!」

「ああ、そちらこそおつかれさま」

同僚達が仕事終わりに遊びに来てくれた

みんなでわいわいして、今年の仕事の話をする

「スノーマンに貰ったコート、もう古くなってしまって最近、さむいんだよね」

「今度、貰いに行こうか」

「最近は、煙突なんてないから、どこにでも行ける鍵は大事だよ」

「本当に、小人と妖精達には感謝だね」

「ところでさー」


すっかり話し込んで暗くなったので、仲間たちはそれぞれの家に帰っていった

「ふぅ」

一段落ついたので、今日一番の功労者のもとにいく

「お疲れ様、今日はありがとうね」

仕事を引退していたトナカイにお礼を言う

「今日は、助かったよ

久しぶりに君と色んなところに行けて楽しかったけどね」

トナカイが嬉しそうに寄り添ってきた

出窓から満面の星空を眺めながらゆらゆらと膝掛け椅子で微睡む

壁には自慢の制服が一仕事を終えて掛けられている

腰には大事な特製の鍵がきらりと光っている

みんなも一緒に手伝ってくれてありがとう

色々あったが、今年も無事に仕事が終わってよかったよかった

それでは、みんな後少しの今年とこれから始まる新しい一年を楽しもうね

Let's enjoy this year

and

Welcome to the New Year!

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― 新着の感想 ―
[一言] 感想返信を読んで本文にとんぼ返りして「かぎ」探ししてきました! ほんとに縦読みで入ってるし!w ところがわたくし、暑い国のかぎだけは見つけられなかったのです。 「ぎ」がある場所が固定されてい…
[一言] 鍵の落し物をしたのは、まさかの◯◯◯さんだったのですね。確かに今時、煙突などないところが多いでしょうし、こういった便利な道具がないと、お仕事をこなすことも大変ですものね。 鍵の形に整えられ…
[一言] 大事な鍵見つかって良かったですね。 まさか○○○さんとは。
2020/12/29 16:20 退会済み
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