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33.試験は続くよ、何処までも

※書籍化の予定でしたが、諸事情により未書籍化となりました※

※文体に齟齬が生じるため、掲載当初のまま再掲載します※

※今見ると文章がつたないですが、ご容赦ください※

三十三 試験は続くよ、何処までも




 三回生第一期十月入学組の卒業試験にあわせ、各学年でも進級試験と定期試験が同時に行われる。『魔の一週間』と呼ばれる期間がそれにあたる。

 三回生との合同授業があれば、同じ試験を一回生、二回生も受ける事になる。

 三回生が卒業に向けて試験を行っている間、他の学年の生徒達も進級に向けて試験を行う事になっている。

 その試験の日程表が、今日配られた。

「なんじゃこりゃ〜」

 と声をあげたのがジーン。

 取っている授業の組み合わせから、ジーンの場合、試験が『魔の一週間』の前半に偏っていた。士官学校で受ける試験もあり、正直頭を抱えていた。

 他の四人はと言うと……。

 ほぼバラバラに一週間かけて試験が配置されていた。ジーンを除いた連中は、連邦大学との合同試験がある。それも試験表に組み込まれていた。

「あらら、連邦大学の法廷実習、実技有りだって。私やってもいいのかしら。いつも授業で教授に避けられているのに」

「どうせなら、思いっきりやって、連邦大学の教授と学生蹴飛ばしてこいや」

 ジーンが言った。

「それ、面白そうね」

 グレイスが言うと

「血を見るのは勘弁な」

 と言ったのはフレッドだった。

 アカデミー学生としての意地もある。一発合格、それも高得点での突破を目指していた。

 さて、定期試験は元々決められた期間に行われる試験であり、試験準備に余裕をもって当たる事が出来る。

 が、アカデミーの教官達はそれほど甘くない。

 試験準備期間にも拘らず、レポート提出や実技を持って来る。

 学生側としては『ふざけるな〜!』と騒ぎたいところであるが、言ったところで何も変わらない事は目に見えている。試験の下準備をしながら突発的課題をこなすアカデミー学生達。

 教官達の嫌がらせ? にも負けずに立ち向かう学生達だった。


 カイルとグレイスは、ともに連邦大学の『法医学概論』を受講しており、連邦大学で合同試験が行われる事になっている。ともに対策のため共用スペースで学習していたところ、ライトニング・ブルーのケンも参加して来た。

 ライトニング・ブルーで『法医学概論』を受講しているのは彼一人であり、問題傾向や対策について一緒に練りたいとの事で、カイルとグレイスにとっても新しい視点が入ると、今回、彼の参加を大いに喜んだ。

 そうすると連鎖的反応で、他のチームでもチーム間連携で合同対策するところが出て来た。もう、チームではなく、学年別で対抗するような状況になって来ていたといってもよいだろう。

 教官方からクレームがつくかとも思ったが、そうはならなかった。

 教官方としては試験をできれば高得点で突破出来ればそれでよしと考えているらしい。

 でも実質はプランキッシュ・ゲリラとライトニング・ブルー、その他で別れてしまっていた。いつもの交流の度合いがそうさせたらしい。一度もチーム編成の組み直しをしていない二チームと、そうでないチームが別れてしまったと言うのが本当のところだろう。

 その、一度もチーム編成の組み直しをしていない二チームのカイルとグレイス、そしてケンは喧々囂々言いながら傾向を模索し、試験対策を練っていた。

 資料を見ながら検討を始める。

「この首の紫斑痕、これは自殺? 他殺?」

「跡から見ると、通常の首つり自殺の死体に見えるな?」

 物騒な会話が続く。

「生活状況から見ると、自殺しそうにないなぁ」

「でもこの人、娘を事故で失ったばかりだよ」

「うん、それは分かってる。生活を見る限り寂れてない。立ち直っているように見えるということ」

「じゃあ、この死体、これって自殺に見せかけた他殺ということじゃないか?」

「他殺だとしたらその要因は?」

「ご近所付き合いも良いしこれと言った要因は見当たらないなぁ」

「ちょい待ち、同じような事件が他にも起こっているぞ」

 三人は再度資料を見直した。

「家族に不幸があった家ばかりで自殺が続いているな。これで三人だ。」

 三人は三件の司法解剖書を読んだ。

「何だろうこれ? 三人の頭部から見えづらい場所に何か刺した跡のようなものがある」

 どれどれと、他の二人も司法解剖書を確認した。

「ほんとだ。何の跡だろう?」

「注射針の跡のようにも見えるけど、薬物反応出てなかったよな?」

 解剖書を見て、確かに薬物反応はないことを確認する。

「自殺? それとも他殺?」

 うーんと三人は唸る。

「この場合自殺らしい見せ方した他殺の線だろうね。でも死体を自殺に見せかけて首つりに見せるのって労力が必要で大変だぞ」

 三人は思案顔になる。

「じゃあ、生きているうちにつり下げたわけ? ならやっぱり薬物を使用して体の自由を奪わないと……」

「でも薬物反応ないわよ。これをどう説明する?」

「……そうだ、薬物検査に出てこない薬物を使用したとか、ダメかな?」

「……そんなのあるかな? 検視で検出されない薬?」

「そうだ! こんなのどうだろう? 筋弛緩剤。確か筋弛緩剤は代謝が早かったよね? だから薬物検査で出てこない。でもこれ使った場合、悲惨だぞ。体の自由はないが、意識ははっきりしているから自分が死ぬ運命にある事を自覚している」

「可能性は高いわね」

「犯人は……これってもしかして犯人は『死の天使』を気取った奴? 相手を死で救うって言うあれ? 今回は対象者を間違えたらしいが」

「ケンの言う通りのようね。……これからすると、この案件は他殺ね。ぞっとする死に方だけど」

 資料を置いて溜め息を吐く三人。

「死体は語る、か。確かにそうね。私たちに疑問を投げかけてくる」

「それを読み解かなくてはならないのが、法医学の専門医師や司法官の役目だろ」

「そうね」

 黙々と対策を考え、記録して行くメンバー達。他にも教科があるため、うかうかしていられない。

 操縦課程のテストでは、二人一組になって乗船から発進までの手順のテストが実技でテストされる。これはチームごとに最低二人居る操縦課程の学生がお互い組んで対処に当たる。グレイスの場合、ジーンがパートナーだ。

 この場合、対処がどうと言う前に、基本動作が第一である。基本動作が間違っていない限り、エラーは起きない。

 とにかく試験。試験。試験。そのシーズンに突入してしまった。

 試験に負けない体力作りも大切である。

 風邪をひいたりしたら、半年の努力が無駄になってしまう。

「負けるもんか」

 がいつの間にか合い言葉になり、試験に向かうメンバー達であった。




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