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20.コフィン・エクスプレス終了

※書籍化の予定でしたが、諸事情により未書籍化となりました※

※文体に齟齬が生じるため、掲載当初のまま再掲載します※

※今見ると文章がつたないですが、ご容赦ください※

二十 コフィン・エクスプレス終了




 一回生を悩ませていた『コフィン・エクスプレス』

 これが終了を迎える。

 ということは、一ヶ月で頭に詰め込んだ知識の試験が行われるという事である。

 午前と午後の二回に分けて、試験は一日がかりで行われる。

 グレイス達にしてみれば懐かしい、ミヤケ達一回生にすれば地獄のテストである。

 試験監督官には、二回生、三回生の授業の受け持ちが無い教官が順に当たる。

 静かに時が進んで行った。


 そしてお昼。

 一回生の顔色を見るとあまりよいとは言えない。

 予想より難しかったのか。

 アカデミーで一番ついてない男、ミヤケはというと、顔色は上々、試験は良い方向へ向かっているようである。

 さて、今日の昼食は担々麺。

 ここで薬味を足さない訳が無いウォンからラー油の注文がフレッドにあった。

 前のように、ひょいと投げてよこすフレッド。

 いつもどうやって薬味を作っているのかと聞くと、理化学実験室で空いているミキサーに唐辛子入れて粉砕ミキサーをかけているのだとか。

 品質の安全性について聞くと、機器は普通の食器洗いより丁寧に滅菌し洗われているので体に支障は出ないとのこと。

 問題はウォンの体にあった。皆が気持ち悪がる程薬味をかけるのに、体に異常が出ない点だ。

「俺、特異体質かも」

 とはウォンの弁である


 さて、午後の授業に入る。大講義室は静かになり、かりかりと鉛筆の音が響いていた。

 ヤマが当たってガッツポーズするもの、試験に集中し黙々と試験を解くものなど、様々なスタイルで試験にあたっていた。


 試験の発表は午後の試験が終わってから一時間後――

 合格者の名前の中にミヤケの名前が無かった。

 まさか、アカデミーで一番ついてない男が試験に落ちた?

 そう思っていたところにとんでもない内容の話が舞い込んで来た。

「ミヤケの奴、どうも午後の試験で解答用紙に名前書き忘れて提出したらしい」

「げ、最悪」

「ど阿呆」

「じゃあ、退学になる訳?」

「それが成績自体は凄く良かったらしくて、教官達で意見が割れてるようだ」

 よく聞くと、試験自体はダブルA、かなりのトップクラスだ。

「これを手放すとなると、教官達も惜しいんでしょう」

 名前の書き忘れは、普通『0』点扱いで退学。

 ミヤケは青い顔をしている。

 そこへ教官から声がかかった。

「ミヤケ、ちょっと来い」

 ミヤケに対しての対応が決定したようだ。

「ミヤケにとって、良い内容でありますように、アーメン」

 フレッドが思わず十字を切る。

「さすが神父は違うぜ」

「神父じゃない、元修道士見習い」

 そんな事を言っている時にミヤケが教官室から出て来た。

「……ありがとうございました」

 の言葉。良い方にとって良いのか悪いのか。

 ミヤケに直接聞いてみた。

「合格しました! 三十枚の反省文付きですけど」

「やったな、ミヤケ。これでまた『アカデミーで一番ついてない男』の項目が増えた訳だ」

「それってあんまり嬉しくないですけど」

「でも、反省文付きの合格だろ」

「はい!」


 この回のコフィン・エクスプレス

 五十七名の落第者を出し、決着したようである。

 合格者は半分以下。八十九名。

 グレイス達二回生よりも合格者数が少ない結果となった。




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