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エピローグ?第二章に続く

「そうまでして、この国に賭ける価値があるとお前は踏んだか」

懐かしい声を聞いた。


古い、モノクロの世界からやってきた今は亡き男の声だ。


「何度も言わせるなよ。市丸大佐」


かつての上官の名を呼び、清水は空を仰ぐ。


雲の流れは穏やかで永遠の時を刻むようだ。


誰もが涙を流し、血を流し、大切なものを奪われ、得たものなどなかったはずだ。


なのに、どうして。


「あんたが見てきたのは本当にそれだけなのか」


再び目の前にいる幻想に清水は語りかけた。


自身の深層心理の中にしか現れない幻に向かって、ただ投げかける。


「明日を生きるために、生きたかったはずなのに、大勢のものが散っていきました。ウィザードと憎しみあい、国家間で、満足感で憎しみあい、数えきれないものを失ってきたはずだ」


「お前個人にしてみればどう言った感想を抱こうと自由だろう」


不敵に笑うそれは理解し難いものだ。


怪物であり魔物である。


清水の知り合いない常識を持って全てを凌駕し、清水という人間兵器を産んだ男なのだ。


理解できるわけがない。


「この戦争が都合のいいシナリオで飾り付けられ、さも意味のなかったかのように終わらせられた。やつらは何もリスクを犯さない。それが果たして、俺たちの信仰する武士の精神に当てはまるかな」


「関係のない国民を巻き込んでまで続けていい話じゃない!俺たちは」


「やつらに報復しなければならない。この腐った偽りの平和に終止符を打つ」


そう言って背中を向け遠のいていく市丸に清水は力一杯叫んだ。


「俺たちは負けたんだ!あんたは間違えた。俺も…だがそれでも守った者たちが笑顔で生きている、そんなこの国の日々が間違っているとは、俺は思わない…!」


立ち止まった市丸は背中を向けたまま、風が吹いた幻想的空間の中で一人佇んでいる。


清水の、自身の因縁に蹴りをつけようとするその姿勢に満足したのか、それとも呆れたのか随分と穏やかな口調で続けた。


「家族を殺され、妹を殺され、愛する女を殺され、エビルの戦友を殺された。それでも続けるか」


「俺は、あんたとは違う」


「アホが。懲りずに自ら足枷を嵌めるとは。お前に銀髪の女が救えるなら、どうぞお好きに、くたばるその瞬間まで足掻いてみろ」


見届けてやるよ。


声は響く。


姿は消えた。


清水はいつも、


ひとりぼっちだ。

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