表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

英雄談

―――機械のような人生だった。目の前には機能を為さなくなった炭素の塊が大量に転がりその情景は永遠にこびりついて離れない。

何人の生きがいを奪い、人生を奪ってきただろう。どんな人間の憎しみも受けそのたびに逃げるなどという選択はしなかった。俺は正当化する気などない。


間違えてなどいないと、そう思いたかった。


罪を被り罪を受け、与えられない人生に与えられたことによって自分の使命を全うしてきた。


この間違いを認めてしまえば、受け入れてしまえば俺は、俺でいられなくなってしまうから。


ならばこの光景はなんだ。何度同じ風景を見せられている?


戦争のせいにすればいい。


軍人として付きまとう当然の物だと理解してしまえばいい。


そうすればさっさと報われる。なのになんだ。なぜ消えない。


それはきっと俺はわかっている。この人生の間違いなど、認めない限り永遠にこの景色は消えなどしないと。


彼女が笑っている光景だって、あの子の幸せそうにする顔だって黒く塗りつぶされいつまでもそれを繰り返す。彼女たちはきっと言っている。


忘れるなと。


この因縁カルマは俺を蝕む。死してなお縛り償い、認めろと迫る。


孤独の渦で永遠に向き合うことになる。


伝説の日本兵とは生涯報われることのなかった哀れな男の話だと、生涯何も為さず失っただけの男の話だと、いつになれば民は気づく―――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ