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【第二話】出会い

何時間くらい歩いただろうか。どれだけ歩いても同じ景色が続いている。


「あ~だりぃ…いつになったら森から出れるんだよ。腹も減ったし薬もキレてやる気がでねぇよ」


浩介の限界はピークに達しようとしていた。リアルではほとんど運動をしていなかったことやタバコの影響で肺の機能が下がっていたのだ。


「だりぃ…異世界なら何か能力で飛べたりしねぇのかなぁ」


すぐにこの世界に慣れた浩介であったが、この世界の仕組みまでは理解はしていなかった。


「ちょっと休憩するか」


あまりの足の疲れにその場に座り込み、この世界についての思案を始める。


現状から異世界であると判断をした浩介であったが、森を歩く中で変わったことは何もなかった。特別な植物や動物に出会ったわけでもなく超常現象にあったわかでもなかった。それでもここが異世界であると判断したのは浩介の天性の才能からであろう。


魔法の類や特別な特技による現状の打破も試みたが、そのような転生後に新たに身に付いた能力は特にはなかった。


何か少しでも新しい情報はないかなと考えていた時、近くの茂みから何か物音がしたような気がした。


「おいおいこんな時に冗談じゃないぜ。いやまてよ…もしかしたら女かもしれねぇしワンチャン食い物持ってる人間かもしれねぇ。もし魔物が出てきてもまぁどうにかなるだろう」


浩介は盗みの常習犯でもあった。そこで身につけた警察から隠れる時の動きで警戒しながら物音がした茂みに近づいていく。


「仮に魔物だとして襲われてもどうにかなるだろう。異世界なんだし死んだらリアルに戻るだけだろうからな。もし違っても何かチートみたいなもんで生き返るだろ。それより女だったら楽しみだな」


浩介は目の前にあるかもしれない獲物を想像し、欲望のままに茂みをかき分けた。


浩介は賭けに勝った。リアルで鍛え上げたギャンブルの勘が異世界で通用したのだ。


目の前にいたのは人間よりも耳の長い金髪の美しい少女だった。


初めて異世界で出会った住民は浩介の淡い期待を満たすものであった。


「へへ、こりゃエルフってやつかな?薬で女の幻覚を視ることはあったがこんないい娘は幻でも視ることはなかったぜ。」



自然と舌なめずりをし、目の前の娘に目を向ける。


下卑た視線を感じたのだろう金髪の娘は最初驚いた表情をしていたが今は怯えているようだ。


だがそれは浩介を喜ばせるだけであった。彼はリアルにいる時からそんな表情をする娘が大好物だったのだ。


「よーしお嬢ちゃん。言葉はわからねぇだろうが俺が今から何をするかはわかるだろ。異世界交流といこうや!」


浩介は静止するものがない世界で己を解き放とうとした。今この瞬間浩介は無敵だった。


「まて!!」


「あぁ何だ?俺の楽しみを邪魔する奴は!……ん?今言葉がわかったような。おい、お前もこっちにきた日本人か?」


声のしたほうに浩介は話しかけた。同じ境遇の人間なら仲間に出来るだろうし、なろくでもない人間なら一緒に楽しもうという魂胆だった。


だが返事は浩介の予想していたものと違った。声の先にいたのは同じエルフであろう大人びた娘であった。


ただ、さっきの娘と決定的に違うことはこちらに向けて剣を突き付けていることだった。


「貴様何者だ」


浩介はこの場をどうやって切り抜けようか思案し始めるのであった。

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