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ギルマスとの会談

ジュリアとの食事を楽しみ街を二人で歩いていた


とても良い雰囲気の中幸せに包まれていると

ギルドの中から走ってきた鼻息荒い親父が全てを台無しにする


俺達は諦めてギルマスの部屋へと案内されるままついていく


ギルマスは防音の魔道具を起動させ部屋の安全を説明して本題に入ろうとしている

「さてと、シン!約束通り全て話して貰うぞ!」

テーブルを挟み身を乗り出しながらギルマスが尋ねてくる


「話すも何も治療院で説明した通りだ、他に話すことなんて無いぞ?」血走ったギルマスの目を避けながらとぼけてみる


「そうか、たまたま先代が家に置いてあった薬が部位欠損薬だった、どうやって手に入れたかは知らないと言う話しだったな?」


「ああ、その通りだ」

「シン、俺の目を見ろ」ギルマスは真剣な目で語りだす


「もうすでに治療院でジュリアに起こった奇跡はこの国に広まりつつある。わかるな?瀕死の重傷が元通りに治ったんだ、治療院で働く治療師達の口から方々へと噂が流れている」


この世界には個人情報の保護はないんだな


「その噂を聞きつけた複数の貴族からギルドへと問い合わせが殺到している。皆、身内にけが人を抱える貴族ばかりだ。」ギルマスは困ったように顔を顰めながら説明する


「もう薬は残って無いぞ?ジュリアに全て使ってしまったから」無いものを寄越せ何て言われても厄介だ


「そんな事は重要では無いんだ。その薬があったと言う事実だけが彼等には重要で何としても手に入れようとして来るだろう。誰が一人の冒険者に貴重な薬を全て使ったと言って信じるんだ?」


「ジュリアを助けた事に後悔は無いが何か厄介事に巻き込まれそうだな」心配そうにこちらを見つめるジュリアの頭を撫ぜながら口にする


「厄介事では済まないかも知れないぞ?俺を信用して全てを話せ、お前達をできる限り守ってやるつもりだ」俺の目をじっと見つめながらギルマスが口にする


話して良いものか悩んでいると

「ギルマス、マーシャを呼んで契約出来る?絶対に口外しないって事」ジュリアがギルマスに尋ねる


「もちろん、大丈夫だ!少し待ってろ」

ギルマスは大きく頷き部屋から出て行く


「あのギルマスは信用出来るのか?」

俺はジュリアに尋ねる

「うん、私達にとって父親の様な人よ。現役時代は有名な冒険者だったのよ?」

ジュリアは笑顔で答える


少し待っていると

「待たせたな」ギルマスは小さな女の子を引き連れて戻って来た


「マーシャ、済まんがシンと俺との間に秘密厳守の契約の魔法をかけて欲しいんだ」ギルマスはジュリアのPTメンバーのマーシャに魔法をかける様に頼んでいる


「うん、いいよ。破った時のペナルティはどうする?」マーシャはギルマスに問いかける


「ふむ、その時はこの命を掛けよう」

ギルマスは真剣な表情でマーシャへと答える


マーシャはこちらを見つめて

「いいの?」少し驚きながら尋ねてくる


俺は頷きながら

「ああ、それぐらい重要な事を打ち明けるつもりだ」マーシャへと答え魔法をかけて貰う


〈古の契約に基づいて二人の間に守られる秘密をこの者の命を糧に〉マーシャの言葉にギルマスの身体が光り魔法は掛けられる


用が済んだマーシャはどんな話か興味深い様だが部屋を出て行って貰う


再び三人だけになった部屋の鍵を掛け防音の魔道具を確認してギルマスは俺達の前にゆっくりと腰掛ける


「これで良いな?本当の事を話してくれ」

ギルマスは真剣な表情で問いかけてくる


「わかった。少し長い話になるが構わないな?」

俺の問いに言葉ではなく頷く事で続きを促している


「信じられないだろうが俺はこの世界の人間ではないんだ、一度死んでこの世界に転移してきた。もう10年以上前の事だ、その時に神様からもらったこの賢者の書」腰に下げた本をギルマスの前に開いて置く


「この賢者の書に従って色々なポーションを作ったんだ。今回作った部位欠損ポーションは寝ずの番をしながら10年以上掛かる代物だもう一度同じものは作る気になれない」

俺の言葉を一つ一つ確かめる様にギルマスは瞬きもせずに聞いていた


「ふむ、転移者だったのか」

ギルマスは重苦しく口にする

「え?転移者を知っているの?」

ジュリアは驚きながら尋ねる


「ああ、この国の初代国王は転移者だと言われている」

この国は転移者が作った国なのか


「時代に大きな動きがある時には必ず影に転移者がいると言われているんだ」

「へ〜すごいんだね」


「それだけ世界への影響が大きいと言う事だな。俺もこの目で転移者を拝めるとはな」にやりと笑いながらギルマスは呟いている


「しかし、新たに薬が作るのが難しいとなると厄介だな」テーブルに肘をつきながら険しい顔でギルマスが唸っている


「無いものは仕方ないじゃない?作れないんじゃしょうがないよ!」ジュリアはギルマスの言葉を批判するように抗議している


「ジュリア、シンがもし片腕を失って同じ事が言えるか?」ギルマスはジュリアを見つめ優しく語りかける


返す言葉も無くジュリアは黙る

「そんな気持ちの貴族が沢山いるわけだ、中でもオーミュット伯爵家が一番厄介だな。あの伯爵は目的の為なら手段を選ばない事で有名なんだ、どうしたものか......」


ギルマスが真剣な表情で考え込む

しばらくして

「燃やすしかないな」

「「え?」」


「シン、悪いがお前の店を燃やすしかないだろう?何もかも燃えたと証言するしか無い。入手方法も何もかも全てを燃やす。これでどうだ?」

「ちょっ!ギルマス!何言ってんのよ!じゃあシンはどこに行けば良いのよ!!」ジュリアは怒りながら抗議している


しかし、考えてみれば燃やすのは良いかもしれない「わかった燃やしてくれ」俺の言葉に

「え?シン良いの?住む所無くなっちゃうよ?」

ジュリアが心配そうに聞いてくる


「ジュリアと一緒に住めば問題無いだろ?」

ギルマスがニヤニヤしながら口にする

「ああ、そうだな」さらりと答え、俺の店を燃やす計画に入る


俺達はこのままギルド一階で酒を飲みその間にギルマスが店に火を放つ中に爆発する物も置き証拠を全て消し去る


計画の打ち合わせを終え部屋を出ようとすると

「シン、もう一度賢者の書を少し見せてくれないか?」


やはり元冒険者だけあり興味があるのかギルマスが聞いてくる


「良いけど開く事はおろか持つことも出来ないぞ?」俺は本を再びテーブルに開きギルマスに見せる


「ふむ、何も書いていないな?言う通りページをめくる事も出来ないな、なんだ?この重さは!シン専用のユニークレアか、良いものを見た」

笑顔で礼を口にするギルマスと別れ俺達は一階の酒場で酒を飲みながら時間を潰す


全ては計画通り

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