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充足感溢れる日

自分の店に帰ってきたのは、夜も明けて朝日が昇る頃だった。


色々あって疲労感が半端無いが、隣を歩くジュリアのお陰で自然と笑みがこぼれる


朝日に輝くジュリアの髪に見惚れていると

「どうしたの?」顔を傾けて覗き込んでくる


可愛い、可愛い過ぎる

「ジュリアに見惚れてたんだ」

笑顔で返すと「もう!」照れたようにそっぽを向き俺の腕に抱きついてくる


幸せって良いものだな

店にたどり着き扉が開いていたのに気づく

慌てて飛び出して来たので戸締りを忘れていたようだ


店に入り鍵を掛け奥へと向かう

昨日まで沢山あったポーションは全て使い切ってしまったので店の中には何も残っていない


何も無い店の中を見回して、ジュリアは

「本当に全て使ったのね、ごめんなさい」

申し訳無さそうに俯きながら口にする


「いや、ジュリアが無事ならそれで良い」

俺の言葉に涙を零しながら抱きついてきて


「シンに何かあったら必ず私が助けるから」

俺を見つめながらそう口にして口付けを交わしごく自然に愛し合う


俺は寝ていないのもあって満足感と充足感とジュリアの肌の温もりに幸せな時を過ごし眠りにつく


(ぐ〜)

隣で眠るジュリアの可愛いお腹の音で目を覚ます


すっかり日が落ちて夜になっていた

隣を見るとジュリアが恥ずかしそうに

「ごめん、お腹が鳴っちゃった」テヘペロしながら呟いている


くすりと笑いながら、口付けを交わし服を着て街へ夕御飯を食べに行こうと提案する


「この前一緒に行った飯屋に行こう」俺が提案すると

「オッケー直ぐに準備するね」

治療院に運び込まれていたジュリアの荷物を解き中からピンク色のワンピースを着て太腿にベルトで護身用のナイフを付け準備完了


胸元が広く開いたワンピースはとてもけしからん状態だその大きな谷間は一体何を隠す為の物なんだ!馬鹿な事を考えながら服を着て準備をする


先週一緒に来たお店にたどり着き扉を開く

中からいらっしゃいの言葉と悲鳴が聞こえてくる

「きゃっ!ジュリア!あんた本当にジュリアちゃんなのかい!?」女将さんが手に持っていたお盆と料理を床に落としジュリアに詰め寄りながら身体を撫で回している


「ジュリアちゃん!あんた瀕死の重症で長く無いってPTの子達が泣いてたけど!あの子達私を騙したのね!」女将さんが憤慨しながら腕まくりをして店を出て行こうとする


「ちょ、ちょっと待っておばちゃん!怪我して重症だったのは本当のことなの、シンが治してくれたんだよ」ジュリアが店を飛び出して行こうとしている女将さんを掴まえながら訳を話している


女将さんは俺の方をみながら

「ええ?あんた!治療師だったのかい?それにしても瀕死の重傷を治すなんて腕利きの治療師なんだね」驚きながら尋ねてくる


なんと答えて良いのかわからずに曖昧に笑っておく


「それなら、快気祝いだ!好きなの頼みなあたしが奢ってあげるよ!」女将さんが豪気に宣言しながら胸を叩く「ありがとう♩」満面の笑みでジュリアは女将さんに抱きつく


「本当に良かったね、絶対にこの人逃したら駄目だよ!」女将さんがジュリアに言い聞かしている

「大丈夫!絶対に離れないから」ジュリアはこちらを向きながら笑顔で大きく頷いている


「ああ、俺も離す気は絶対に無いよ」

「くぅ〜!若いねぇ〜」女将はお惚気に当てられたように顔を歪ませながら俺達を席へと着かせ


「さぁ!好きな物頼みな!」メニューを手渡し笑顔で告げる、好意に甘えてお腹いっぱい食事を楽しんだ後しっかりとお礼を告げ店を後にする


魔道具の街灯の中、街をいい感じで歩く前世でも彼女が居なかったからこんな感じでデートしたことも無い俺は、隣に美女を連れて歩いている事が夢?なんじゃ無いのかと何度も頬を抓る


「何してるのシン?」首を傾けて俺の顔を覗き込みながらジュリアが尋ねてくる


「いや、幸せ過ぎて夢なんじゃ無いかと思って」

頬を抓りながら答える俺に


「ばか♩」俺の首に腕を回し口付けをしてくる


「どう?実感出来た?」唇を離し艶っぽい瞳で尋ねてくる


「ああ、俺の夢にこんな美人が出てくるわけないもんな」笑顔で答える


イチャイチャしながら街を歩き

冒険者ギルドの前を通りかかった時

「シン!待っていたぞ!!約束通り説明してもらうからな!」鼻息荒く建物の中からギルマスが走って近寄ってくる


そう言えば必ず説明しろなんて治療院で言ってたっけ


俺は溜息を吐きながらジュリアの方を向きどうするか尋ねる


ジュリアも仕方ないと諦めているようだ


ふぅ、せっかくの良い雰囲気が

おっさんのせいで台無しだ

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