同居生活
街の大通りに面した煉瓦作りのアパート
中世ヨーロッパの建築物の様な煉瓦で作られた少しお洒落な建物だ
ジュリアはこの建物の三階に部屋を借りているらしい
大きな通りに面しているので買い物もしやすく治安もそこそこに良い優良物件だと自慢している
しかし、今の俺にはその言葉に反応する余裕など無い
人生初の女の子の部屋
前世も合わせて人生初の女の子の部屋
チェリーは卒業したのになんだこの余裕の無さは!
しっかりとした煉瓦作りの螺旋階段を登り部屋の前へとたどり着く
分厚い木を金属で補強した扉には304の番号が打たれている
「えへへ、ちょっと待ってね」
ジュリアはこちらを振り向き鍵を取り出し扉に差し込む
[ガチャッ]
鍵の開く音が響き、いざ!人生初の桃源郷へ
「恥ずかしいからあんまりキョロキョロしないで」頬を染めながら口にするジュリア、笑顔の破壊力は想像以上にやばい
なんていい匂いなんだ
男友達の家にお邪魔した時はとても臭く窓を全開にした記憶があるのに。なんなんだこの違いは!
ジュリアの借りている部屋は6畳程の部屋が二つと台所、所謂2DK。部屋の中は簡素な家具とベットが一つイメージの中の女の子の部屋とは少し違うが所々にある小物は可愛いらしく華やかだ
「今日は疲れたでしょ?もう寝る?」
上目遣いで尋ねてくるジュリア
「そう言えば俺、何も持ってないよ。寝具も何も用意していない」今更ながら自分の状況を思い出す
ジュリアは何故かモジモジしながら
「私と一緒にベットで寝たらいいんじゃない?嫌なの?」頬を赤く染めながら少し潤んだ瞳で問いかけてくる
もう、ダメだ我慢出来ない
「とぅっ!」
「きゃぁっ」
俺はジュリアをベットへと押し倒す
そんなこんなでジュリアとの同棲は幕を開け静かにゆっくりと愛を育みながら一ヶ月が過ぎた
無事に回復したジュリアは元通り冒険者に戻り探索へ向かう。危険な職業なので気が休まらないが本人の希望なので仕方ない
俺はと言うと、特に何もせず街中をウロウロと歩き今後のことを考えていた。ギルマスから注意を受けていたのだが一ヶ月が過ぎ余裕が生まれて安全を過信してしまっていた
現代日本生まれなので危険に鈍いのは仕方ない
そんな、俺の油断が全ての幸せを俺から奪う事になるとはこの時は考えもしないで、ただ呑気に口笛を吹きながら街中を行く人を眺めていた