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金貨1枚で変わる冒険者生活  作者: 天野ハザマ


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僕がボスをなんとかする

 ガギン、と。金属同士のぶつかり合う重たげな音が響く。

 キャプテンスケルトンのカトラスとイストファの短剣がぶつかり合い、互いに弾かれるように距離をとる。

 強い、と。今の打ち合いでイストファはキャプテンスケルトンの評価を上方修正する。

 強いだろうとは思っていた。当然、油断など微塵もしていなかった。

 だが、此処に来るまでイストファも成長していたし短剣にはヘビーウェポンがかかっている。

 全力で打ち込めば体勢を崩すくらいは出来るだろうと思っていただけに、全くの互角であるのは衝撃だった。


「ガガガ!」

「ガガガガガ!」


 叫び声をあげながら斬りかかってくるスケルトン達の斬撃をイストファはバックステップで躱し、そこにドーマが踏み込んできてメイスを振るう。

 やはりヘビーウェポンのかかったメイスはスケルトンの腕の骨を剣ごと弾き飛ばし、続く盾でのシールドバッシュがキャプテンスケルトンに向けてスケルトンを弾き飛ばす。

 その隙にイストファがもう1体のスケルトンへと迫り頭蓋骨を短剣で弾き飛ばし蹴りで胴体を弾き飛ばすが……隙を狙っていたのはイストファだけではない。

 更に別のスケルトンがイストファとドーマの隙を狙い側面から斬りこんで、しかしドーマを狙っていた一体がカイルのボルトの魔法で吹き飛ばされる。

 当然イストファの方へと迫っていたスケルトンは何に妨害される事もなく斬撃を放つが、それがイストファを斬り裂く事はない。

 素早い動きで引き戻された短剣はスケルトンの剣を見事に防ぎ、そのまま押し返していた。


「せいっ!」


 気合と共にイストファは身体を半ば回転させるようにして小盾でスケルトンを弾き飛ばし、その隙を狙ってカイルのストーンショットの魔法がスケルトンの頭蓋骨を撃ち砕く。

 ドーマもスケルトンにトドメを刺し、これでキャプテンスケルトンの取り巻き達が全滅したと考えた矢先。

 手出しをせずに取り巻き達が全滅するのを見ていたキャプテンスケルトンが、骨だけの指をキン、と打ち鳴らす。

 その瞬間……地面を砕きながら地中から新たなスケルトン達が這い出して来る。


「えっ……!」


 顎を打ち鳴らしながら不快な笑い声をあげるキャプテンスケルトンを見て、イストファは察する。

 恐らく、この戦い方ではダメなのだと。たぶん取り巻きを倒しても、また同じように取り巻きが現れる。つまり……キャプテンスケルトンを倒す方法は、1つしかない。


「ドーマ、カイル! 僕がボスをなんとかする! 他、どうにか出来る!?」

「ぬ……!」


 その言葉に、カイルは一瞬返答に詰まる。

 倒すだけなら、威力の高い魔法の一撃にかけてもいい。

 取り巻きをイストファとドーマに任せて、カイルが2階層の時のようにやってもいいのだ。

 ……だが、それがキャプテンスケルトンをどうにかできるという保証はない。

 それに賭けるには……カイル自身、まだ自分の手札に自信がない。

 だからイストファの提案にのるしかないが、具体的にどうすれば。

 考えの纏まらないカイルの耳に届いたのは、ドーマの声だった。


「分かりました! 私が1体を戦闘終了まで抑え込みます! カイルは残りの殲滅を手伝ってください!」

「……分かった! まず一撃デカめのをいく!」


 もう悩む暇はない。カイルが叫び、ドーマが「ヘビーシールド!」と叫び盾に触れる。

 ほぼ同時に体勢を整えたスケルトン達が走り出し……瞬間、カイルが「伏せろ!」と叫ぶ。

 その瞬間、イストファは迷う事無く地面に転がる。スケルトン達は当然止まることは無いが……そのスケルトン達に向けられるのは、カイルの杖。


「メガン・ボルテクスッ!!」


 放たれたのは、枝分かれする電撃。轟音と共に放たれたそれは以前イストファが見たものよりも大きく、激しく。4体のスケルトン達を大きく弾き飛ばしていく。


「今だ、行け!」


 倒せてはいない。やはり自分の今の魔力ではこの魔法を扱いきれていない。

 その事実を悔しく思いながらも、カイルは叫ぶ。

 たとえそうであっても、隙は作れた。イストファはその隙を逃さずにキャプテンスケルトンへと向かい、ドーマは手近な倒れたスケルトンへと向かい走りだす。

 痛みを感じないスケルトン達は素早く起き上がろうとするが、その内の1体は起き上がろうとしたその瞬間にドーマのメイスに頭蓋を砕かれる。

 敵意を向けて向かってくる別のスケルトンをヘビーウェポンのかかったドーマの盾がシールドバッシュで砕き、その間にカイルのフリーズショットが別のスケルトンの足を地面に縫い付ける。

 そして……イストファは、再びキャプテンスケルトンの下へ辿り着く。


「今度こそ!」


 下から上へと切り込む斬撃。だがキャプテンスケルトンはそれを予想していたかのように弾き、即座に切り返しの一撃をイストファへと放つ。


「くっ!」

「ガガ!」


 小盾で逸らす暇もなく、イストファは転がりながらカトラスを回避する。

 だがキャプテンスケルトンの攻撃は終わらない。転がるイストファを追いカトラスを地面に突き刺し、それを何とか回避しながらイストファが体勢を立て直したその瞬間にも横薙ぎの一撃が放たれる。

 短剣で斬りあげることで何とか弾くも、イストファの頭のすぐ上をキャプテンスケルトンのカトラスが通り過ぎていく。


「こ、のお!」


 立ち上がりの勢いを利用した小盾のシールドバッシュでキャプテンスケルトンは僅かに下がるが、然程効いた様子もない。

 単純に強い。カイルの言っていた事の意味を、イストファは強く実感する。

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