俺と透子と宇宙人
初投稿です。
誤字脱字があります。
突然ですが、宇宙には地球人が知らない生命体が、存在します。
ちなみ、今、カフェでゆっくりアイスコーヒを飲んでくつろいでいる俺も、う・ちゅ・う・じん で~す。
えっ、宇宙人らしくない。
ただのチャラ男に見える。
君達、人を見かけで判断してはいけないぞ。
これでも、君達よりかなりかなり長く生きていている、大大大~先輩なのだ。
まあ、厳密に言えば、君達の想像する宇宙人でもない。
日本語らしく言えば、
「超高度思考的柔軟体進化型多機能最強空間生命体」
である。
生物と鉱物と空間と思考が混在する生命体だ。
しかし、我々の存在概念や次元を理解するのは、君達には難しいだろうから、宇宙人って呼んで貰えれば丈夫である。
地球から遥か遠い彼方の星、日本語らしく言えば、
「5236618ёwcpqm1pg88・・(略)・・964tDg093」
から来た。
あまりにも地球から遠すぎで、君達地球人が我々の星に訪れるのはたどり着くことはまず不可能である。
じゃあ、何故、俺はその遠い離れた星から来られたのか、聞きたいだろう。
仕方ないなぁ、知りたがりの君達に教えてやろう。
我々「超高度思考的柔軟体進化型多機能最強空間生命体」は、
先 天 的 に
空間移動出来ちゃう体質なのだ。
ふふん。
あっ、聞いてみて、なんかずるいと思ったでしょう。
なに、「裏技みたいな能力使ってるんだー!!」って、突っ込みたくなったでしょう。
別に、空間移動能力を使わなくたって、ワープ出来る宇宙船を作ることは、めちゃめちゃ簡単なことなんだ。
でも、そう簡単に、地球にバンバン宇宙船が来たら、地球人は混乱するだろう。
その為にも、敢えて、地球に静かに来てあげているわけさ。
優しいよな俺達。うん。
ちなみに、空間移動能力は、体質であって魔法とかではない。
「貴矢、待ったぁ。」
サイドメニューのポテトフライを食べていると、柔らかい髪をふわりと揺らしながら、待ち合わせしていた女の子が、明るい声で近づいて来た。
高松 透子、高校からの知り合いで、大学も一緒。よく行動を共にしている。
小顔で可愛いけど、眉がきっちりしていて知的な雰囲気も醸し出し、いつも優しく笑って、回りに安心感を与えてくれる。
がり勉ではないけど、成績は良く、常に上位。
同級からだけじゃなく、先生からも好かれ、優等生タイプだ。
最近は、高校時代と違って、薄く化粧をするようになって、周りからは大人な感じも出てきたと、ますます人気が出ている。
そして俺は、桐谷 貴矢となって、この東京に暮らしている。
「透子、お早う。そんなには待ってないよ。透子、今日も可愛いね。」
「もう、相変わらず、貴矢は軽いんだから。」
透子に軽く肩を叩かれた。
「そうかなあ。」
はははって笑っていると、周り男性客からの視線がチラチラ。
透子を見ている様子だ。
「ほら、透子を見ている男性があちこち。」
ちょっと、小声で話しかける。
「それなら、貴矢を見ている女子の方が多いんじゃない。無駄に顔だけはいいし。」
まあ、確かに女の子の視線は、少なからず感じてはいたが。
「無駄にって、、、本当に透子って、顔に似合わず言うことが、きついよなぁ。黙っていれば、可愛いのに。」
「別に、可愛いくなくていいもん。」
そんなことを拗ねた感じで言う仕草も、可愛いんだろうけど。
まあ、本音を言えば、俺は地球人の美醜はどうでもいい。
時代や場所で変わってくるし、俺達宇宙人は地球人の外見にあまり意味はない。
ただ、地球に住む以上、円滑に生活が出来るように、地球人に感覚を合わせて発言をしているだけである。
「で、今日はどんな予定なの?」
分かっては、いるがとりあえず透子に尋ねてみた。
「もちろん、宇宙人探しよ!! この、東卓大学の宇宙人愛好家サークルの名誉にかけて、必ずしも見つけ出してみせる。」
どこぞのアニメ張りに、ポーズを決める透子。
「まあ、メンバーは、俺達2人だけだけどね。」
と、思わず乾いた笑いで突っ込んでしまう。
この宇宙人愛好家サークルは、透子が東卓大学に入学してから自ら立ち上げたサークルである。
この、才色兼備の高松透子に問題があるとすれば、宇宙人への愛だろう。
高校時代から始まった気がする。何故かある日、「宇宙人は存在する。」って言い出し、宇宙人に関する資料を集め出したのだ。
無駄に、行動力がある分、厄介である。
そして、何故、宇宙人愛好家サークルのメンバーが2人しかいないのか。
それは、このサークルの活動が、なかなかハードだからである。
最初は、透子が部長だったから、例えとてつもなく怪しいサークルでも、男性中心にメンバーがいっぱい集まっていた。
しかし活動が、授業が終わったあと宇宙人を呼ぶ祈りをあらゆる方法で試したり、休日は宇宙人の痕跡を探すため噂がある場所を巡ったりと、スケジュールが隙間なく決められていて、自由な時間が全然なかったのだ。
これには、流石の透子目当ての男達も、1人減って2人減って、最終的には透子しか残らなかった、、、はずだった。
「それにしても、勝手に、俺の名前を副部長に使うのって、反則だよな。」
「えっ、頼んだら、副部長になってくれた?」
「いや、絶対 い や。」
「でしょう。だから、無断で副部長になって貰ったの。」
透子が、ウフフって、悪い顔で笑っている。
恐ろしいことに、透子は宇宙人愛好家サークルを立ち上げる際に、俺を勝手に副部長に登録していたのだ。
メンバーが、透子だけになってから告げられた。
マジかよって、思ったが、特別に大学ですることもなかったから、少しだけなら活動を助けてもいいかなって、思って参加したら、がっつり活動を強制参加させられることになったのだ。
サークルは、うちの大学では本来5名でないと認められないだが、そこは優等生で顔の広い透子が、先生から来年頃までにメンバーを5人集めればいいと、緩い約束を取り付けて、今に至っている。
まさしく、透子の透子による透子のための宇宙人愛好家サークルなのである。
「今日は、何処に行くの?」
「明治神宮に行く。」
「何か、目撃情報でもあったの。」
「ないよ。なんとなく今日居そうだなぁって。勘かな。」
おっと、今までは少なくとも、目撃情報や不思議な出来事が起こる場所に出向いていたが、、、
恐るべき、勘。
本日は、いつも以上に振り回される予感がする。
「じゃあ、電車に乗って行こうか。」
透子は、嬉しそうに言った。
透子が一方的に宇宙人論を熱弁しているだけなのだが、端から見ると、イチャついている様に見えている俺達は、明治神宮にたどり着く。
たくさんの参拝客が神社を行き来し、楽しんでいた。
「どう、宇宙人居る?」
尋ねると、透子はコクっと頷いた。
透子の目線の先には、参拝している金髪外国人の母と幼い娘の二人連れがいた。どう見ても、観光を楽しんでいる親子だ。
「どっちが、宇宙人?もしかして二人とも?」
とりあえず、聞いてみる。
「女の子の方。」
女の子は、小学生低学年位で、整った顔、青い目、カールの金髪、白い肌で、西洋人形そのものだ。
「どうして、女の子が宇宙人だと思うの。」
普通に考えたら、宇宙人には見えないのに、何の根拠があるのか、それが知りたい。
「一昨日あたりからかな、人とは違う気配を成田空港の方角から感じたの。そして、今日は明治神宮あたりから気配を感じたから、その周囲を探せば居るんじゃないかと思ってね。」
話しを、続ける。
「気配を感じる場所が、観光地を移動しているから、予想で外国人観光客のふりをしているのかなって思っていたけど、当たったね。」
透子は、言った。
そこで確信した。
「透子、君は、宇宙人が分かるんだね。」
「うん。」
透子が返事をしたら、外国人の女の子がくるっと首を回し、俺の方を見た。
その瞬間、空間が止まる。周りが、俺と女の子以外は、固まって動かない。
「その子、やっぱり妾達の存在が分かるんだな。」
女の子が、大人な口調で話す。
「そうみたいだね。」
俺は、肩をすくめた。
地球人の中には、将来的に未来を変える存在がいる。
宗教や哲学、科学や音楽、指導者や体質的な面等の様々な分野で。
ただそんな人達は、我々宇宙人には、光のようなオーラが見えるのだ。
ほんの僅かだか、確かな耀き。
分かりやすい人物で言えば、かつて織田信長や坂本龍馬あたりが持っていたかな。名が歴史に残ってない人もいるが。
我々は、『光る者』と表現している。
しかし、『光る者』が、必ず将来何かする訳でもない。
普通に一生を終えるものもいる。
あくまでも、可能性があるだけではあるが、オーラがない者に比べて、格段に未来に影響を与える確率は高い。
我々は、『光る者』を、第3者として側で観察をするのを趣味にしている者達だ。時には、家族や友人になったりや、ただ近所に成り済ましたり、やり方は皆それぞれだ。
「すまない。その母親が『光る者』なのだろう。」
「ああ、この子の母親が、『光る者』だ。妾は、普段はこの子の意識下にいて、表に出てこないんだがな。」
「何かその子と、取引したのか。」
別に、何も取引しなくも人間の意識を乗っ取ることは出来るが、あまりそういうことはしない。
出来るだけ、相手の意志を尊重するようにしている。
あと、人間の形をとることも出来るが、近くで観察したい場合は、やはり身内の中に潜り込むのが、一番良い。
「ああ、この子は元々虚弱体質でな。下手すると長くは生きられん可能性もあったが、妾が入り込むことで、除々に体質改善をしているところだ。ちゃんと、この子の許可も貰っているぞ。この子は忘れているがな。」
「そうなのか。」
「妾は、この子の母親を見ておきたい。その為に、母親に変な猜疑心を持たれたくない。」
「ああ、分かっている。透子には関わらせないようにするよ。」
「分かっているなら、良い。空間解除するから、そのあとは、そちらで勝手にやってくれ。こちらを巻き込むな。」
そう言うと、直ぐ周りが動き出した。
透子は、直ぐに外国人親子に話しかけようとした。
俺は、慌てて透子の肩を軽く叩き、透子は俺に振り返る。
「どうしたの、貴矢?」
不思議な顔をして聞いてきた。
透子の後ろの方では、女の子が母親を誘導して別の場所に移動している。
「透子は俺が何者なのか気付いている?」
「うん、宇宙人なんでしょう。今日、あの女の子を見るまでは、確証は持てなかったけど。」
「そうなんだ。ここで話すには人通りが多いし、どこか別の場所に行く?」
「いいわよ。」
透子は、いつも通りの笑顔で微笑んだ。
「結局、ここか。」
貴矢は、頭をボリボリ掻いた。
大学の一室で、宇宙人愛好家サークルの部屋である。
「ここなら、変な話しをして誰かに聞かれても、いつものことだから、大丈夫じゃない。」
透子の言う通り、いつも(透子だけだが)宇宙人の話しばかりしているから、俺が宇宙人だって話しをしても、新しい創作か何かのプレイにしか見えないだろう。
ただ、周りからの痛々し者を見る目は増すだろうけど。
「透子が、桐谷貴矢に俺がいるのに気付いたのは、高校2年の夏、貴矢の父が死んだ後くらいかな。」
透子は、肯定の意味で頷く。
その頃に、俺が貴矢の中に入ったからだ。
その頃から、透子は全く接点がない貴矢に話しかけ、宇宙人の研究をし始めた。
薄々、貴矢の中に俺がいるのに気付いたのかなって思っていたが、透子がその事に触れないので、様子をみていた。
「透子は、俺を追い出そうとは思わなかったの。」
「だって、あなたを追い出すと、貴矢は死んじゃうでしょう。」
「そうだね。」
その頃の貴矢の話をしよう。
貴矢は、小さい頃に両親が離婚し、母親が死ぬまではそこそこ幸せだった。
しかし、中学の時に母親が死亡し、仕方なく父親に引き取られてからは、地獄だった。
父親は、元々貴矢に対して愛情が薄く、引き取らざる得なくなってからは、貧乏ということもあり、厄介者がきたと思いが強くなり、暴力を振るうようになった。
最初は、足蹴程度だったが、除々にエスカレートして、日常的に暴力が続くようになった。
顔だけは、避けていたようだったが。
食事も、インスタントものが多かった。
高校は、母方の祖父が高校までは出させたいと言って、お金を工面してくれた。
そんなある日、母が貴矢に保険金を掛けており、母が亡くなっても母方の祖父が払い続けていることを、父親は知ってしまった。
父親は、その頃は借金もするようになっており、その日の生活も苦しい状況になっていた。たかだか死亡時の保険金150万でも、魅力的に見えたのだ。
厄介者のが死ぬ上に、お金まで手に入ると、思考がそこまで屑に落ちていた。
そこで夜中に、一緒に星空を見ようと貴矢をアパートのベランダに誘い、タバコを着けるふりをしながら貴矢の後ろに回り込み、貴矢を背中を押して、ベランダから落とそうした。
しかし、貴矢は何か不穏な雰囲気を察知し、振り向くと、父親がベランダから落とそうとしているのに気付き、力一杯に父親を振り払った。
すると、父親の方がベランダから転落してしまったのだ。
慌てて救急車を呼んだが、即死であった。
父親のベランダから転落は、不慮の事故で片付けられたが、貴矢の心は崩壊した。
父親が自分を殺そうとしたことの絶望と、自分が振り払わなかったら父親が死ななかったのではないかと罪悪感で、心を正気を保つことが出来なくなっていた。
父親の葬式が終わった後、ふらっと電車に乗り、見知らぬ駅で降りる。
貴矢は引き寄せられるように、海に入ろうとしていた。
そこで、俺は貴矢の頭に直接話しかけた。
『生きるのが辛いなら、代わりの人生を俺が生きてやろうか。』
生きるも死ぬももうどちらでもいい貴矢は、意識を手放し、俺に預けた。
それからの俺は、貴矢がこんな性格になりたかったという、理想を演じたにすぎなかった。
そう、貴矢は毎日楽しく普通に何処でもいる青年として過ごすことが、貴矢の夢だったのだ。
俺に意識を預けていく間、貴矢はゆっくりと心の回復をしていった。
透子は、自分の話をしてくれた。
透子は、少し裕福な家庭に一番目の子供として生まれた。
物に不自由したことはないが、父親は厳しかった。
成績で一番を取れない、人前で礼儀作法をきちんと出来ないなど、世間体が悪いことがあれば、家で怒鳴られ叩かれていた。
母は、止めることなく遠巻きに見ているだけであった。
透子は必死に演じ、表向きは仲の良い幸せな家族として映っていた。
ただ父親は、弟や妹には甘かった。怒られるところを見たことはなかった。
家族旅行があったが、いつも自分が一人で留守番をさせられ、他人に聞かれたら風邪を引いたことになっていた。
透子に優しかったのは、週一程度に遊びにくる祖母だけであった。
祖母は、いつも父親に辛く当たられる透子を憐れんでか、何かと優しく接してくれた。
透子にとって、祖母はこの閉鎖された家の中で唯一の救いであった。
ある日、父親と祖母が話しているのを、廊下で通りがかり、偶然聞いた。
祖母は、母親と今は亡き父の弟の間に出来た透子にも優しくしてくれと、父親に説得しているようだった。
そこで、父親が自分に愛情を向けて貰えない理由を知った。
父親は、その後も態度を変えることはなかった。
透子が高校に上がり、始めて貴矢に出会った。
一目見た時から、同じ境遇なのが分かった。
貴矢の方が自分より余裕がない様子で、なかなか話すタイミングがなく、またどう話せばいいかも分からず、ただ時間だけが過ぎていった。
そんな時に貴矢の父親の死亡。
もう、貴矢が限界状態にいることを感じた透子は、次に貴矢が学校に来た時は話しかけようと決意したが、時は既に遅し。
貴矢が次に学校に来た時は、貴矢の中に別の生命体がいるのを感じた。
最初は別の生命体を感じる自分に驚いた。
今までそんな特殊能力を持っているとは思わなかったからだ。
ただ、貴矢の中に入っている生命体が、貴矢自身を乗っ取ったり、傷つけたりしないことが分かり、むしろ追い出したら、精神的にダメージが強く、生きていけないかもしれないと思った。
だから、透子は様子をみることにした。
ただ、側にいて今度こそ何かあれば支えようと思った。
まあ、貴矢に取り付いているのが、宇宙人だと結論付けたのは、偶然当たってたに過ぎない。
幽霊でも、化け物とかの類いとは違う、別の生命体に感じたので、自分達と違う生命体なら宇宙人だろうと結論付けただけで、確証を持って宇宙人だと思っていた分けではない。
「俺は、貴矢から離れるよ。」
俺は透子に伝えた。
「貴矢は、どうなるの。」
透子は心配そうに、俺を見ている。
「貴矢に入りこんでからの俺がやったことは、うっすらとした記憶として貴矢の中にあるよ。俺の存在は忘れるだろうけど。俺が離れたら、やはり父親のことで悩むかもしれないが、もう透子がいるから大丈夫だろう。」
透子は、頷く。
俺の意識の下で、透子の思いが伝わり、時間の経過で除々に心の傷も癒され、俺が離れても死ぬことはないだろう。
「じゃあ、バイバイ。」
そう言うと、貴矢の体から離れた。
「あれ。」
貴矢は、ボンヤリした気分だった。何でここに居るんだろう。
そこに、女の子が抱きついてきた。
この女の子は知っている。透子だ。
じわりと温もりを感じた。いつも側にいてくれた、優しい温もり。
「大丈夫、これからは側にいるから。」
透子はそう言ってくれた。
何故、そう言ってくれるのか分からないが、透子が真剣に言ってくれるのが分かった。
「ありがとう、透 子 さ ん。」
あれ、透子って言うのが、慣れてない。何回も言っているはずが。
透子は、クスリと笑い、
「透子でいいよ。」
って言ってくれた。
成田空港。
俺は、普通の30代のスーツを着たサラリーマン男性になっていた。誰かに取り付いた訳ではなく、変身だ。
明治神宮の外国人親子がいた。
母親の方が、女の子を椅子に座らせ、カウンターに手続きに行った。
その隙に横に座った。
俺達宇宙人は、形が変わろうと、お互い誰なのかの認識は出来る。
お互い顔を合わせず、小声で話すので、周りからはただの他人にしか見えないだろう。
「今回は、すまなかった。」
「いや、構わないぞ。しかし、珍しいの。妾達の存在が分かるとは。それで、側にいたのか。」
「いや、あの取り付いた男の子とあの女の子が、『光る者』だったから側にいた。あの女の子の能力は予想外の出来事だ。」
「ほう、二人同時に『光る者』とは珍しいのう。」
そう、貴矢と透子は、『光る者』だった。
俺は、猫になって二人の様子を見ていたが、貴矢の父親が亡くなって、貴矢が生きる気力が無くなった時に、二人のオーラが同時に弱くなったのだ。
俺は、二人が揃わないと『光る者』として、未来に繋がらないのではと思った俺は、貴矢が死にそうになっているところを慌てて助けたのだ。
俺が、助けた後はまた二人のオーラが元に戻ったので、やはり二人が揃わないと、『光る者』にならないのかと感じた。
「これからどうするのだ。また、二人の側で観察するのか。」
それも出来ないでもないが、
「いや、ちょっと母星に戻るよ。」
「そうか、妾も最近帰ってないなあ。」
「じゃあ、またな。」
今度、いつ会えるか分からないが、俺達は死なない。いつかまた会えるだろう。
俺が席を立ったころ、女の子の母親が帰ってきた。
俺は、女の子の親子が飛行機で日本を去って行くのを見届けた。
「さて、俺も帰りますか。」
多分、透子は少なくとも俺が日本から居なくなったことに気付くかなって思いながら、道を曲がり、誰もいないのを確認した瞬間、消えた。
読んで下さる人がいるかどうか分かりませんが、読んで下さる方が一人でもいれば、ありがとうございます。
とりあえず投稿してみました。
自分でも、何のジャンルか分かりません(笑)