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増幅使いの這い上がり  作者: aaa168(スリーエー)
『灰色の少女』編
97/127

戦車を倒した後、俺達は塔の方へと進む。


近付けば近付く程大きく感じていたが、こうして目の前になると一層だ。


散りばめられた青いライトが俺達を照らすが、もう戦車以外機械は見当たらない。



「あいつが、この塔の守護者だったのかもな」



結局いつか対峙していたのなら、今倒せて良かったのかもしれない。


しかし油断は大敵。



「樹、また何か魔力を感じたら教えてくれ」



樹は魔力量が多いからか、そういう感知に優れている。


俺もこれまでの経験で大分殺意に気付けたが、樹の方が優秀だ。



「……」



任せて、というように頷く樹。


俺はそれを確認してから、塔の周囲を散策する。




この塔は、周辺は特に何もないように見える……先程の戦車が戦いやすいようにだろうか?平らな地面が塔の周りを囲っているようだ。



今のところ入口は見当たらないが――どこかに必ずあるはず。




―――――――――――




「……これが、鍵っぽいな」




塔の周囲を歩き回るのを繰り返し一時間程。


これだけ巨大だと、入口を見つけるのが億劫だ。



でも、苦労の甲斐あって、それっぽい所を見つけることが出来た。



全体の大きさの割に、かなり小さなドアのような場所。


まるで隠されたかのようにあったそれは、最初は通り過ぎて二周目にやっと気付く事が出来た。



そしてそのドアノブのようなものには、小さな『何かを差し込む』所があった。


こんな機械の町に似合わない、違和感のあるその穴。





「……鍵?」




樹は『それ』を見てそう呟く。



「かもしれない」



ドアノブらしきものを回すものの、やはり開かない。


どうする?壊してしまうか?……いいや。恐らくこれはそんな柔いものじゃない。


この塔の入口……相当厳重なのだろう。それに、無理やり入ろうとして『何か』に感知されたらそれこそ不味い。



「……どうしたもんか」



考える。


恐らく入口はここだけ。何処かに鍵が落ちているわけもないし……


……ん?鍵?





「……藍君?」



「……いや、そんな、まさかな」




突然カバンをごそごそしだす俺に、樹が不思議そうな顔をする。


俺がしようとしている事は、かなり現実味のない事。


ただリスクもない。いや……リスクはあるか。もし変なものをこの穴に突っ込めば……アラームみたいなものが鳴るかもしれないな。



「うーん」


「……?」



このまま止まっていても時間が過ぎるだけ。


また戦車のようなヤツが出てきたら面倒だ……よし。



「樹、ちょっと試したい事がある。もし失敗したらすぐ逃げるぞ」


「……!」



頷く樹を確認して、俺はカバンの奥から『あるモノ』を取り出す。


金属で出来たそれは、軽く手に握れる程小さい。


平で、大小形状それぞれ様々な凹凸のブレードに、丸い頭部。






……そう、()()()()()だ。別に特別でもなんでもない。


使う事ないなんて思っていたから……かなりカバンの奥にあった。


まあでも俺の能力はモノの力を増幅させる――可能性はある。


これでもし解錠する事が出来たら、それこそ窃盗をやりたい放題なんだが……無論そんなことしないけどさ。



ただこれも、かなりの不法侵入だ。まあ今回はしょうがない。


人はいないはずだし、いたらその時だ。


誰か中にいたら謝ろう……




「よし」




期待は一割程度。


逃げる準備だけしておく。



「『増幅』」



俺は、手に持った鍵に魔力を込める。



すると、金属で光沢があった鍵が、詠唱と共に更に光る。



そして。




「どうだ……?」




俺は勢いままに、その穴へ突っ込んだ。




「っ!」




……は、入ったぞ。


違和感などなかった。



この勢いのまま。


そのまま頭部を回して――――








―――――ガチャ










「あ、え、開いたのか……」





まさか開くとは思わなかった。


これは……ピッキング、と呼んでいいのか?




「……!」




影から覗く樹も、茫然としている。


いやまあ、そりゃそうだよな……色んな意味で俺の能力は悪用出来そうだ。


勿論やらないけど。



「……まあいいか」



少し自分の能力にびっくりしたが、入れるのであればそれでいい。


警告音なども聞こえない。これは大丈夫そうかな……




「……」



俺の傍に寄る樹。


樹は準備万端の様。



……さて、行こうか!


面白い、続いて欲しい!と思っていただけたら、ブックマーク押して貰えると幸いです。


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