始まり
短め。またもう一話今日中に投稿します。
「……もう、これだけ経ってたんだな」
あれから、どれ程経っただろう。
そう思って腕時計に目をやれば、過ぎ去った時間の長さに驚く。
ざっと一ヶ月程か。……大分この土地にも、慣れてきたかもしれない。
「……っと、もうこんな時間だ」
俺達は、今『ダンジョン』の中にいる。
まあダンジョンってのは俺が勝手に名付けただけだけだ。
たしか、それにはじめて遭遇したのは、2週間前ぐらいだったか。
……俺達がひたすら進んでいると、違和感のある大きな穴があった。
まるで俺達を誘うように中は淡く光っており、奥は全く見えない。
「――――!」
俺達がそこに近付こうとした時、急に穴から機械ではない、黒い鹿のような化け物が出てくる。
それは俺達に気付く事なく、灰色の世界へ消えていった。
淡く光る穴、中から出てきた機械ではない化け物。俺の頭の中で、その名前が浮かんだのだ。
中の魔物は最早俺達の敵ではなく、最奥までは直ぐに辿り着いて……俺達の寝床になった。
そこまで深くなかったし、中の魔物は機械の化け物の劣化したようなものだったから。
擬態の機械が出て来たあの時……『エリア』が変わった時から、ちょくちょくこんな『ダンジョン』が現れている。
ここは今まで機械が入って来ていない為、良い寝床が出来て大助かりだ。
外の寒風を避けられるし、安全だしで完璧である。
そりゃ……欲を言えば暖かい布団がいいけどさ。
こうやって安全に寝る事が出来るというだけで、旅の進み具合はかなり向上した。
今まで交代交代で寝ていたのが、もう同時に寝られるからな。
「……へへ、藍君……」
横を見れば、寝言を言う樹。
今日もゆっくり寝れて良かった。
俺は寝床から起き上がり、背伸びをする。
「さて、朝のトレーニングからだな」
今日も、頑張って生き抜こうか。
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