異世界の歓迎会
俺の頭がなんとか冷えたころ、俺達は晩餐会の会場へ連れられていた。
舞踏会とかやってそうなぐらい広い感じだな、おお、あれが異世界の料理かー。
料理は、中央の机の方にあり、様々なものがある。見た目はそこまで派手じゃないな。
クラスメイト達も今まで来たことのない、豪華すぎる会場と中央にある異世界の料理に言葉もでないようである。
奥の王座に王様が座っており、隣には王妃と思われるおばあさん、王女や王子らしき美少年の姿も見える。国王も昔はすごいイケメンだったのだろうか。
また、いかにも騎士団長っぽい人やその部下、また魔術師みたいな人もいて、総勢で50名ほどいるみたいだ。
「勇者様方、改めてこの世界へようこそ!存分に今日は楽しんで、英気を養ってくれたまえ。」
と、王様が言い、それに続いて俺達以外の人たちが拍手をしてくれる。なんか照れくさい。
それからは、存分に料理を楽しんだ。味は王様があれだけ言う程だ。美味しくないとおかしいぐらいだろう。
特にこの、異世界の果物?の盛り合わせが美味しい。こんなのが生えてるんだな……悪くないな。異世界。
気付いたらかなり平らげてしまったようだ……食べるのに夢中になってしまった。
立食パーティー形式なので、当然異世界の人達とも話しているクラスメイトは多い。
当然美人な人もいるのだが、隼人の方に質問攻めをしているようだ。あいつも大変だな。
雫は、これまた政治のえらーい人っぽい人に言い寄られている。まあ、雫はまったく動じておらず、断りをいれているようだ。
他のクラスメイトも、思い思いに過ごしているようである。
それで俺は……樹の姿を探した。
樹って、小さいからどこにいるのか分かりにくいんだよな……
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探し続けて5分程。
「はあ、はあ……いた……ん?」
やっと見つけた樹だったが――何者かが樹のすぐ前に立っていた。
誰かと話しているのか?
樹の前にいるのは、この場にはあまり相応しくない格好をした青年だ。
というと、青い軽そうな鎧をつけており、下につけている布地の服はぼろぼろである。
背中には身長ぐらいある剣を背負っていて、腰にも普通の剣が差さっている。
黒い目に加えて黒い髪と、珍しく『ファンタジーっぽさ』が抑えられてるな。
「おーい樹、誰と話してるんだ?」
「……」
うん。いつも通り。
「おお、お前も異世界から来たっていう奴か?それならこの子の知り合いか?何も話してくれなくてな。」
無言の樹を見ていると、樹と話してた?人がちょっと困った顔でたずねて来た。
「はは、こいつちょっと話すのが苦手なんですよ。それでどうしました?」
うん、苦手なのかは知らないがこう言っとこう。
「そうかそうか、まあしょうがないな。俺の名前はアルス。この先あんま関わる事はないと思うが――よろしく頼むぜ勇者様?」
「俺の名前は藍祐介っていいます。よろしくお願いします。アルスさんは騎士の?」
「ん?ああ俺はあんなお偉い奴らじゃない。もし仮に頭を下げられてもやらねーわな」
……よく分からない人だな。
「さて、よその世界から来たって奴らがどんなもんか見れたから、もう居る必要もねえな。じゃあな。」
「え?はい!」
「――ああ、そうだ、お前」
ハッとしたように、アルスさんが俺に声をかける。
「まあ頑張れよ、特にお前は――ただまあ、一つ言えるのなら……何事も、『理由』があるもんだ」
それだけ言うと、笑って会場からでていった。
ほんとに誰だったんだろうか。まあ只者ではないだろう。
『理由』か――今は、その言葉の意味が全く分からない……
「……」
あ、樹がこっちを見てる。そういえばあれから話してなかったな…
「樹、さっきはごめん。取り乱したけど、俺はあの時、樹と話せて本当に嬉しかったんだ」
「……」
少しの間こっちに顔を向けて、樹はどこかへいってしまった。
……まあ、そりゃそうだよな。
うーん、やっぱり怒ってるかな……明日また、話にいくか。
それからは、立食パーティーもお開きとなり……部屋に戻った俺は、一瞬で眠りについたのだった。
異世界のベッド……悪くないぞ。
明日から戦い方を学ぶらしいが、どうなってしまうのだろうか。
なかなか進まない……ごめんなさい。