二人
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樹の部屋につく。
そのまま俺達は、部屋の中へ。
ついこの前入ったこの部屋が、大分昔の事のように思えた。
「さて」
靴を脱いで床に座り、対面する。
……そんな見つめられると、恥ずかしいんだけども。
「樹」
決めていた事を、告げる。
「俺は、しばらくここから離れるよ」
そう言うと共に、樹の表情が暗くなるのが分かる。
「昨日、王女様からの通達が来たってのもあるんだが……俺は、強くなりたいんだ。外の世界を見て、非現実な化物と戦って、この世界を、一人で生きれるようになって」
樹を、真っ直ぐ見て言う。
「お前を守れるぐらい、強くなりたいんだ」
キョトンとする、樹。
あれ……なんか変なセリフになってる気が……
いやでも、間違っちゃいない。
「……無いと思うが、あの三人が何か俺に仕返しをしてくるかもしれない。まあそれに、出るのは早い方がいいからな」
区切りをつけて、言う。
「早いけど、もう朝には出るよ」
これで言うべき事は、全て言い終わった。
それでも、俺はここから離れられない。
……樹が、その小さい手で、俺の服を掴んでいるから。
「……」
しばらく無言の時間が続く。
不意に、樹が手を退けて向き直る。
口を少し開いては閉じてを繰り返した後。
「……藍、くんは、もうとっくに、強いよ。誰よりも」
恥ずかしいのか、こっちを見たり下を向いたりしながらそう言う、樹。
「だか、ら」
目を隠すように、前髪を手で押さえながら俺の方を向く樹。
「僕と……一緒に、いて、ほしい、外に行くなら、一緒に、行く」
必死に、紡ぐように、言葉を探しながら言う樹。
……その姿とその言葉は、俺の一人で行くという思念を壊すには、十分すぎる程だった。
「っ!分かった。一緒に行こう、樹」
返答はもちろんイエス。
というか、断る選択肢は無くなっていた。
「……」
わ、分かったからそんな嬉しそうな顔をするんじゃない!




