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披露


部屋に戻って少ししてから、雫の部屋へ向かう。


えーっと、確かここだったな。


コンコンとノックする。


「はーい!祐介だよね!」


雫の声が聞こえると、すぐにドアが開く。


「お待たせしましたー!」


元気がいいな、雫は。


「はは、待ってない待ってない。んじゃ行くか。」


雑談を交えながら、もう人気がない廊下を歩いていく。


雫によると、明日は固有魔法の授業だそうだ。


マールさんが言っていたらしい。


……俺のように図書館でも行くのだろうか?


まあ、俺はもう見る必要も無いし、授業に出る意味もないか。


そんなことを雑談交じりに考えていると、もう着いたようで。


「ごめんな、こんな遅くに」


辺りはもう真っ暗だ。灯りがなかったら何も見えないな。


「いいよ!それでどうしたの?」


全く気にしてない様子で言ってくれる雫。


悪いし、さっさと終わらせよう。


「そうだな、さっそくなんだが、これを点けてみて欲しいんだ」


俺はそう言って、ポケットからライターを取り出す。


「う、うん?わかった」


少し顔に疑問を浮かべる雫。


「点け方、わかるか?」


こんなライターなので、一応聞く。


「うん、ドラマとかで見た!」


はは、確かにありそうだ。


雫はぎこちなくも、点火に成功する。


「それでそのまま手から、魔力を放出してみてくれ。」


雫は、頷くとその通りにしてくれる。


……変化、なしか。ここまでは予想通り。


「雫、そのままでいてくれ」


雫の腕を掴み、魔力を流し込むイメージで放出する。


「……んっ、うん」


「体とか。変化はないか?」


「……ないかな」


ライターの方も、変化なし。


やっぱり、自分じゃないと駄目みたいだな。


「ありがとう、これで以上だよ。」


雫からライターを受けとる。


「そう?役に立てたならいいけど……」


不思議そうに言う雫。


「ああ、助かった。実は、俺の魔法はまだ分からないことだらけでさ」


「え?魔法……使えるの?」


驚いた表情をする雫。そういや、まだ言ってなかったっけな。


「ああ。魔法ってのも疑問だけどな、ほら」


雫の前で、ライターの火を『増幅』させてやる。


「何これ!……確かに、よく分からない魔法だね」


「はは、だろ。」


本当はこの後一人で試すつもりだったが。


その、あることを雫にやってみせる。


「凄い凄い!火のボール!」


ライターの火は、いつも魔力を変形させるときのように、変形できる。


といっても、感覚で出来る気がしたからやってみたら、今本当に出来てしまっただけだ。


……かなり魔力よりかは変形しにくいけども。


最初は、簡単な丸型にして正解だったな。



っと魔力消費がバカみたいに多いなこれ、まあ当然か。


「まあこんなもんだ。はは、この感じなら……ファイアーボールぐらいは打てるかもな。」


ライターを消し、そう雫へ言う。


「魔法、頑張って。応援するよ!」


そう言ってくれる雫。本当に嬉しい。


「本当にありがとう。それじゃ送ってく――」


「いいって!この後筋トレでしょ?」


遮るように言う雫。


「お、おう……そうだけど、いいのか?」


「うん、それじゃーね!頑張って!」


そう言うと、駆けていく雫。


頑張れなんて言われたら、頑張るしかないな。


……今日はいつもの10倍といこう。


―――――――――――



筋トレも終わり、部屋へと戻る。


体はくったくただ。


それにしても今日は、ずいぶんと濃い一日である。


中でも、食堂での纏わりついてきた視線。


俺は、あの時の嫌な予感を感じながら、眠りにつくのだった。


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