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増幅使いの這い上がり  作者: aaa168(スリーエー)
日常から、異世界
2/127

異世界召喚は唐突で

スローペースで進んでいきます。


主人公が活躍するのは20話ほど先になります。



今日は金曜日。



高校生である俺、藍祐介(あいゆうすけ)は、明日から始まる休みに心を踊らせながら、いつものように遅刻ギリギリで朝の教室へと向かった。



転校してからそんな経ってないししょうがない、決して寝坊したわけではない。




教室に入ると、男子や女子からの嫌な視線が出迎えてくれる。


全員から嫌われているわけではないと思うが、やはりこういった事は精神的にくるものだ。


まあ、そんなことはどうでもいい……とは考えれないんだよな。




俺はこういう見た目だが、中身は脆いのだ……




こんなにも皆から避けられる原因として、俺の外見にある。


まず茶髪が地毛であり、おまけで目付きが悪い。そんなこんなで近づいてくれる子は少ない。



それでも、少しだが友達はできそうであった。


身だしなみとか努力して、一般的な学生に近づいたからな!




それで終わりなら良かったが……




席についた俺は、いつものように隣席の女の子、神野樹(かみのいつき)に声をかける。



「おはよ、元気か?」



「……」



「明日は休みだな!」



「……」



「……」



っておい俺まで無言になっちゃったよ!



やる事が無いので、本でも読みながら考え事をする。





……樹は、ショートボブカットで、前髪が長く目が隠れている、変わった髪型な女の子で……あと背も小さい。

そして、無口すぎて今まで声を聞いたことがない。


聞いてみたい。というか話がしたい。不思議な子?って感じだな、本当に。

この子は俺が転校した時から隣席にいたが、最悪な事にクラスの一部からいじめを受けていた。



俺が隣にいるからやりにくかったんだろうが……それでも俺が転校してから数日後にいじめを受け、それを見た俺が止めたのだ。


止め方のせいか、俺が恐いのか分からないが、もう樹には誰も手出ししないようになった。



それからは、俺は樹と友達になろうとしているんだが…この様だ。

その騒動で軽い付き合いのあった友人は離れていったんだっけ。

だがまあ、その事については一切後悔なんてしちゃいない。

樹に何かしようとする奴らは消えたわけだしな。



それに――



「よう、相変わらずだな」


「ほんと、相変わらずね」



先に声をかけて来た方が尾上春樹(おがみはるき)

身長が高く、筋肉質のベリーショートのイケメンだ。中身は賢いのかアホなのか分からない。

ただ俺なんかに仲良くしてくれているのだから、凄く良い奴だ。



もう一人が二ノ宮雫(にのみやしずく)といい、このクラスの委員長。

綺麗な黒髪を肩より下まで垂らし、眼鏡をしている。あと身長が高い。

春樹ほどじゃないが……男子の俺と一緒ぐらいか?



そのままでも美人なのだが、眼鏡を外した時は女神とまで言われているらしい。


見たことはない。




この二人のように、俺がいじめを止めてからも仲良くしてくれている、良い友人もできた。

明日の休みは、この2人と映画を見に行く予定だ。この2人とは趣味もよく合う。


こんな俺なんかと一緒に行ってくれるなんて、本当に良い友達だ。




「……明日の事忘れてないよな?」



「忘れるわけないでしょー?楽しみよね」



「はは、本当にな」



春樹も雫も楽しみなようで何よりだ。




……しかし、さっきから俺に対する周りの男子の視線が痛い。


理由は分かる、そんな関係じゃないってのに。



「っともう朝礼か、また後で明日の事を話そう」



「りょうかい!」



「おう!」



やっぱり話できるのって良いなあ…なんて考えながら、俺は授業を受けたのだった。




――――――――


―――――




授業も終わり、そんなこんなで昼休みを向かえ、樹と机をひっつけて昼飯を食べていた。


いつも雫と春樹は違うグループで食べているので、樹と二人だ。




お互い無言だが、なんとなく嫌がっている感じではないので、毎日こうしている。






「……おい!」



雫曰く、心配しないでいいらしいが。


それでもやっぱり、俺はエスパーじゃない。


心配になるのが人間のサガだ。




「おい、聴いてるのか?」




でもなあ……樹って一人が好きなタイプかもしれないし。


それにしても静かすぎると思うんだけど。




「返事しろって」




……ああ!うるせーな!



ってあれ?こいつは――




「すまん考え事してたんだよ。どうかしたか?」


「……ったく。いつも言ってると思うが、雫とは話すな」


「はあ?」


「僕は雫がお前みたいな不良と話しているところは見たくない。雫は俺の大事な幼馴染なんだ。だから――」





……いきなり何いってんだコイツは……



この男は、一寺隼人(いちでらはると)だ。



学年に一人はいる完璧超人のイケメン。

雫達のグループにいたと思ったが、またこっちに来たのか……あ、雫がこっち来た。



……あいつも大変だな。



「ああうん、俺と雫はそういう関係じゃないから安心しろ。というかうるさいし、雫もこいつ持って帰ってくれ」



「ごめんね祐介君……ほら隼人、迷惑かけないで」



「まだ話は終わってな……」




おーおー、さすが雫だ。あっという間にあっちに連れて行った。



「はは、ごめんな樹。うるさくして」



「……」



そんなことないって?樹は優しいな!



……さて、放課後まで頑張るか。



――――――――――――――――――――――――――――――


放課後になり。



「とりあえず明日は一時ぐらいでいいか?」


「うん」


「おう」


「わかった、おっと…じゃあなー、昼の一時に駅前で」


「「おー」」


「おい雫、明日何か……」



雫達と軽く明日のことについて話し終えたあと、隼人に絡まれないうちに離れる。


そのまま、かばんを持って樹とまだ騒がしい教室を出ようとした時に……『それ』は突然起こった。




床下に光が生じ、それは教室全体へ。

勢いはずっと増して、魔法陣のような形となりながら広がっていく。



教室にいた全員が唖然としている中、その魔法陣はさらに輝き続けている。

第六感がここから離れるように言っているが、体が動かない。



どうなってんだよこれ――



「なにこれ!?」



「おいおいどうなってんだ」



「おいこれ、魔法陣ってやつじゃ――」



騒ぐクラスメイト。

無常に過ぎる時間。



逃げ出そうにも、全員がその場にいた。



――そうして、魔方陣が急に消える。



同時に。




俺たちは――この教室から居なくなった。


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