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『火』

昨日一日だけで凄い多くの人に見ていただきました!


本当に感謝です、これからも、『増幅使いは支援ができない』を応援してあげてくださると嬉しいです。

 

 大分長いことあっちにいたらしく、食堂は誰もいなかった。


おかげであの視線に耐えながら朝食、という事にはならなそうで嬉しい。


朝食を取りながら、今日のことについて考える。


いつも通り、魔力変形をして、その後は筋トレ、素振りかな。


ああそうだ……荷物も確かめておかないと。


――――――――――――――


朝食を取り終えて、部屋へと戻る。


さて、魔力を使いきってから荷物の確認といくか。


そう決めて、ベッドに座る。


まず魔力を放出して、そのままイメージ。


今回は星形でもやるか。


イメージして、魔力を星形へ構築していく。


「っと、こんなもんか」


出来た魔力の塊を見て、もう一度違う形にも挑戦する。


慣れたせいか、魔力量が増えたせいか、3回は余裕で出来るようになった。



「纏」



復習でもう一度魔力を纏ってみる。


うん、もう完璧だな。


魔力変形はこれぐらいにして、荷物の確認でもしよう。


……もう、いつ出発することになってもおかしくないからな。



とりあえず、鞄の中の物を全て出す。


教科書にノート、下敷き辞書や筆箱。


ミュージックプレイヤーにイヤホン、財布。


制服一式に家の鍵にスマートフォン、あとその充電器と。



ざっとこんなものだろうか、結構入ってるもんだな。


当然だが、スマートフォンは電波が届かず何も出来ない。


取り敢えず整理して詰めなおしてと。


久々に音楽聞くのも悪くないかな、なんて思いでミュージックプレイヤーの電源を付けてみる。


ピコン!と音が鳴ると同時に、画面に光が宿る。


……よかった、まだ電源はつくみたいだ。


イヤホンを着け、俺の大好きなロックを流す。



鼓膜に響くギター音に、ボーカルの心地よい掠れ声。まるでライブに来たかのようだ……



やっぱり音楽はいいな。力が溢れてくるようだ。なんか体も軽くなった気分である。



……ん?なんか本当に体軽くなってない?


というか音質こんなよかったっけこれ……



これは、もしかすると。



脳裏に宿るのは、ライターを付けたときのあの光景。



ポケットからライターを取り出し、点火。




「……はは、やっぱりか」




俺の手からは、今特大の火が燃え盛っている。


俺自身で出しているわけではなく、ライターからだが……


手から魔力を放出してやると、さらにその火は勢いを増す。



それはまるで、ライターの『火』を増幅するかのように。



「これが……俺の魔法か」



そう呟くと同時に、自分の魔力が凄まじい勢いで無くなっていることに気付いた。



「……あっぶねー」



魔力枯渇による酔いが、俺を襲う。


あともう少し魔力を放出していたら、また気を失っていただろう。


だが、その酔いも、興奮ですぐに醒めた。


自分は魔法なんて使えないと思っていたが……とんだ勘違いだったようだ。


その興奮から、ライターを持つ手が震える。



この『火』の持ち主は、元々俺ではなく。



子供の頃からいつも助けてくれて、憧れだった人。



亡くなってからも、『世界』が変わってからも、それは変わらない。



これはただの偶然かもしれないが、俺にはまた、俺を助けてくれたような気がした。




「ありがとう、父さん」




感謝と尊敬を込めて、『違う世界』にそう呟く。



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