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第5錬金 私の初めてのお友達

 ニブロさんと再契約した事により、定期的に薬を販売できるようになり一安心です。ほんとこのルタの塗り薬だけは一度の大量に作れる割に、数が掃けないから困ってたんだよね。

 かといって薬を作るのをやめたら、錬金術が育たないものですから作っても作らなくても困る事になるわけです。


 7歳も半ばを過ぎたある日、私は珍しく外にいました。と言うのもシンディ(母さん)からたまには子供らしく外で遊んできなさいと言われてしまったから。


 でも実際はこの言葉は建前に決まってます。だって母さんは朝から父さんといちゃいちゃしてたもん。きっとこんな明るいうちから……戦闘開始するに決まってます!母さんの今日の様子から察するに、高確率で攻めの陣形を取るはず……父さんは果たして生きていられるのでしょうか……凄く……心配です。

 そうだ!材料はあるはずだから明日にでも父さんに、せ○り○く剤を作ってあげたほうが良いかな?



 話を戻します。錬金術にのめりこんでいる私ですけども一応同年代(?)の友人が2人もいるんですよ。

 まず一人目はテムジン。村の皆からはジンと言われている元気ハツラツの男の子で年齢は8歳と私より1歳年上。

 だけど侮るなかれ。彼は私と同じく狩猟に参加し、大人と一緒にとはいえ魔獣狩りの経験があるのです。

 得意なのは意外にも弓。スキルを所持しては無いようですが、彼の両親共に狩人と言う事で今より小さい頃から弓とナイフの扱いを習っていたそうです。もちろん、解体などのスキルも見事な腕前を誇っています。ジンの夢は首都に出て冒険者に成る事。

 弓とかの腕前は今からやっても難しいから、せめて魔獣を倒せるようになりたいですね。……錬金術師らしくと付きますけど。



 次に二人目。フィリアリスという大人しい女の子で、周りからはフィリスと呼ばれています。年齢は私と同じ7歳。本を読むのが好きで、行商人が来るたびに新しい本を購入しているみたい。

 最近本をたくさん読むようになり後天的スキル【速読】を得たそうです。私も本いっぱい読んでるんだけど、スキルは未だにもらえません……。フィリスは、ジンと家が近いせいで、よく遊びにつき合わされているらしい。本人は時折、嫌らしいが大人しい性格の為それを言えないでいた。

 私が初めて二人に出会った時、フィリスの怒りがちょうど爆発したタイミングだったんだよね。懐かしいな。まだ半年も経ってないけど。


 今日と同じように、母さんに半ば追い出されるように外に出された私は、以前作ってから定期的に村人に渡している《肥沃土》の在庫チェックのため村の資材倉庫を回っていました。

 そこに言い争いをしていた二人を発見し声を掛けました。



 「何の言い争い?」


 「私の自由をジンが奪ったの」


 「お前が本ばっかり読んでいるから心配してやったんだ!」


 その後も熱く言い合う二人の背中に、氷柱石つららいしを突っ込んであげました。


 「キャッ!つめたっ!?」


 「ヒョォォ?チベテェェ!!」


 さすがにこれには反応せざるをなかったらしく、二人は急いで服を仰ぎ氷柱石を取り出しました。


 「頭は冷えたの?何が原因か知らないけど、自分の意見の押し付けはダメだよ。落ち着いてちゃんと話しあおうね?結果は私が見ててあげるから」


 「いや……もうさっきのでどうでもよくなった。悪いなフィリア。次から偶に外に出てくれればそれで良いよ」


 「私もごめんなさい。ついムキになっちゃって。次からは私の希望も言う事にするね」


 「おう。じゃあ仲直りな?」


 「うん!」


 「あれ?修羅場に成ると思ったのにもう円満解決しちゃった。……二人が仲良くなったなら用事も無いし在庫チェックにいこうっと」


 私が背を向けて歩き出した時、ジンと呼ばれた子が声をかけてきました。


 「なあ、お前ってあの上手いミップルやら果物の種を作ったって言うメイ何とかってヤツだろ?」


 「メイランよ?父さんたちからはメイリーって呼ばれてる」

 「そうか。じゃあメイリー。友達になろうぜ?」


 「え?何でその流れ?」


 「だってよ、お前。俺達の喧嘩止めようとしてくれたじゃないか」


 「それだけで?」


 「おう、十分な理由だろ?」


 返事に困っていると、フィリスと呼ばれていた子まで参戦?してきました。


 「私もメイリーちゃんと友達になりたい!」


 この言葉が極め付きに成ってしまいました。前世では良く話す、話し相手はいましたけど友人がいた記憶は……なぃ。

 そんな私に面と向かって友達に成りたいと言う人が現れたらコロッといっても仕方ないよね?

 我ながらすごくチョロインですね!わかってます。それで良いんです。


 「えっと私と友達でも良いの?」


 「もちろんだ!数少ない子供なんだから仲良くしようぜ!」


 「良いに決まってるよ。ジンだけだと動く遊びばかりだったけど、メイリーちゃんが居たらもっと遊びの幅が増えるね!」


 それはどうかな?とは言えず、適当な愛想笑いでなぁなぁに済ませました。

 ここから自分たちの自己紹介に入って行き、色々理解しあい現在に至ると言うわけです。



 「今日の遊びは何にするんだ?」


 「今日の遊び当番はメイリーちゃんだよ?」


 「え?私だっけ?……じゃあ、石破弾づくりとか?」


 「錬金術関連は無しで!」


 「えーじゃあ、かくれんぼ」


 「それにしようぜ!」


 こうして子供じゃないけど子供な私は、昔を思い出すように遊びまわり、気付けば次の日の朝でした。

私いつの間に寝たのかわからなかったよ。


 ちなみに、朝起きたら父さんはゲッソリしていて、母さんはなぜかツヤツヤ……まさか朝一で《○いりょ○ざい》を作ることになるなんて思いもよりませんでした。二人とも程ほどにお願いしますね。ハァッ…。

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