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第15錬金 私の錬金釜を作ってもらおう! その3

今回の更新はここまで。次の投稿まで今しばらくお待ちください。

 タールスライムをある程度倒して戻ってきた私達はまずはオスロ村長に採掘場が異界化している可能性があることを伝えました。

 このことにはオスロ村長も驚いていましたが、今では落ち着いて大きなギルドのある町へ出す依頼書を作成しています。

 なおこの依頼書をその大きな町へ届けるのはセツナさんか父さんです。状況を知っているものが直接行った方が説明の手間が省けると判断した為でしょう。



 「それじゃ行ってくるね。メイリー」


 「言ってらっしゃいセツナさん。あ、戻ってくる時に預けた指輪の中に素材を買ってきてね!」


 「はいはい、パラポラ通信紙で素材の名前伝えるからメイリーが欲しいものを返信してよね?」


 「了解だよ!」


 こうしてセツナさんは大きな町に向けて旅立った(完)






 じゃないからねっ!誰か知らないけど私の物語なんだから勝手に終わらせないでよっ!


 セツナさんが村を出ている間に私は錬金釜の材料となる素材を作っている。

 まずは父さんのお土産のボルカニックストーン・ハルベ村で購入した火硝石・港町シーナコッタで購入した灼熱草に手作りの中和剤。

 これらにカテゴリ【不思議材】にあたるタールスライムの体液を混ぜて一定の速度でかき混ぜる!


 かき混ぜる時間は今から4時間。その後は濾過器を通してまばゆく輝く液体2㍑と陽炎が揺らめく金属3㌔㌘に分けます。

 何故急に重量が表記されたか不思議に思うでしょうけど、まさにそれこそがカテゴリ【不思議材】で起こり得る効果なので深く考えないでください。そういうものだと思ってくれれば良いのです。



 まばゆく輝く液体の方は今回は使わないのですが、これをカテゴリ【液体】の素材として利用したり、中和剤に生成しなおすことが可能なのでビンにつめて耳飾に収納しておきます。


 ……断じて捨てるのが勿体無いわけじゃないからね。当然生前にテレビで見たようなゴミ屋敷に住んでいる、物を捨てられない女でもないから勘違いしないでよね!



 で、残った陽炎が揺らめく金属のほうは《炎輝鉄》と呼ばれるものになります。通常これが火の属性の上位、炎の属性を多く持つ金属素材になり、王宮で使うような調理器具に生まれ変わったりします。


 その筋の人にこの量の炎輝鉄を売れば、金貨が百枚単位で入ってきますから大量生産が可能とバレれば父さんの言っていた通り大変な事になります。


 ……ウガンさん(おじいちゃん)は口が堅そうだから大丈夫だよね?



 続けて行うのは特殊な燃料である《レインボータール》の作成です。

 名前から分かるとおりメインで使う材料はタールスライムの体液。さっきの炎輝鉄でも使った素材だけどこっちでもメインを張れるほど使用用途が多い優秀な素材という訳です。


 このレインボータールその物の調合は簡単です。タールスライムの体液に色々な属性を含む材料を5種以上混ぜるだけですからね。ただ属性を持つ材料を集めるのが面倒なだけで……。


 今回の材料はタールスライムの体液(闇)に肥沃土(地)、井戸水(水)、年輪樹(木)、ヒカリゴケ(光)、火硝石(火)といった比較的気軽に手に入る素材を使用しています。

 この中で初登場なのはヒカリゴケですが、これは町から村、もしくは村から町へ向かう途中に夜営で使用した洞窟に大量に生えているのを毟っておいたものです。


 今あげた材料を〔タールスライムの体液⇒属性素材⇒タールスライムの体液⇒属性素材〕という感じで錬金鍋に投入し、やはりかき混ぜます。その時間は1時間以上2時間未満!

 またもや一番良いタイミングは知識のスキルが教えてくれるので、出来上がったレインボータールの輝きはすごかった。




 「ウガンおじいちゃん!材料を持ってきたよっ!」


 オスロ村の鍛冶屋に駆け込んだのは調合を終えた翌日の事。耳飾に大量の炎輝石とレインボータールを詰めこむのに時間がかかった結果この時間となりました。


 ……出す時に同じ位時間が掛かると考えると憂鬱になりますけどね……。



 「ほぉ?では早速釜の材料にする金属と燃料を見せてもらおうかの?」


 「良いよ~、はいこれっ!」


 「ぬはあっ!こ、これはまさか……世界中探しても滅多に見つからないといわれている炎輝鉄に属性の魔素の濃い秘境でしか見かけないというレインボータールではないかっ!?

 むうぅ……どちらも見るのは80年ぶりじゃ!しかもこの纏まった量と見ただけで分かる品質……一体何処で……」


 「おじいちゃんは口は堅いほう?」


 「無論じゃ。特にお客の情報は死んでも割らんよ」


 「そっか。じゃあ教えてあげるね。これ全部私の手作りだよ!」


 「なな、なんじゃとぉぉ!?」


 「おじいちゃん声が大きいよ?このことは内緒にしておいてね?ウソついたら爆弾1000個食べてもらうからね」


 「う、うむ。分かった。誰にも言わんわい……信じる奴もいないじゃろうしな。しかし、この炎輝鉄を錬金釜?というものにしか使用しないのはちと勿体無いのぅ」


 「ふっふっふ、錬金釜で消費し切れなかった時の為にこう言う案も用意してみました!」


 「ほぅ?なるほど同じ炎輝鉄で《かき混ぜ棒》を作るとな?……か、かき混ぜ棒じゃとぉぉぉ!!?」


 「錬金釜とかき混ぜ棒はワンセットなんだよ!そういうわけでお願いね。おじいちゃん」


 「ふむぅ、これは珍しく大仕事になるわい。久しぶりに腕が鳴るのぅ!」



 滅多に見ない素材を目にして、やる気みなぎるウガンおじいちゃんに材料を預けた数日後。まだかまだかと待ち続ける私の元におじいちゃんから完成したという連絡が届きました。



 「またせたのぅ。メイリーちゃんの希望通りのモンが仕上がったぞぃ。材料が材料じゃから奥の工房に置いてあるんじゃ。入って確かめてくれぃ!」


 私は、勿論!と言い切る前に現物の前に走る。工房の中央には私が待ち望んでいた念願のあの姿がありました。錬金釜とそれに付属するかき混ぜ棒……。



 「ふおぉぉ!!憧れの錬金釜ぁ!……あれっ?外側が鉄で覆われてる……?」


 「うむ、炎輝鉄でそのまま仕上げてしまうと目立つじゃろう?物が物だけに盗まれでもしたら大変じゃしな。じゃからワシ独自の裁量で外側を普通の鉄でコーティングさせてもらっておる。こうすれば目立つまいて……」


 おぉ!?そういうことだったのね~。おじいちゃんの気が聞く仕事ぶりに惚れちゃいそうだよ!まだ9歳だけどっ!


 「ありがとうおじいちゃん!この錬金釜があれば薬の大量生産が可能になるよ~」


 「ふぉっふぉっふぉ。それは良かったのぅ」


 「ここまで良い仕事してくれたんだから報酬を弾まないとね。おじいちゃんいくらー?」


 「そうじゃのう……80年ぶりに良い素材を扱えて楽しかったし、メイリーちゃんは可愛いし良い子じゃから本来なら特注料金は金貨100枚なのじゃが今回は20枚で良いぞ」


 「あんな良い物を作ってくれたのに金貨20枚で良いの?」


 「ワシが良いと言えば良いのじゃよ」



 私はありがとうと言い、取り出した金貨をおじいちゃんに手渡す。

 もっと掛かると思っていたけど、予想以上に安くしてくれたお礼におじいちゃんに何かプレゼントしないとね。何が良いかなぁ?


 「まいどあり。そうそう余った炎輝鉄じゃが倉庫にあるから持って帰るようにの」


 「うーん、どの位余ってるの?」


 「剣1本分といった所じゃなぁ」


 「あっ、じゃあそれ剣に加工してください。セツナさんが戻ったら武器にして使ってもらいたいし」


 「了解した。武器への加工は金貨5枚じゃが良いのかの?」


 「勿論良いよ~。先に渡しておくからからお願いしますー」


 「うむ、任された」



 後日おじいちゃんから受け取った剣は炎輝鉄の輝きがすごかった。セツナさんがこの剣を使ってる時は輝きすぎてて目を向けられないかも。

 たしかに調合でよく使う事になる錬金釜がこんな輝いてたら調合中、目が痛くなりそうだよ……おじいちゃんナイス判断!!

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