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第12錬金 私、リフォームの材料を集めに行きます。

 私達が借りた家は、日本で言うと土地全体が大体100坪で家は24坪くらい。

 要するに無駄に余っている土地が多いと言う事。村の総人口も多くはないので土地が余るのは当然だね。

 そしてこのオスロ村は昔のハルベ村と同じく行商人が来る頻度が低いので、村人同士の物々交換による取引で日頃の糧を得ています。


 「物々交換かぁ。見たことのない素材が手に入るかもね。楽しみ~」


 つい先ほど村長宅で大量に作ったルタの塗り薬を手に母さんたちと一緒に村人むらびと宅へ挨拶に向かいました。

 だってさ、村八分にされたら嫌じゃない?親密になる必要はないけど最低限のコミュニケーションは必要だと思ったわけです。


 挨拶代わりに持って行ったルタの塗り薬は、村の人全員に喜ばれました。ここまで喜んでくれると作った甲斐があるね。ちなみに次回からは物々交換で対応すると言うとさらに喜ばれました。

 オスロ村は、農業と林業で生計をたてている村。なので、今回の私の作るアイテムもそれに因んだ物にする予定。

 村の周りには薬の材料になる骨素材もとれますから、セツナさんに頼んで取って来てもらうつもり。



 「セツナさーん。早速で悪いんだけど、リフォームしたいから木材採取に付き合って~」


 「いいわよ。ちょうど体を動かしたいと思ってたしね」



 薬やらも作りたいですけどまずは、周囲環境を整える事から始めないといけませんからね。


 母さんに山の方で木を切って来ると言うと、採り過ぎないようにと注意されました。

 オスロ村長との話をした時に、木などを切る事もあると言うとやり過ぎない程度ならOKという許可を得ているから。

 というのも林業?伐採?は、この村人の食い扶持を稼ぐ一つでもあるので、私達がやりすぎるとその人たちが困ることになるから。やりすぎてその人たちに恨まれるとか真っ平ごめんですから。



 村人達は魔獣の被害もあるので村の近くから切り開いている。

 だから私達は村人がまだ到達していない奥のほうから伐採をしようと考えた。セツナさんが強い事が分かったし、多少の魔獣なら大丈夫だもんね。



 「へぇ?この辺の木は凄く良質の木材だよ。やっぱり人が切りに来ないからよく育ってる」


 「じゃあ切って帰る?」


 「うん。道具は斧だけでいいよね?」


 「十分よ。……メイリーはそうね……その辺の草でも刈ってれば?」


 「そうだね~。新しい薬の材料になる草も生えてるみたいだし。じゃああとよろしく~」


 「はいはーい。任せといて」



 セツナさんが木を1本切り終わるのは10分くらいかな?チェーンソーでもあればもっと早いんだけど仕方ないか。駆動系の材料になる鉱石が全然足りないから作れないし。

 そういえば村の裏手に山があるんだし、石系列の素材を採れそうだよね。セツナさんに頼む事がまた増えちゃった。


 私はセツナさんから離れすぎない程度に、近場に生えている《デロル草》という名前からしてヤバそうだけどれっきとした薬草を採取していく。ついでに周辺の土もね。土を採取する理由はセメントのような石壁を作る素材になるからだよ。

 特にこの辺の土は養分たっぷりみたいだから、今までより効果の高い《肥沃土》を作り出せるのも嬉しい。土質が良いので【抽出】する手間も省けるし。



 「メイリー。とりあえず10本ほど切り倒しておいたから回収お願い。木が倒れすぎてて邪魔になってきたし」


 「はいはい。てかこの大きさの木が10本もあれば十分すぎるよ。ウチの一件分くらいなら余裕で増築できる数だし……」


 「あらそうだったの?切り倒す数を聞いてなかったから頑張りすぎたかぁ」


 「木はもう良いから、採取も手伝ってほしいな」


 「了解……でもその前にお客さんよ」


 「ふぇっ?」



 セツナさんの視線が向く方を見ると、豚と羊の魔獣が5体ほどこちらに向かって来ていた。


 「おぉ~!セツナさん!服の材料!!」


 「……はいはい。毛皮の傷を少なく倒せってことね?」


 「さすがセツナさん!阿吽の呼吸だね……それともツーカーの関係?」


 「どっちでも良いよ。メイリーは木の上にでも逃げとく?投げ上げるわよ?」


 「投げるの前提?……でも魔獣は無理だから投げられる方がマシ」



  という訳でそれなりに高い位置にある木の枝に向かって投げられた私は、見事枝をつかみ、木の上に逆上がりの要領でクルリと登る。


 「逆上がりできるのね。パンツ見えてたわよ?」


 「き、気にしないし!それよりもう来てるよセツナさん」


 「分かってるわよ。私に任せておきなさい」


 お子様パンツなんて見てもおかずにもならないでしょうし?……でも、なる人がいたら困るよねぇ……。



 セツナさんは伐採に使っていた斧ではなく、指輪から自前の斧を取り出し構える。

 そして不適に笑いながら……


 「1対5なんだから、スキルを使わせてもらうわよ」


 と言った次の瞬間には、豚の魔獣2頭の首が分断されていました。残るは羊の魔獣。

 速すぎて何をしたのかまったく見えませんでした……セツナさんマジツエー!


 羊魔獣には毛皮の他、頭に角があるのでぜひとも回収したいですね。羊の角って薬材料として優良品なんだもん。

 豚魔獣に関しては、ウーン……夕飯のおかずになるから、お肉と骨くらいは必要かな?



 私が、魔獣たちをどういった材料にするか考えてるうちに羊の魔獣もすっかり首を落とされ絶命していました。


 「見てのとおり終わったよ。さっさと回収して素材集めよう」


 「えっと、木が高くて……降りれないよっ」


 「……そうなの?私も実は高所恐怖症だから木に登れないわ。受け止めてあげるから飛び降りて」


 「えぇっ!?ちゃんと受け止めてよね」


 「大丈夫大丈夫。私に任せなさい」



 意を決して私は木から飛び降りると、セツナさんは宣言どおり見事キャッチしてくれました。

 セツナさんは私をゆっくりと地面に下ろし、一緒に倒した魔獣の素材回収を行いました。

 《羊の毛》《羊の角》《何かの動物の骨》《豚バラ肉》《豚足》等を戦利品として頂きました。


 その後は特に魔獣の襲撃もなく森の奥で《年輪樹》などの素材集めを行う事ができたので、村に戻る。



 「ただいま~」


 「おかえり。セツナさん、メイリーのお世話大変だったでしょ?飲み物があるからどうぞ」


 「そうですね。木から降りれないって言った時はびっくりしました」


 セツナさんの言葉に母さんは笑う。


 「よ、予想より高い場所に登っちゃっただけなんだからねっ!」


 「メイリーのツンデレがきたぁー」


 「ぐぬぬー!これ以上ぼろが出る前にリフォームの準備するもんね!……あ、あとでリフォーム作業手伝ってね」



 「はいはい」



 私の錬金作業をする部屋は離れにある物置小屋。中にはムカデやらゴキやらがいましたけど私は虫は嫌いじゃないので、箒で外に掃き出しておきました。好きでもないから直接触るのは嫌ですからね!

 その後はハルベ村で使っていた虫除けを設置して掃除完了です。一応食べ物を扱う事にもなるので虫はいないほうが良いに決まってます。



 掃除と虫除けが終わった所で、錬金術の準備をします。鍋本体と鍋を固定する台があれば良いので準備はすぐ終わりました。

 早速空間耳飾から先ほど採ってきたばかりの《年輪樹》と《何かの動物の骨》《中和剤》を錬金鍋に入れる。


 ……さすがに昔の片手鍋から両手持ちの寸胴になったとは言え、鍋に木材入れるのはおかしいと思う今日この頃。いい加減鍋から大釜に変更したいなぁ。でも、この村じゃ手に入りそうにないしなぁ……。



 そんな事を考えながら錬金術を続ける。そうして完成したリフォーム用建材がこちら。


 《ドリスタン合板》:ドリスタンと言う稀代の錬金術師が生涯を掛けて作り上げた最高級の合板。素材となった木材によってその性質を変える。主な使用用途は、橋・建材など。

 カテゴリ:木材・中和剤

 メイン特性:【劣化減少】【通気性抜群】【虫に食われない】

 付加特性: 【耐水性】【耐火性】【対衝撃】


 《ドリスタン大柱》》:ドリスタンと言う稀代の錬金術師が生涯を掛けて作り上げた最高級の木材。素材となった木材によってその性質を変える。主に建材として使われた過去を持つ。

 カテゴリ:木材・中和剤

 メイン特性:【劣化減少】【頑丈】【虫に食われない】

 付加特性:【耐水性】【耐火性】【対衝撃】



 森の奥で採れた年輪樹の特性は【虫に食われない】でした。そこに中和剤と骨を入れて特性の調整を行い作り上げました。


 森で拾ってきた土は、錬金術で土壁の材料になりました。


 《グラメーラ土壁剤》:特級土建士のグラメーラが基礎を作り、その弟子が完成させた土壁の材料。

 適当な土と混ぜる事で、様々な特性を持たせる事ができる。

 カテゴリ:土・砂・石・中和剤

 メイン特性:【耐熱】【10年で劣化する】

 付加特性:【気孔調整】【10分で硬くなる】


 

 森の土の特性のほとんどが【劣化しやすい】とか【劣化速度増加】【劣化速度減少】等だったので錬金術スキルの中の【知識】を発動しつつ【開発】で分量を微調整すると【10年で劣化する】と言う風にある程度は時間調整出来るようになりました。


 残った土は肥沃土の材料とします。と言っても、このオスロ村は肥沃土を作らないといけないほど村の土地が痩せていると言う事はなかったので、いつか使うかもしれない予備として保存しておく予定。





 リフォーム用建材が完成したあとは、母さんやセツナと協力して、図面を元に木材をくみ上げていく工程となる。

 土壌の穴堀りは母さんの土魔法で行い、そこに《グラメーラ土壁剤》を混ぜた土を入れ基礎とする。

 基礎は10分で固まるので、その10分の間に他の建材をそれぞれ所定の位置へ配置していッた所で、辺りが暗くなったので作業は翌日に持ち越しとなった。



 翌日の朝からは準備した建材を組み立てて行き、4LDKの平屋が完成した。


 「メイリー?ヨンエルディーケーって何なの?」



 母さんに聞かれましたが答えられませんでした(汗

 でも代わりにセツナさんが説明してくれたのでセーフですね!

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