文楽地方公演・昼
今まで、なかなか日記に記録出来なかったことを書いていこうと思うのだが、9月27日、岐阜市からも大垣市からも離れた本巣と言うところで、文楽の地方公演があった。
名古屋など大都市の公演もあるが、小さい会場だと近くで迫力あるだろうと思い、出かけた。
出かけてみると、農村の中に立派なホールがあった。典型的な公共事業で作ったと言う感じだった。中身が充実しているのならいいが、あまり使われている感じはしなかった。(・・;)
当日券買えますかと事前にたずねたら、いくらでもありますよ、とのこと。
また帰る方法がなかったが、昔、教えていた生徒が快く、迎えに来てくれると言うので、安心して出かけた。
その生徒が後に教えてくれたが、その辺りの農村は地元の伝統芸能として文楽をやっているらしく、その日のお客さんはなかなか玄人っぽい人が多かった。
昼の部は「団子売」と「心中天網島」
「団子売」は片岡愛之助の歌舞伎でも観たことがあるが、団子を作るのは子孫を生み育む、豊穣への祈りのあるめでたい作品である。
そして昼の部の白眉はやはり近松門左衛門の「心中天網島」である。
長い作品のため、主人公治兵衛と妻のかけひきの段と、治兵衛と小春の心中の段中心に描かれる。
本などで読んで、ストーリーは知っているが、やはり人形の精緻な動き、太夫や三味線の音楽性の豊かさに感銘を受ける。
本当に信じられないような細かい動作も人形を操って、やるのである。また私の周りの玄人っぽいおじさんは太夫の語りと三味線の演奏にすごく注目し、同調していた。ご自身が経験者なのかもしれない。
「心中天網島」がどんな作品かは書くまでもないが、実際観てみるとさらに気づきが多い。
日本に限らないが橋を渡ることはここではないどこかへ渡っていく、異界に行くことを意味する。
「心中天網島」の最後、いくつもの橋を渡り、後ろの絵がパッパッと変わっていくのは生の世界から死の世界へと主人公が移っていくことを表す。
美しく、哀しい。
大満足の昼の部だった。




