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錦秋顔見世④
さて、最後の一つ「与話情浮名横櫛」はお富さん、切られ与三郎などという俗称で有名である。
与三郎という大店のボンボンが極道の妻、お富に恋をする。その序幕の与三郎はおっとりしたお坊っちゃま。この幕でも与三郎が客席を回り、会場をほめる演出がある。
与三郎は中村橋之助。お富は中村福助。非常によくはまっている。
与三郎が極道ものに見つかり、全身を切りつけられる幕があるのだが、近年は普通その幕を飛ばし、ある富豪の世話になっているお富のところにこうもり安というちんぴらと、やくざものになった与三郎がやって来るという幕。しかし、与三郎はわるになったといってもどこか悪になりきれないところがあり、その品やチャーミングさを出すのがコツである。そういう意味で中村橋之助はとてもよかった。
この歌舞伎を歌謡曲にした春日八郎の曲がある。また長谷川町子のマンガでもこれがあった。
今回の錦秋顔見世はわりといい出し物、素晴らしい役者が揃っていると思う。




