応用part2
おひさしぶりです、緋絽と申します。
長いこと空いてしまい申し訳ありません!
『クラモチか!? 今何してる!』
少し急いたようなアルベルトの声が返ってきた。
あぁ。成功したんだ。
なんだかこみあがってくるものがあって、グッとそれに耐える。
「わあアルベルトごめんっ、その、ちょっとした誤算により捕まってしまいまして!」
『はん!? 捕まった!?』
わーおノックスもいたの!
まぁ初めから捕まってたっちゃ捕まってたので、あえていうなら捕まえ直されたというべきか。誤算ていうか、普通に油断だけれどもね!
「隊長に伝えて! まだ脱出出来てない! あとどれくらいで作戦開始!?」
『あと四半時だ』
ということは、あと、だいたい30分。それまでに、ノラクルちゃんを助け出さないと。
「地図に構成員用の脱出通路が描いてあると思うんだけど、そこをさらに進んだところにある馬車に閉じ込められてる! けど、」
こっちに来てたら、間に合わないかもしれないし。うん。
「俺は自分でどうにかするから! ノラクルちゃんを優先して人を回してほしい!」
がしゃりと手枷の鎖が音をたてる。隊員よりも、人質の命が最優先。私だって、もう守ってもらってばかりじゃいられない。
『……わかった、伝えよう。対策についてはカエンベルク隊長の指示を仰ぐので、お前はこちらの状況を気にせずに全力で脱出のことだけ考えろ。いいな? クラモチ』
「───っ、うん!」
ふつりと通信が切れた音がした。
奥歯を噛み締める。
自分で脱出すると言いながら、私は、あいつが来ることをどこかで期待している。
あいつの部下である以上、きっとレオンは私を見捨てないと、もう知ってしまったからだ。
「は……マヌケ」
恩返しをしたいのに、助けを待っていたら元も子もないではないか。
私は深く息を吸った。
落ち着け。私の魔力の放出は、物を傷つけることもできる。
要するに、さっきと同じことをすればいいのだ。
鎖を睨み付けて魔力の放出を試みる。
しかし、魔力は放出されるが、傷がつかない。
早く。ただ放出されるだけじゃ、意味がない。
じりじりとした焦燥感が私を追い詰める。
心臓の鼓動が早い。
早く!
何度目かわからない放出を繰り返していたところで、ドンと地鳴りのような音が響いた。実際に地面がぐらぐら揺れる。
そのあとに、争っているような喧騒。
始まったんだ。
じゃあ、無事にノラクルちゃんは助け出されたのか。
ひとまずほっと息をつく。息がつけたことが、私を焦りから少し脱却させる。
そうだ、今私は放出することしか考えてなかったけど、放出される魔力の形については考えてなかった気がする。
う、うわぁ……魔法の使い方を学んだ時に、想像が大事だと自分で考えたくせに、このアホな脳みそはすっかり忘れていたらしい。
魔法と魔力を別物に考えたらいけないんだ。普通は魔力を燃料にして魔法を発動させるものだけど、私の場合は魔力自体が魔法と同じ効果を発揮する。だから、他の人と違って魔力の形を考えなきゃいけないんじゃなかろうか。
ただの推論だ。でも、たぶん、正解。
私は鉄砲の弾丸をイメージする。
一点集中のほうが成功率が高いと踏んでだ。
想像した形のまま、魔力を、放つ!
ばきんと音をたてて鎖が壊れた。
「やっり!」
私は馬車から転がりでて首飾りを拾い、魔力を流す。
「こちら伝令役クラモチ! 脱出しました!」
ちょっとしたキメ顔で言った私に、ノックスの罵声が降ってきた。
『このバカタレッ、しかしいい時に!』
「ええっけなすか誉めるかどっちかにしてよ!」
ひどい。これでもけっこう必死に脱出したのに。
非難しようと口を開けた私に被せるように、ノックスが焦りを滲ませて言い放った。
『うるせえ。いいかよく聞け。人質を保護したんだが、その子が自分の意思で逃げ出した。お前は見つけ次第保護して遠ざけろ!』




