アラタナ ケツイ
***
俺達はまず、順番に部屋を見てまわることにした。
とりあえず目に付いたのは、元々いた部屋の隣の部屋。
ドアノブをひねり、扉を開けた。
ガチャ・・キィイイイ・・
「ここは・・」
そこはキレイに整理された部屋だった。
まるで今さっきまで誰かがいたような・・そのくらいキレイな部屋だった。
「フゥ・・じゃ、とりあえず手がかりになりそうなものを探そう。」
ヨウは黙って探し出した。
じゃ、俺もさがすか。
まずはー・・本棚から探そうかな。
辺りを見渡すと、本だながあった。
探し物をする時は、大抵ここからだろうか。
俺は手当たり次第に探し始めた。
ガサガサ・・ガサガサ・・
何もないなあ。
そう簡単に見つかるわけでもないか・・
「ヨウ。何かあったか?」
同じように反対側にもある本だなを荒探ししていたヨウだったが、
どうやらまだ何も見つかっていないようだった。
うーん・・
手がかりっていっても、
正直何を探せばいいのか・・
俺は何気なく辺りを見渡した。
そうだ。まだデスクを探していなかったな。
デスク・・っと。
この部屋には、偉い人が据わるような椅子とデスクが設置されていた。
随分・・立派なデスクだな・・
引き出しになら何かはいってんだろ・・
俺は引き出しを開けた。
ガラ・・・
「!!」
そこには、
血のように赤い液体で悲痛な言葉が走り書きされている紙が沢山あった・・
「なんだ・・これ・・血か?」
俺は震える手でその紙を拾い上げた。
「血・・だな」
ッ!!
気づくとすぐ横にヨウがいた。
血・・確かにそう言った・・
やはりこれは血なのか?!
紙には・・・
『いたい イタイ た す ケ』
『カらダ が ナイ
テ アシ あ タマ カエシテ』
『ワタ シ ガ ナニヲ シ タ 』
なん・・だ・・
一体どうなって・・
どの紙も一人の人が書いたわけではないようだ・・
では一体誰が・・・?
「これは霊達の思いだ。
溢れかえる思いがこらえ切れなくなってこのように現れたのだ。
彼らはそもそも思いの塊。
ずっと苦しんで・・苦しんで・・苦しくてたまらないのだ」
そんな・・
手、足、頭って・・
バラバラってことか・・?
その苦しみがずっと続いて・・
くっ・・!!
俺だったらそんなの耐えられない・・!!
そんな苦しみ・・1分ともたない・・
そうか・・
皆苦しんでるんだな・・
ずっと・・ずっと・・
永遠の苦しみを・・
だからこの腕輪があるのか・・
あの時・・
四つん這いの女はこの腕輪によって天国に行くことができた・・
この腕輪には除霊の力がある。
救いたい・・
この館の霊達を・・
俺は確かにそう思った。
危険は百も承知・・
だが、そんなのここで苦しんでる奴らに比べたら・・
母さん・・俺やっぱり帰れないかも・・笑
でもさ、こんなに苦しんでる奴らがいるんだ・・
手元にある沢山のメモを見つめた。
俺・・やるよ・・
ここで苦しんでる奴らが人間のせい・・っていうのも気になるんだ。
たとえ・・
俺がここから逃げられたとして・・
この霊達の原因は人間なんだ。
なにも変わらない。
むしろもっと膨れ上がるハズだ・・
俺は意を決した。
「アラン・・ヨウ・・
俺決めたよ・・
俺の決意に一つ新しい決意が加わったんだ・・
この館すべての霊を・・・
天国へ導く!!!
これが俺が決めた新たな決意だ!!」
やさしき大朔・・
その言葉はアラン、ヨウがしっかりと受け止めた・・・