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ケモノノソンザイ



その刻印は心臓と共鳴しているように、ドクドクと脈うっていた。


「おれの・・せい・・なのか?

 俺があんな炎をだしたから・・」


「フッ・・

 何を・・責任などお前が感じる必要はない。

 わたしはあの者達と同じなのだ。

 遅かれ早かれその腕輪に吸収される運命なのだよ。

 その時期が今・・この瞬間になっただけのこと。

 やがてこの刻印は全身に広がり私を飲み込むだろう・・」


そんな・・

そんな勝手なこといってんじゃねぇよ・・!!!


「ふざけんな!!

 おれはまだお前に聞かなきゃなんねえことが山ほどあるんだよ!!

 勝手に助けて・・勝手に死ぬのかよ!!

 まだお前の名前だって聞いてねえ!!

 勝手なことばっかりしやがって!!」


な・・なぜ私が怒鳴られているんだ・・?

助けるだけのことはしたはずだ。

わたしの役目はもう終わったんだ・・

それにこの刻印はもうわたしを侵食し始めているんだ。

わたしの存在意義など・・もう・・


「わた・・し・・は・・」



ガッ・・!!!



「・・ッ!!!・・何を・・!!!!」


大朔は何を思ったのか、刻印でただれた腕を直で掴んだ。



ジュッ・・ジュウゥウウ!!!



ぐっ・・!!

想像以上に・・キツいぞ・・!!



大朔は焼けるような痛みと格闘し、

その刻印に腕輪を近づけた。


「バカか!!!ただのやけどではないとあれほど言ったのに・・

 聞いていなかったのか!?

 これに触れればお前だってただじゃ・・」


「うるせえ!!だまってろ!!

 この腕輪は俺の念で動くんだろ!?

 だったら俺がこの腕輪に祈れば・・この刻印も・・グ・・グワアアア!!!」


大朔の手からは黒い煙が立ち上がり、大朔をさらに苦しめていった。


「はなせ・・その腕輪にそんな効果があるなんて聞いたことがない・・

 自分の首を絞めるだけだ・・」



腕輪は・・・動かなかった・・・



なんで・・なんでさっきみたいに光らねえんだよ!!

おれの意志でうごくんじゃねえのか!?



・・・頼む・・動いてくれ・・



ポ・・  



おれは・・・



ポウ・・



まだこいつに・・・



・・パァアアアアア!!!



「こ・・これは・・・」


俺の意志に反応するように腕輪に光が・・・



スゥウウ・・



・・・・スタ・・



「お前が私の主か・・?

 ほぅ。なかなかいい度胸をしている。

 だが、私の主としてはまだまだ未熟だな。小僧。」


急に背後から声がし、後ろを振り返った。


そこには


でかい狼のような狐のような獣がいた。

ふしぎと恐ろしさはなく、逆に神々しさを全身から放っていた。

そして、その獣の舌には腕輪と同じ模様が刻まれていた。


「なんだお前!!どこから・・」


すると獣は大きな尻尾を妖しく揺らし、その巨体を静かに倒した。

その眼は何かを悟られるような不思議な赤い眼をしていた。


「なんだ・・とは・・面白い奴だ。

 お前が呼んだのだろう?」


俺が・・?

ハッ!!さっき俺が念じたからコイツが・・?

そんなこと一つも・・


「困惑・・が今のお前にピッタリだな。

 我名はアラン。腕輪の主なりそして私の主はお前だ

 この舌の模様、お前が腕輪をしていることから私たちはつながっているのだ。

 お前の意志・・それは私の行動につながる。」


そういってアランは大朔に見えるように舌をだした。

大朔は信じられないようだったが、しばらくすると状況を理解したようだった。



「く・・・ぐぅうっ!!」


そうこうしているうちに、

女の容体が悪化したようだ。

急いで女の元へと走った。


「っ!!

 アラン。あんたは俺の意志を行動で示してくれる・・

 そういったよな?」


アランは黙って大朔の話を聞いていた。


「ああ、そうだ。」

 

クルリとアランの方を向き、

アランの目の前で言った。


「ならばアラン。あんたにやってもらいたいことがある。

 この刻印を消し、彼女を助けてくれ。

 元は俺の不注意だ・・しかし、今の俺にはこの刻印を消す力はない。

 あんたの力が必要なんだ。」


大朔の意を決したその眼は真剣そのものだった。


アランはしばらく大朔をみつめた。


「・・いいだろう。今回はお前のその眼に免じて望みをきいてやる。

 しかし、お前を主と認めたもののお前はまだ弱い・・

 力も精神もな・・

 今後は今のようにうまくいくと思うな・・いいな?」


「ああ。わかった。ありがとう。」


するとアランは立ち上がり、女をみた。



今・・アランの表情が・・気のせいか・・



アランは女に静かに息をかけた・・

すると刻印はみるみる無くなっていき、

そして・・消えた。


女はそのせいか分からないが、気を失ったように眠った。


「終わったぞ。しかしこの女の体力はもうほとんどない。

 お前の行動次第だ。もう私は助けんぞ。後は自分で何とかしろ。」


そう言ってアランは部屋の隅に行き、静かに横たわった。


はぁ・・とりあえず、これでなんとかなる。

良かった。


大朔は安堵のため息をつき、女の介抱をし始めた。



アランは何かを忘れているような気がしてならなかった。


あの女を見たときワタシは何かを・・

・・・あの女・・どこかで・・わたしの気のせいなのか?



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