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ダイイチノ ”ヤツ”



彼が意識を手放す前、

目にしたのは彼を捕まえようと伸びる無数の手だった・・

そして”それ”から逃げ、助けようとするのは先ほど会ったばかりの謎の女だった。



****



「あぁ・・いたい」


不思議な感覚を味わった後に残ったものは激しい頭痛だった。

頭をおさえ、ゆっくりと身体を起こした大朔。


頭が割れるように痛い・・!!

何が起きたんだ?さっき見たのは夢か?

いや、夢であってほしい。

あんな恐ろしいもの・・この世に存在してほしくない!!



気づくと身体中からイヤな汗があふれるほど噴出していた。


「起きたか。」


ビクッと身体を震わせ、声のした方を見る。

そこには俺を連れ去ったであろう女がこちらを見下ろしていた。



「お前・・身体が・・それに喋り方も・・」



女はもう以前のように身体は透けてはいなかった。

そして機械のような声も今はなく、女性らしい声に戻っていた。

でも死んだ目だけは治っていなかった。



「あぁ。これか。これはあいつらがいなくなったからな。少なくともこの部屋は安全だ。

 ・・・それもそのうち効果が切れるがな。

 私はあいつらのように力が強いわけではないので。」



俺はこの言葉を聞いて悟った。

気絶するまえに見た無数の手は、夢じゃなかったんだと・・・


「効果って・・

 なんかやってんのか?

 それに力ってなんの事だよ。おれが見たあれは本物なのか?」


女はすこし驚いたような顔をしたが、すぐにもとの無表情な顔にもどった。


「見ていたのか・・・

 あれはお前たちで言う”霊”だ。それもかなり強い思念をもったいわゆる”怨霊”だ。

 深い悲しみ、怒り、彼らは様々な念を持っている。

 私にはそれが痛いほど伝わる・・私も彼らと同じなのだから。」


表情は変わっていなかったが、なぜかおれには彼女が一瞬悲しい表情をしたように思えた。


「怨霊・・・

 なぜ彼らはその・・怨霊になってしまったんだ?

 世間ではよく、”この世に強い未練がある”だから霊達は存在すると聞くが。」


「そうだな。

 彼らは未練・・というよりは、みな共通の一つの想いによって縛られている・・とでも言っておこうか。

 みな悲しい過去を持っているのだ。

 それが人間の姿になって現れた。

 人間に復讐するという強い想いをもって。」


その言葉を聞いて俺は耳を疑った。


人間に復讐?

なぜ!あんなものが外に出れば人々はどんなことに・・・!!

俺が見たあの無数の手には人間のものとは別の手もあったんだぞ!?


そう。

大朔が見た”手”とよばれるものは大半が人間のものだった。

しかし残りの”手”には明らかに人間とは別の・・

例えようのない恐ろしく、禍々しい”手”が混じっていた。


「あんたは彼らと同じだといったな。

 だったらあんたが彼らを止める事はできないのか?」


「それができたら、お前はここにはいないだろう?

 言っただろう。わたしには力がない。

 無理なのだよ。彼らはもう取り返しがつかないほどの禍々しい怨念をもっているんだ。」


そうか。

この女がなんとかしていたら、俺がこの怨霊達に会うことなんてないもんな・・・


「・・じゃあ、話をもどそう。

 力とはなんだ?それにこの部屋の安全性がもうすぐ切れるということも。」


「力とは・・そうだな。

 ここでいう霊力とでもいっておこうか。

 レベルA、B、C・・そしてレベルZ。と霊達には階級があるんだ。

 それぞれの霊力で階級が決まる。」


レベルA、B、C・・Zか。

A、B、Cはともかく、Zはかなり危険なんだろう・・

できれば遭遇しないことを祈る。


「それからこの部屋の安全性についてだが、

 お前が気絶している間に結界を張っておいた。」


「なんだじゃあしばらくこの部屋にいれば問題ないじゃないか」


「この部屋の結界持続時間はあと1分もない」



「・・・はぁ!?なにいってん・・・」


何かが壊れる音と同時に一気に空気が冷たく凍りついた。


ウッ・・やばい・・!!

何かが・・来る!!!



ヒュュウウ・・・



カタカタカタカタカタカタカタ


辺りの家具が一気に震え出した。


そして、ピタリと震えが止んだ・・・



「フフフ・・

 こんなところにいたのね・・・?」


なっ・・!!

なんだあれは!!


「あれが”レベルA”だ」


そこには四つん這いの女らしき奴がいた。


首が・・180度回転している・・!!





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