表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/23

テンシハアクマ

「大朔!!」



私は叫んだ。

だけど遅かった。


彼は闇に突っ込み、

そして・・


闇とともに消えた。



「なんてことだ・・

 消えてしまうなんて・・


 どこへ行ったのだ・・大朔。」



私は、己の舌に刻まれている刻印を使って大朔が生きているかどうかを調べた。


仮にも大朔は主人であるからして、

彼の腕輪の刻印と私の舌の刻印はつながっているのだ。

彼が生きているのなら私の刻印が反応を示すはず・・



私は意識を集中した。



大朔・・

お前が生きていることを願おう・・



すると・・刻印は・・



「・・・。




 生きていたか。」



刻印は紅く光った。

熱を帯びていて、しっかりと反応を示していた。



「・・となると、

 どこか違うところへ飛ばされたか?


 どちらにせよ、大朔は無事か。

 

 ならば私は・・」



と、アランは突然立ち上がり歩き出した。


その先は、部屋の隅。

ヨウが倒れている場所だった。



「・・傷は血の割に浅いな。

 何か毒のようなものが原因か?」



ヨウは額から汗を流し、唇が真っ青だった。


しかし、このような症例は見たことがないが・・


・・!!



アランは傷口を見ていると、あることに気がついた。



「これは・・!!


 なんてことだ。


 大朔。これは大変な事態だ。

 早く戻ってこい!!」



アランはどこに居るかわからない大朔に向けて叫んだ。

この声が大朔まで聞こえたかどうかは分からない。



アランが叫んだ理由・・それは



ヨウの傷口にはある一つの”マーク”が刻まれていた。


黒い模様。

その絵には天使が描かれていた。


しかし、

その天使は両手に人間の頭を持っていた。

天使は笑っていた。


左手に女の頭を。


右手に男の頭を。


その表情はどちらも苦痛に顔を歪めていた。



「人間に対する・・憎しみの現れか・・

 

 これは確かに毒のような作用を持っている。

 どちらかというと、呪いに近い。


 あの獣は大朔を呪い殺す勢いだったのか・・」



これは私にはどうすることもできない。


呪いをかけた者が死ぬか、

あるいはその者の手で呪いを解くしか方法はないだろう。



今私にできることは出血を抑えることくらいか・・

大朔よ・・

これは時間がヨウを救う鍵になるぞ・・


はやくしないとヨウは・・・


いや、そんなことを考えるのは止めよう。

今は大朔を信じるのだ。



アランは止血するべく、静かに回復の息をかけた。


そして、

呪いの進行を遅くするための処方もした。



「とりあえずはこんな事しかできない。


 あとはおぬしの生命力にかけるぞ。」



ヨウは相変わらず、気を失ったままだった・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ