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ヤミゲーム



俺があいつに触れた時・・


闇が一気に俺を飲み込んだ。

別に苦しくはなかった。

ただ、

ドロドロとした何かが俺の中に押し掛けるように入り込むのがわかった。


その何かは次第に言葉に変化し、俺に言った。



「お前か・・俺の邪魔をしようとするやつは」


低くて、恐ろしい声だった。

耳をふさいでも脳に入ってきて、頭から離れない。



「おまえ・・なぜ俺の邪魔をする?」



光なんて少しもない。

すべてが暗くてドロドロした暗闇。



「あんたみたいな奴らから”こいつら”を助けるため。

 他に理由なんてあるかよ」



俺は少々喧嘩ごしで答えた。

相手がどんな奴なのかは分からない。

だけど、この声の持ち主が俺を飲み込んだ闇に関係していることはわかる。



「・・随分と肝の据わった男だな。

 だがな、坊主。

 世の中には首を突っ込まない方がいいことだってあるんだよ!!

 お前が助ける?

 何を寝言みたいなことをいっているんだよ。おまえ。

 そんなの一欠片の可能性もないわ!

 

 悪いことはいわない。

 自分の命は大切にするんだな。

 さっさとここから消えろ。


 まぁ。

 それも俺の気が変わらない内にな。ハハハハハ!!!」



なんというか・・

いや・・いいか。



「えっと・・

 なんか”俺の命はあんたが握ってる”みたいにいってるけど・・

 

 俺・・

 いつあんたより力が劣ってるって言ったっけ?」



俺がこういうと、声が止んだ。

一瞬静かになったから、続けて喋った。



「あのさ、

 俺の命はお前に潰されるほど弱くないと思うんだわ。

 少なくとも、

 姿を見せない卑怯者よりは俺の方がましだとおもうんだけど?」



俺は死ぬ覚悟であの時闇に突っ込んだんだよ

こんな声だけの威張った野郎にバカにされたくねぇ・・


こんな暗闇が何だってんだ。

少なくとも・・俺には通用しねぇよ!!



「いい加減でてこい!!

 てめぇみたいな卑怯者相手にしてるほど暇じゃねぇんだよ!!

 こうしてる間にどれだけの霊がくるしんでるか・・わかってんのかクソ野郎!!」



はぁはぁ・・


俺は息が切れるほど叫んだ。

こうすれば声の主が姿を現すと思ったからだ。


姿が見えなければ戦うことができない。

俺の作戦に乗ればいいが・・



「言ってくれるねぇ・・

 まだまだ子供のお前に・・俺も舐められたもんだよ。


 覚悟出来てんだろうな?


 おまえ」



その時、

何もない暗闇から顔だけが現れた。

俺の目の前に。

鼻と鼻がくっつくくらい近かった。


その顔は血の気がなかった。

何日も日を浴びていないような、一切の血が無いような・・

とにかく顔面蒼白だった。


だけど、そいつの眼だけは赤く血走っていた。

そうとうな怒りを露わにしているようだ。



俺の作戦に引っかかった。

俺は顔がニヤつくのを抑えた。



「卑怯者と聞いて相当頭にきているみたいだが・・

 あんな言葉で怒るくらいなら、”闇”なんてもんは大したことないんじゃねぇの?」



俺はさらに相手を挑発した。


すると、闇は顔をゆっくり引っ込めた。

だが・・またすぐに戻ってきた。

身体付きで。


身体はボコボコと動いていた。

まるでたった今身体を造っているような・・

そんな感じに、奴の首から下はせわしなく動いている。


正直気持ちが悪い。


すると奴は喋った。


「お前・・殺す。ムカツクから。

 だけどただ殺すのは面白くない。


 お前が苦しむゲームをしようか・・・クックック」



「ゲーム・・」



こいつ・・一体何を考えてやがる。

ゲームなんてふざけてるとしか思えない。


すると、

いきなり暗闇がなくなり・・一面真っ白になった。



「・・なんだ?」



声がした。

その言葉は恐ろしい事を言った。



「お前が嫌がること。

 ”家族”ってどんなのかなぁ?


 家族っていなくなったらお前・・カナシイ?」



家族って・・まさか!!


それは現実になった。

嘘であって欲しい。

一瞬の間に何度俺がそう願ったか・・


叶わなかった俺の願い。


そして、

目の前には俺が小さい頃から知っている見慣れた顔、身体、服装・・


だれか嘘だといってくれ・・


何でここにいるんだ・・




「・・・母さん」



そこには、

母さんが”二人”いた。



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