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本性

作者: Anzsake
掲載日:2026/02/19

「小さい頃、何考えてた?」


「…晴れてるなぁ、とか」


「馬鹿か。そういう質問な訳無いだろ」


「いや、だって覚えてないですよ普通」


「だろうな。俺も実際覚えてないし」


「例えばですよ、全人類で”これが僕の本性です”って覚えておくようにしたら、やっぱり分かりますかね?」


「分類とかは出来るんだろうな。今で言う所の優しいとか」


「他になんかありましたっけ?」


「…無いかもな。怒りっぽいは、違うか」


「確か、性格診断とかありましたよね。性格を何パターンかに分けるやつ」


「それに怒りっぽいとかの分類はあるのか?」


「そう呼ばれてないだけで、そういう分類はありますよ」


「ちなみにお前の分類は?」


「1152Bだったかな」


「型番かよ」


「実際、それくらい統一されてる方が楽な気もしますけどね」


「俺らの仕事の場合な」


「せっかくなんで、先輩もやってみては?」


「断る」


「ケチ」


「俺の分類はケチかもな」


「あと無表情、効率厨、怠慢」


「悪口しかないな」


「悪口じゃない分類なんて無いでしょ。優しいですら半分悪口なのに」


「は?そうなのか?」


「みんながみんな相手を見下すんですから、全部悪口に決まってるじゃないですか」


「卑屈な思想だな」


「そういう仕事ですよ」


「お前の分類はどんなのなんだ?」


「外交的でお喋り、不真面目で欲望に忠実」


「…外交的は褒め言葉だろ」


「いえいえ、特に若者の間では、外交的ってのはあまり良い言葉として使われてませんよ。陽キャだとか」


「あぁ、でもそれは陰キャの評価だろ?」


「陰キャだろうが陽キャだろうが市民権はありますよ?もしかしてレイシストですか?」


「そうだが?」


「そうでしたか」


「優生思想だよ。多分みんな持ってるだろ」


「どうでしょうね。あんまりそういう事言うとまた怒られますよ?」


「あぁ、そうだったな」


「…本性も、遺伝子から選別できると思います?」


「育成環境に違いがなければ可能だろ。狐の家畜化実験は成功だったろ?」


「人間も?」


「もうなってる」


「へぇ、言われてみれば、そうかもしれませんね。にしては随分多様性がありますが」


「ちまちま取り除くのはめんどくさいだろ?やるなら一斉にだ」


「あー…なるほど?」


「人間にも分類があれば、確かにもっと楽かもしれないな」


「じゃあ、やります?性格診断」


「俺は別に要らん」


「じゃあ僕が、先輩になり切ってやってみますね」


「なんだそりゃ…」


「お、出ましたよ。2144F」


「あくまでもお前の中の俺だが」


「無口で冷徹だが、視野が広く頼りになる」


「…どうだ?」


「どうでしょうね。似て非なるものというか、ピンとこないというか」


「…同じ番号の有名な奴はみんな学者だな」


「一般社会では受けが悪いという事ですね」


「否定は出来んな」


「そうでしょうね。だって今から先輩はこの番号に囚われるんですから」


「嫌な言い方だな」


「僕はホッとしてます。先輩に番号が無いのは歯痒いんで」


「俺は今、お前に決められたことが歯痒いよ」


「じゃあ、自分でやりますか?」


「…分かったよ、やる」


「どうぞ」


「……2134K」


「お、案外近いですね」


「多分、お前に言われて思考が寄ったな」


「分かりますよ、結局そういうもんですよね。洗脳というか」


「お前は悪人だと言われてれば悪人になるってやつか」


「そうそうそれですよ、逆はどうなんでしょうか?」


「今からは無理だろうな」


「残念!迷い込んだばっかりに」


「そもそも、こいつだって悪気があって首を突っ込んだ訳じゃない。ただたまたま本性に対して好奇心があっただけだ」


「好奇心は猫をも殺す」


「だが、真実は猫を生き返らせる」


「本当に返すんですか?」


「別に、まだ教えてないからな」


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