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星祭の迷子と闇の囁き

皆さん、こんにちは!&こんばんは!

エピソード8「星祭の迷子と闇の囁き」公開です!

星祭二日目、クールなカラスが迷子騒動で大奔走!

週一更新になってごめんなさい!

皆さんの応援がめっちゃ励みです、

いつもありがとうございます!

さあ、星祭の喧騒へ!

聖ルミナリス魔法学園の「星祭」は二日目を迎え、校庭は屋台の喧騒と魔法の光の星々で彩られていた。

甘い香りが漂い、笑い声と音楽が響き合う。

俺たち一年B組の出し物は大盛況で、クラスメイトたちの魔法が華やかな雰囲気を盛り上げていた。

だが、新たな転校生、カラス・クロウの冷たい視線と不穏な動きが、星祭の裏でざわめきを呼んでいた。



星祭二日目の朝、俺はカイトやエルナ、ミナと一緒に屋台の補充作業に追われていた。

そこに、黒いパーカーのフードを目深にかぶったカラスが現れる。

背中に背負った大きな鎌が、朝日を鈍く反射し、まるで不吉な影のようだ。

「おい、カラス! 今日こそ出し物の手伝い頼むぜ!」

カイトが豪快に声をかけるが、カラスは冷たく一瞥するだけ。

「…必要ない。関わりたくない。」

その無愛想な態度に、カイトがムッとする。

「なんだよ、せっかくの星祭だろ! ちょっとくらいノリ良くしろよ!」

「…騒がしい場所は好まん。」

カラスはフードを直し、足早に立ち去る。

エルナが呆れたようにため息をつく。

「ほんと、感じ悪いわね、あの転校生。悠真、あんた何か知ってる?」

「いや…なんか、変な奴だよな。昨日も、急に静かな場所を聞いてきたし…。」

俺はカラスの鋭い視線を思い出し、首を振る。

ミナが控えめに呟く。

「でも…カラス君、さっき裏庭で野良猫にエサをあげてたよ…。優しい、のかな…?」

「は!? あの無愛想が!?」

カイトの叫びに、俺たちは顔を見合わせる。

カラス、一体何者なんだ…?


昼過ぎ、校庭の屋台巡りの喧騒の中、俺は焼きそばの屋台でカイトと談笑していた。

ふと、群衆の中で小さな男の子がキョロキョロしているのに気づく。

泣きそうな顔で「ママ…」と呟く姿に、胸が締め付けられる。

その隣に、なぜかカラスが立っている。

フードの奥の目は、明らかに困惑している。

「…天城悠真。助けてくれ。」

「え、カラス!? なんでお前が子供と…?」

「…この子、親がどこか分からないと言って…。俺も、学園の構造が…分からん。」

カラスの声に、珍しく焦りが混じる。

いつも冷静沈着な美青年が、方向音痴!?

「マジか…お前、めっちゃクールなのに、迷子って…!

てか、なんでこの子、迷子になったんだ?」

カラスがレオを軽く見つめ、ボソッと答える。

「…ぬいぐるみ屋台で何かを見つけ、勝手に走り出したらしい。それで、親を見失ったと。」

俺は男の子――名前はレオだと判明――に目を向ける。

「レオ、なんで走り出したんだ? ママはどこにいたんだ?」

レオが涙目で呟く。

「う、うん…ママと一緒にいたんだけど…あの屋台で、キラキラ光る星のぬいぐるみ見つけて…。

ママ、子供の頃、同じの持ってて大好きだったって…。

見つけたら絶対欲しいって言ってたから、近づこうとしたら…ママ、いなくなっちゃって…。」

レオの小さな声に、俺はハッとする。

母親の思い出のぬいぐるみか…。

それで興奮して走り出し、迷子になったってわけだ。

「分かった、レオ! ママを見つけて、ぬいぐるみもゲットしてやろうぜ!

カラス、協力しろ!」

カラスがフードの奥で眉をひそめる。

「…ぬいぐるみ? そんなものまで…面倒だ。」

「面倒とか言うなよ、カラス! レオのためだろ!」

俺がレオの手を取ろうとすると、レオはカラスの服の裾を握りしめた。

最初に助けてくれたカラスの方が頼もしいのだろう。

その様子を見たカラスは目を細め、微かに頬を染める。

「…子供に好かれるのは悪くない。」

その呟きに、俺はニヤける。

こいつ、子供にはめっちゃ弱いな!


そこに、黒いゴスロリドレスに身を包んだリリスが現れた。

赤いリボンとフリルのスカートが揺れ、腕には不気味な目がギョロッとした人形「ミミちゃん」を抱えている。

天真爛漫な笑顔で、彼女はカラスと俺を交互に見る。

「ねえ、悠真、カラス、なになに~?

子供連れてウロウロして、超怪しいんだけど~!」

リリスの無邪気な声に、俺は慌てて弁解する。

「リ、リリス! いや、これはレオって子が迷子で、親を探してて…!

ママが欲しいって言ってた星のぬいぐるみ見て走り出しちゃって、迷子になったんだ!」

「ふーん、迷子? ぬいぐるみ?

カラスみたいなクールぶった子が、そんなお世話~? ぷぷっ、似合わない~!」

リリスがミミちゃんをくるっと回しながら笑う。

だが、その瞳が一瞬、鋭く光る。

カラスがフードの奥でリリスを睨む。

「…余計な詮索は無用だ。」

「ふふ~、怖い怖い!

でもさ、悠真、こんな奴と一緒にいると、変なトラブルに巻き込まれるよ~?」

リリスの無邪気な口調に、俺は苦笑い。

だが、ミミちゃんの目が俺をジッと見つめ、背筋がゾクッとする。

「まあ、でも、レオのママとぬいぐるみ見つけないと!

リリス、知ってるか?

赤いスカーフの女性、星のクッキーの屋台にいるって!」

リリスがミミちゃんを胸に抱きしめ、首を傾げる。

「ん~、星のクッキーなら、三年A組の『スターダスト・スィーツ』じゃない?校舎裏のエリアだよ~。

ぬいぐるみなら、近くにすくい屋台あったような~……

でも星祭の混雑、めっちゃカオスだよ〜?」

「おお!リリス、ナイス情報! よし、レオ行くぞ!」

レオが「うん!」と頷き、カラスも無言でついてくる。

「ふふふ、私も行くよ~! 面白そうなんだから!」

とリリススキップしながら後ろをついてくる。


とんだ冒険パーティになってしまって、余計校舎裏への屋台の迷路のような混雑を進むのが一苦労だ。

やっとのことでリリスが言ってたぬいぐるみすくいの屋台を見つける。

ふわふわの星形ぬいぐるみがキラキラ輝き、レオが目を輝かせる。

「これ! ママが言ってたの、これだよ!

ママ、子供の頃、これ持って星祭に来たって…。

無くしてから、ずっと悲しかったんだ…。」

レオの言葉に、俺はグッとくる。

母親の思い出の品か…。

これが迷子のきっかけなら、絶対ゲットして親子を笑顔にしてやる!

俺は自分の母親の笑顔を思い出しながら決心した。

「よし、レオ! これ取って、ママにプレゼントだ! カラス、協力しろ!」


水槽の中に、魔法の泡に閉じ込められたピカピカ光るぬいぐるみがたくさん浮いてる。

カラスが渋々挑戦するが、すくう網を水中に入れた瞬間、ボロボロに破ける。

何度も挑戦するが、失敗続きで明らかにイライラしてる。

「ふふ~、カラス下手くそ~?

ミミちゃん、びっくり~!」

リリスがミミちゃんを振りながらニヤニヤする。

「…違う。慣れてないだけだ。」

すると、カラスの手が微かに震え、背中の鎌が赤く光り始める。

「おい、待て! 能力使う気か!?」

「…この程度の仕掛け、俺の力なら…!」

カラスの声に苛立ちが滲んで、俺が慌てて止める。

「お前の能力って攻撃系ばっかりだろ!?

落ち着け、カラス! ここは俺に任せろ!」


俺はレオの期待する目を見て、腰の聖剣「星降る刃」にそっと手を当てる。(アルディオン、ちょっとだけ力を貸してくれ…!)

聖剣から微かな光が漏れ、俺の指先に星のような魔力が集まる。

誰も気づかないよう、さりげなく網を握り、水槽にそっと入れる。

すると、まるで星の導きのように、ぬいぐるみがスルッと網に吸い寄せられる。

「よっしゃ、ゲット!」

俺はぬいぐるみをレオに渡す。

「ママ、喜ぶよ!」とレオも大はしゃぎ。

カラスがフードの奥で目を丸くし、俺をチラリと見る。

「…天城、お前、今何か…?」

「いや、なんでもない! ただのテクニックだよ!」

(やば…アルディオンの力、気づかれたか…?)

俺が内心ドキドキしていると、腰の聖剣「星降る刃」が微かに震え、アルディオンの低く響く声が頭に直接響いてくる。

「ふん、カラスには能力を使うなと言っておいて、自分は余の力を使いおって…。

恥ずかしくないのか、雑魚?」

「う、うるさい! ちょっとだけだし!

レオのためなんだから、いいだろ!」

俺は心の中で反論するが、アルディオンのクスクス笑う声が響き、聖剣がピカッと光る。

「まあ、良い。子供の笑顔のためなら、余も文句は言わん。

だが、次はもっと堂々と使えよ、雑魚!」

「って、だから静かにしろって…!」

俺は慌てて聖剣を押さえ、顔を赤らめる。

カラスとリリスの視線を感じつつ、なんとか誤魔化して歩き出す。


「…助かった。感謝する。」

「ふふ~、カラス君、子供にモテモテ~!

ミミちゃん、ジェラシー感じちゃうよ~!」


「リリスお姉ちゃん、ミミちゃん、ちょっと怖いよ…」

「リリス、その人形、ほんと怖いからやめてくれ…。」

「え~? ミミちゃん、超可愛いのに~!」

リリスの無邪気な笑顔に、なぜか寒気がする。

カラスがリリスをチラリと見て、フードを深く被る。


校舎裏に近づくと、星祭の魔力が強すぎて、浮遊する星の光がチカチカと点滅し、視界が悪い。

カラスがまた別の方向へフラリと進もうとする。

「…こっちだろ?」

今度は星形のキャンディー屋台。

「カラス、だからクッキーだって! お前、方向音痴すぎだろ!」

「…黙れ。」

カラスの声に苛立ちが滲むが、レオが「カラスお兄ちゃん、がんばって!」と手を振ると、フードの奥で微かに頬が染まる。

リリスがクスクス笑う。

「ぷぷっ、カラス君、めっちゃ迷ってる~!

ミミちゃん、呆れてるよ~!」

「…お前の人形は関係ない。」

カラスの低音に、リリスが「ひゃ~、怖い~!」とミミちゃんを盾にしながら笑う。

だが、その笑顔の奥で、彼女の瞳がカラスを鋭く観察している気がした。


レオが「ママ、どこ…?」と不安そうに呟き、ぬいぐるみを抱きしめる。

カラスはレオの手を強く握り、励ます。

「大丈夫だ、レオ!…絶対ママを見つけるぞ…」

カラスがフードをずらし、周辺を見回す。

「…天城、あそこに赤いスカーフが見える。」

彼が指したのは、確かに赤いスカーフの女性!

だが、近づくと、ただの屋台の飾り布だった。

「カラス、そりゃ布だよ!

お前、ほんと方向音痴…いや、目も悪いのか!?」

「…っ、黙れ!」

カラスの耳が真っ赤になり、リリスが爆笑する。

「ふふ~、カラス君、最高~! ミミちゃんも呆れてるよ~!」


ようやく校舎裏の『スターダスト・スィーツ』にたどり着くと、星形のクッキーを売る屋台が輝いていた。

赤いスカーフの女性が、レオを見つける。

「レオ! 心配したのよ!」

「ママ!」

レオが駆け寄り、ぬいぐるみを差し出す。

「ママ、これ!

カラスお兄ちゃんと悠真お兄ちゃんが取ってくれた!

ママが好きだったやつだよね?」

母親が目を潤ませ、ぬいぐるみを手に震える。

「これ…子供の頃、星祭で持ってたのと同じ…。

無くしてから、ずっと後悔してたの。

ありがとう、レオ…そして、皆さん!」

レオがカラスにぎゅっと抱きつき

「カラスお兄ちゃん、ありがと! また遊ぼうね!」

と笑う。

カラスの目が一瞬揺れ、フードの奥で微かに頬が染まる。

「…ああ、元気でいろ。」

「ふふ~、カラス君、子供に甘々ね~!

ミミちゃんも感心してるよ~!」

カラスの耳が赤くなり、フードを深く被る。

俺は笑いを堪えつつ、カラスの人間らしい一面と、母親の感動にほっこりする。


その夜、屋台の片付けが一段落した頃、俺は中庭の奥の木陰でカラスを見かけた。

フードを下げ、月光の下で魔法通信の水晶を手に誰かと話している。

背中の鎌が、微かに赤く光る。

「…星祭の魔力は予想以上に不安定だ。結界の綻びは確認済み。次の指示を待つ。」

その冷徹な声に、俺は背筋がゾッとする。

そこに、リリスがひょっこり現れ、ゴスロリドレスを揺らしながら無邪気に笑う。

「ねえ、カラス、夜中にコソコソ何してるの~?

ミミちゃん、気になるんだから~!」

カラスがギクッと振り返り、水晶を素早く懐にしまう。

「…お前、なぜここに?」

「ふふ~、ただのお散歩だよ~!

でも、怪しい雰囲気、ミミちゃんがビビッと感じちゃった~!」

リリスの笑顔は無邪気だが、ミミちゃんの目がギョロッと光り、カラスを睨む。

カラスの目が一瞬鋭くなり、リリスを見つめる。

「…余計な詮索は命取りだぞ。」

「ひゃ~、怖い怖い!

でも、カラス、秘密多そう~!

ね、悠真もそう思うでしょ?」

リリスが俺に振り返り、俺は慌てて誤魔化す。

「い、いや、なんでもない! ただ、散歩してただけだ…!」

カラスは鋭い目で俺とリリスを一瞥し、フードを被り直して去っていく。

リリスがミミちゃんを抱きしめ、くすくす笑う。

「ふふ~、カラス、めっちゃ怪しいね~。

悠真、気をつけなよ~?」

その無邪気な声に、俺はなぜかゾクッとする。

(リリス…お前もなんか、普通じゃないよな…?)

俺は腰の聖剣「星降る刃」を握りしめ、不安を覚える。

読了ありがとうございます!

悠真の星祭はまだまだ波乱!

週一更新で待たせてごめんなさい、

皆さんの訪問がパワーになってます!

次回も星祭でドキドキ展開を準備中!

ブックマーク、評価、感想、よろしくね!

また来週、星の下で!

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