星屑の誓いと紫の瞳の絆
皆さん、こんにちは&こんばんは!
お待たせしました、『墓から始まる冒険譚』の新エピソード「星屑の誓いと紫の瞳の絆」です!
今回は星祭のお化け屋敷でまさかの幽霊騒動!
悠真とリリアが聖剣の力で挑み、過去の切ない約束が明らかに…。
アルディオンの意外な一面や、リリアの紫の瞳に隠された秘密も!?
ドキドキと感動の展開、ぜひ楽しんでください!
最近、諸事情で週一更新になってしまい、申し訳ありません…!
それでも応援してくれる皆さんに感謝です!
感想や評価、ブックマークで励みをもらってます!
では、星祭の夜へ、レッツゴー!
聖ルミナリス魔法学園の「星祭」は熱気を帯び、夜空には魔法の光の星々が漂う。
校庭の屋台から甘い香りが漂い、笑い声と音楽が響き合う。
俺たち一年B組の「お化け屋敷:勇者と魔王の館」は長蛇の列で、ミナの薬草の霧やエルナの浮遊魔法が不気味な雰囲気を盛り上げる。
だが、そんな賑わいの中、誰も予期しない騒動が起こる。
「おい、悠真! 照明の魔法陣、またバグってるぞ! 早く直せ!」
カイトの豪快な声が響き、俺は慌てて聖剣「星降る刃」を短剣に戻して腰に差す。
「うわ、わかった! すぐ行く!」
お化け屋敷の裏口へ向かうと、薄暗い通路にリリア・クロウが立っていた。
銀髪のショートボブが星祭の光を反射し、紫の瞳が半分隠れる前髪がミステリアスな雰囲気を醸す。
紺のブレザーに黒いリボン、短めのスカートに銀のチェーンが揺れる。
彼女は小さく首を傾げ、天然な声で言う。
「ふぁ…天城君、こんな暗いとこで何してるの…?」
「リ、リリア!? いや、照明の魔法陣が壊れてて…。お前も、こんなとこで何してるんだ?」
「ん…お化け屋敷、ちょっと気になる…。星の魔力が、ざわざわしてるから…。」
リリアの紫の瞳が、どこか遠くを見るように揺れる。
彼女の指が銀髪の星形ヘアピンをいじる仕草に、俺はなぜかドキッとする。
その瞬間、会場が真っ暗に。
「きゃああ!」
「うわ、なんだこれ!?」
客たちの悲鳴が響き、物音がドタバタと聞こえる。
照明の魔法陣が完全に死んだのだ。
「まずい…! リリア、ここにいてくれ、俺、魔法陣見てくる!」
「ふぁ…天城君、暗闇、一人だと…怖いよ?」
リリアが俺の袖をそっと掴む。
その華奢な指先に、俺の心臓が跳ねる。
彼女の声は天然だが、瞳にはどこか真剣な光。
「え、う、うん…じゃあ、一緒に来るか?」
「ん…天城君と一緒なら、怖くない…かな。」
リリアは小さく微笑み、俺の手を握る。
冷たくて柔らかい感触に、俺は顔が熱くなる。
お化け屋敷の奥、魔法陣の小部屋にたどり着いた俺とリリアは、青白い光に包まれた人影に息を呑んだ。
長い髪が揺れる若い女性の霊体――透き通った瞳から、涙のような光がこぼれている。
彼女の声は、風のように切なく響く。
「…ここは…どこ…? 私の約束…星の下で…まだ…。」
「なんだ…!? ただの幽霊じゃない…!」
俺が聖剣「星降る刃」を構えると、リリアがそっと腕を押さえる。
彼女の紫の瞳が、迷い霊をじっと見つめる。
「ふぁ…迷い霊…。でも、ただの魂じゃない。強い想いが、星祭の魔力に引き寄せられたの…。」
リリアの声は天然な口調だが、どこか悲しげだ。
彼女は銀髪の星形ヘアピンをいじり、魔法陣の隅に刻まれたひび割れた紋章に目をやる。
「この紋章…学園創立時の封印。魔王の戦いで散った聖騎士の魂を鎮めるもの…。彼女、その一人だね。」
迷い霊の女性が震える声で呟く。
「私は…エリシア。星の騎士団…アルディオン様と、星の祝福の下で再会を誓った…。でも、私は…戦場で…。」
その言葉に、俺の胸が締め付けられる。
エリシアの瞳には、果たせなかった約束と深い孤独が宿る。
アルディオン――聖剣の精霊であり、誇り高き英雄。
彼とは正反対だ。
アルディオンは使命に生き、毒舌ながら未来を見据える。
一方、エリシアは過去の約束に縛られ、彷徨う魂。
その2人の心が、俺の心を強く揺さぶる。
「エリシア…アルディオンと再会したかったのか?」
俺が尋ねると、リリアが静かに頷く。
「ふぁ…星祭の魔力が強すぎて、封印が緩んだの。エリシアさんの未練が、魔法陣のひびから溢れた…。アルディオン様に、会いたいって想いが…。」
リリアの紫の瞳が一瞬揺れる。
彼女自身、いつも何か気持ちと気持ちの間で揺れているように見える。
その葛藤が、エリシアの未練と重なるようだ。
「天城君…エリシアさんを解放するには、彼女の約束を叶えるしかない。聖剣なら…アルディオン様を呼び出せるよ。」
リリアの言葉に、俺はゴクリと唾を飲む。
「俺、…エリシアのために、やってみる! リリア、力を貸してくれ!」
「ん…天城君なら、できる。星の心、持ってるから…。」
リリアは小さく微笑み、紫の輝くダガーを取り出す。
彼女の微笑みに俺は勇気を貰う。
「エリシア、俺がアルディオンを呼ぶ。約束の星、絶対に見せてやる!」
俺は聖剣を杖に変え、心を集中する。
「星よ、過去と今を繋げ…『ステラ・コネクトス』!」
聖剣から青白い光が放たれ、魔法陣に流れ込む。
すると、半透明のアルディオンが現れる。
いつもより厳粛な表情で、彼はエリシアを見つめる。
「エリシア…貴様、なぜまだここに…?」
アルディオンの声には、毒舌の代わりに深い悲しみが滲む。
エリシアの霊体が震え、涙が星屑のようにこぼれる。
「アルディオン様…! 約束…星の祝福の下で、再びあなたと…。でも、私は…戦場で死に…。」
「フン…愚か者め。貴様は最後まで星の騎士団の誇りだった。それで十分だ。」
アルディオンの言葉は厳しいが、目には仲間への敬意が宿る。
「リリア、今だ! エリシアを星に還そう!」
「ん…わかった。天城君、一緒に…!」
リリアがダガーを掲げ、呪文を唱える。
「闇と光よ、星の導きに還れ…!」
紫の光がエリシアを包み、俺の聖剣の光と交錯する。
魔法陣のひび割れが修復され、エリシアとアルディオンの周りに星屑が舞う。
「アルディオン様…ありがとう…。やっと、星に…。」
エリシアは穏やかな微笑みを浮かべ、アルディオンに手を伸ばす。
アルディオンもまた、珍しく優しい表情で彼女の手を取る。
「よく耐えた、エリシア。星の祝福の下、休息せよ。」
二人の手が触れ合う瞬間、エリシアの霊体が星屑となって消え、魔法陣が安定した輝きを取り戻す。
アルディオンは一瞬だけ寂しげな目をし、すぐにいつもの高慢な姿に戻る。
「フン、貴様も雑魚のくせに、なかなかやるではないか。」
俺は汗を拭い、リリアを見る。
「リリア…お前がいてくれて、ほんと助かった。」
「ふぁ…天城君の聖剣が、エリシアさんの心を繋いだんだよ。…やっぱり、天城君は星みたい。」
リリアの紫の瞳に、温かい光が宿る。彼女の天然な笑顔に、俺は胸がドキドキする。
「リリア…お前、なんでそんなに詳しいんだ? なんか、隠してるだろ?」
「ふぁ…? ん、秘密…だよ? 天城君には、いつか…話す、かも。」
リリアは指を唇に当て、ミステリアスに微笑む。
その一瞬、葛藤がちらつくが、俺への信頼のような光も見えた、気がした。
リリアの紫の瞳が俺を見る。
普段のクールな無表情とは違い、微妙な温かみが混じる。
俺は照れくささに耐えきれず、聖剣を握り直す。
「よし、じゃあ…照明、復活させるぞ!」
俺は聖剣を杖に変え、アルディオンの力を借りて詠唱する。
「星よ、光を灯せ…『ルミナ・ステラリス』!」
聖剣から青白い光が魔法陣に流れ、部屋が明るく照らされる。
客たちの悲鳴が歓声に変わり、お化け屋敷は再び活気づく。
「天城君…すごい。やっぱり、星みたい…。」
リリアが小さく拍手し、ミステリアスな微笑みを浮かべる。その笑顔に、俺は胸が締め付けられるような気持ちになる。
騒動が収まり、俺とリリアは中庭の噴水のそばで休憩していた。
星祭の光の星々が頭上を漂い、月光がリリアの銀髪をキラキラと照らす。
「リリア、さっき…ほんと助かった。ありがとう。」
「ふぁ…別に。私、ただ…天城君が困ってると、放っておけなかっただけ…。」
リリアは指で髪をいじりながら、噴水の水面を見つめる。
彼女の紫の瞳に、星の光が映る。
「天城君…聖剣、持つのって…重くない? いつも、みんなのために頑張ってる…無理、しない方がいいよ?」
彼女の言葉は天然な口調なのに、どこか心に刺さる。
俺は少し考えて、笑う。
「まあ、確かに俺、雑魚だしさ。聖剣に選ばれた理由もわかんねえけど…。でも、リリアやみんなとこうやってると、なんか…頑張れるんだ。」
リリアの瞳が一瞬大きく見開き、すぐに柔らかい笑顔に変わる。
「ふぁ…天城君、ほんと…素直。嫌いじゃない…よ。」
彼女はそう言うと、そっと俺の隣に座り、肩が触れる距離まで近づく。
星祭の光が二人を包み、まるで時間が止まったような静寂。
「リ、リリア…!? 急に近くない!?」
「ふぁ…? 近くないよ。星、よく見える距離…だよ?」
リリアは首を傾げ、天然な笑顔で言う。
だが、その瞳の奥に、ほんの一瞬、複雑な光が揺れる。
寮に戻りながら、俺はアルディオンに話しかける。
「おい、アルディオン。今日のエリシア…お前の仲間だったんだな。」
半透明のアルディオンが現れ、いつもの高慢な表情でフンと鼻を鳴らす。
「フン、エリシアか。あの娘は星の騎士団でも一際純粋な魂だった。…貴様のような雑魚とは大違いだ。」
「うるさい! 雑魚って言うな! …でもさ、エリシア、めっちゃお前に会いたがってたぞ。まるで、恋でもしてたみたいにさ。」
俺がニヤニヤしながら揶揄うと、アルディオンが珍しく目を逸らし、顔を微妙に赤らめる。
「バ、バカを言うな! エリシアはただの部下だ! 余に対する敬意が、少々…熱心だっただけにすぎん! 貴様こそ、あの銀髪の娘に目を奪われておっただろう、リリアとかいう! フン、雑魚のくせに色恋沙汰とは生意気な!」
「は!? リ、リリアは関係ないだろ! ってか、お前、めっちゃ動揺してんじゃん! エリシア、彼女じゃなかったのかよ?」
俺がさらに突っ込むと、アルディオンはムキになって叫ぶ。
「黙れ、雑魚! 余は星の騎士団の団長だ! そんな私情に溺れると思うな! エリシアは…ただ、約束を信じすぎた、愚かで純粋な騎士だっただけだ…。」
その声に、珍しくしんみりした響きが混じる。
俺は少し申し訳なくなり、苦笑いする。
「まあ…エリシア、星に還れてよかったよな。お前のおかげで、ちゃんと約束果たせたんだ。」
「フン…貴様とあの娘、リリアの協力がなければ、余一人では難しかったかもしれん。…少しだけ、礼を言っておくぞ、雑魚。」
アルディオンがそっぽを向く。
そのツンデレな態度に、俺は思わず笑う。
「へっ、素直じゃねえな、幽霊のくせに! でも、リリア…ほんと、なんか不思議なやつだよな。悪い奴じゃない…気がするんだけど。」
アルディオンの目が鋭くなる。
「フン、恋に目が眩んだか? あの娘は星の意志に触れた者だ。だが、魔王の匂いがする。貴様の純粋さが彼女の心を揺さぶっているようだが、油断するなよ、雑魚。」
「はいはい、わかったよ! …でも、エリシアのこと、ちょっとだけ羨ましかったな。アルディオンとそんな約束、俺もいつか…いや、なんでもない!」
俺が慌てて誤魔化すと、アルディオンはニヤリと笑う。
「フフン、貴様が余と約束だと? 雑魚の分際で百年早いわ! せいぜい、星祭で迷子にならんようにな!」
「うるさい! ツンデレ幽霊!」
俺のツッコミに、アルディオンは珍しく笑い声を上げ、聖剣の中に消えていった。
エリシアの切ない想いと、アルディオンの隠れた優しさを思い出しながら、俺はリリアの紫の瞳をふと思い浮かべ、頬が熱くなるのを感じた。
読了ありがとうございます!
いかがでしたか?
エリシアの切ない想いとアルディオンの再会……
悠真とリリアの絆もじわじわ深まって、リリアの秘密が気になるところ!
アルディオンのツンデレも絶好調でした(笑)
おかしいなあ、アルディオンはツンデレになる予定じゃなかったんだけど……
次回も星祭の続き、もっとドキドキな展開を準備中なので、ぜひ待っててください!
ブックマーク、評価、感想、Xのリポストやいいね、いつもありがとうございます!
また来週、星の下で会いましょう!