星の学園祭と雑魚の刻印
こんにちは&こんばんは!
少し間が空いてしまいました…。
第一章、完!としてみたくて、お話を色々いじってました!
第二章からは学園祭が始まり、いつものメンバーと新キャラでドタバタしたいと思います!
それでは!
エピソード6:学園祭と忍び寄る影
聖ルミナリス魔法学園最大のイベント、「星祭」が始まった。
この学園は、未来の聖騎士を育てるために設立された、いわばエリート校だ。
剣術や魔法の腕を競い合う才能の塊が集まる一方で、俺のような落ちこぼれも奇跡的に在籍している。
そんな才能も血筋もバラバラな生徒たちが、唯一心を一つにできるのが、この「星祭」だった。
「星祭」は、伝説の聖騎士アルディオン・ステラリスが、魔王を打ち破った夜に空から降り注いだ「星の祝福」を記念する祭りだ。
学園創立以来、千年もの間続いており、生徒たちは一年を通してこの日を心待ちにしている。
魔法で創られた光の星々が空中を漂い、校舎の壁には星座のイルミネーションが輝く。
あちこちから聞こえてくる活気ある声と、甘い香りを乗せた風が、祭りの始まりを告げていた。
俺たち一年B組は、「勇者と魔王のお化け屋敷」を企画している。
「悠真、魔法でこの岩を宙に浮かせろ!」
カイトが豪快な笑い声と共にお化け屋敷のセットを指差す。
俺は聖剣「星降る刃」を短剣の姿に戻し、魔法の杖を握った。
「わ、わかった!『土よ、宙に舞え』…!」
詠唱は完璧だ。だが、俺の魔力は最低ランクE。岩はビクともしない。
「ダメだ、ぜんぜん動かない…!」
「はぁ…あんたって本当に使えないわね!」
エルナが呆れたようにため息をつき、代わりに杖を振る。
すると、岩は軽々と宙に浮き、お化け屋敷の入り口に設置された。
「さすがエルナ! いつもありがとう…」
「別に、あんたのためじゃないわよ! 早く作業に戻りなさい!」
「ねえ、悠真くん。この薬草、毒の効果を弱めるのに使えるかな?」
ミナが小さな薬草の束を手に、控えめに尋ねてきた。
彼女は裏山で見つけた薬草で、お化け屋敷の雰囲気を出すための演出小道具を作ってくれていた。
「すごいな、ミナ! ほんとに本物みたいだ!」
「えへへ…役に立ててよかった…」
ミナは恥ずかしそうに笑い、その笑顔に、俺は心が安らぐのを感じた。
「おい、悠真! サボるなよ! この木彫りの魔物を仕上げろ!」
カイトが豪快な声で俺を叱咤する。
俺はカイトの陽気さと、エルナのツンデレな優しさ、ミナの控えめな気遣いに、少しずつだけど、この学園に居場所を見つけつつあるのを感じていた。
だが、そんな穏やかな日常に、不穏な影が忍び寄っていることを、俺はまだ知らなかった。
お化け屋敷の準備が終わり、クラスメイトたちが一息ついていると、担任の先生が新しい転校生を紹介した。
「みんな、静かに! 今日から一年B組に転入してきた、カラス・クロウ君とリリス・クロウさんだ」
カラスは黒いパーカーのフードを目深にかぶり、顔が見えない。
背中には、やたらと大きな金属製の物体を背負っている。
「…よろしく」
カラスはボソリと呟き、俺たちのクラスに不穏な空気を漂わせた。
一方、リリスは真逆の印象だ。
ゴスロリ風のフリルのついたワンピースを着て、不気味な人形を抱えている。
「ふふ、みなさん、はじめまして。わたくし、リリスと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
リリスは愛らしい笑顔を浮かべて挨拶するが、その瞳の奥は、どこか冷たく、底知れない闇を秘めているように見えた。
こんな時期に転校生…?
授業が終わり、俺が聖剣を短剣に戻していると、カラスが俺の席に近づいてきた。
「…お前、天城悠真、だな?」
「え、うん…そうだけど、何か用?」
カラスはフードの奥から、俺の短剣をじっと見つめている。
その視線に、俺は背筋がゾッとした。
俺が警戒すると、カラスは少し慌てたように言った。
「いや…この学園…広いな。どこか、静かな場所はないか?」
カラスは、静かな場所を探していると言い、俺に道を尋ねた。
「静かな場所…なら、中庭の奥にある噴水とか…」
「そうか…教えてくれて、ありがとう」
カラスは礼を言うと、そのまま足早に去っていった。
(なんだ、あいつ…なんか、変な奴だな…)
俺はカラスの奇妙な行動に首を傾げた。
「悠真、今の転校生…なんか怪しくない?」
エルナが俺の隣に来て、心配そうに尋ねる。
「うん…なんか、不思議な雰囲気だったよな」
「でしょ? …絶対、何か隠してるわよ」
エルナはそう言って、転校生たちを警戒するように目を細めた。
その夜、俺は寮の自室で聖剣を磨いていた。
「雑魚のくせに、もっと聖剣の手入れに集中しろ。分不相応だぞ」
アルディオンが半透明の姿で現れ、俺に毒舌を浴びせる。
「うるさいな、幽霊のくせに! ていうか、今日の転校生、なんか変な奴だったんだよ」
「フン、余の結界をすり抜けるような、ただの人間ではないだろうな」
アルディオンはそう言うと、俺の短剣に手をかざす。
すると、短剣から青白い光が放たれ、聖剣の姿に戻った。
「…ふむ、お前の血が、聖剣と馴染んできているようだな。だが、油断するなよ、雑魚。」
アルディオンはそう言いながら、俺の聖剣に触れる。
俺は慌てて短剣に戻し、それを隠すように後ろに回した。
「おい、勝手に触るなよ! 幽霊のくせに、なんで触れられるんだよ!」
「フン、貴様の血と、この聖剣が共鳴しているからだ。余は言わば、聖剣の精霊のようなもの。持ち主の血と魂が、余の存在を安定させておるのだ。…だが、こんな時期に転入生とはな。学園に、何か不穏な動きがあるのかもしれんぞ。」
アルディオンは、どこか遠い目をして呟いた。
「不穏な動きって…まさか、魔王復活を企む奴らが、もう学園に…?」
俺が不安そうに尋ねると、アルディオンは鼻で笑った。
「その可能性は否定できん。だが、貴様のような雑魚が、そんな大層なことを考える必要はない。せいぜい、学園祭で迷子にならんようにせい。」
「うるさい! 俺だって、頑張ってんだよ! ていうか、お前、さっきから毒舌すぎない!? いつもはもっと偉そうなのに、なんかちょっと、面白くなってきてない?」
俺がそうツッコむと、アルディオンは顔を赤らめ、そっぽを向いた。
「フン、勘違いするな、雑魚。余が貴様と喋ってやるのは、聖剣の持ち主として、最低限の義務を果たしているだけだ。べ、別に、貴様と話すのが、楽しいわけではない…ぞ!」
「ツンデレかよ!」
俺は思わず叫んだ。
幽霊なのに、なんだか人間らしい感情があるんだな、と。
そんなアルディオンとの時間が、俺の不安な気持ちを少しだけ和らげてくれている。
「…まあ、冗談はさておき、転入生には気をつけろ。特に、あの銀髪の娘…」
アルディオンは、リリアのことを思い出したのか、急に真剣な表情になった。
「彼女は、どこか余と同じような…星の意志に触れた、特別な存在だ。だが、その瞳の奥には、憎悪のようなものが宿っておる。敵か味方か…見極めが必要だぞ。」
「え、リリアのこと…? でも、彼女、なんかフワフワしてて、優しい感じだったけど…」
「見た目に騙されるな、雑魚。この世は、見えない闇の方が、遥かに恐ろしい。」
アルディオンの言葉に、俺は背筋がゾッとした。
いかがでしたでしょうか!?
新しいキャラクターたちも登場し、悠真の冒険はさらに賑やかに、そして波乱に満ちたものになっていきます。
聖剣の力、仲間との絆、そして忍び寄る影。
すべてが交錯する第二章もお楽しみに!
もしよろしければ、この作品をブックマークや評価していただけると、今後の執筆の大きな励みになります。
引き続き、『墓から始まる英雄譚』をよろしくお願いいたします!