第三の試練:星降る絆と聖剣の覚醒
ここまで読みに来てくれた方こんにちは&こんばんは!
こちらは試練につぐ試練で疲れてきた主人公たちですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか!
さあいよいよ最後の試練です……悠真は漢になれるのか!
雑魚のままなのか!
完結にはまだほど遠いですが、読んでいただければ幸いです!
「ハッ! 雑魚ども、よくぞここまで辿り着いた。
だが、ここからが本番だ!」
「映心の間」で信念の試練を乗り越えた俺たちを待っていたのは、煌びやかな光の柱が立ち並ぶ巨大な円形広間だった。
天井には満天の星空が広がり、足元の床には壮大な星座の魔法陣が描かれている。
アルディオンは金髪をなびかせ、不敵に笑う。
「第三の試練、『絆の間』。ここでは、お前たち二人の絆が試される。一人では到底敵わぬ強敵が相手だ。
さあ、見せてみろ、雑魚。
お前たちが結んだ絆とやらをな!」
「え、ちょっと待って! 絆って言われても、俺たち別に付き合ってるわけじゃないし!」
俺は慌てて否定したが、エルナは真っ赤な顔で俺を睨みつけた。
「バカッ! そんな意味で言ってんじゃないわよ!」
二人の漫才に、アルディオンは呆れたように腕を組む。
「相変わらずだな、お前たちは。だが、その息の合ったやり取りも、案外悪くないな」
と呟き、彼の視線が不意に遠くの空に向けられた。
まるで、過去の仲間たちを懐かしんでいるかのように。
その瞬間、広間の中心にある祭壇から青白い光が放たれ、一つの巨大な影が姿を現した。
それは、まるで夜空そのものが具現化したかのような存在だった。
鱗は星屑のようにきらめき、巨大な翼は夜空を閉じ込めたよう。
頭部には三日月型の角が生え、その威容はただならぬ圧を放っていた。
「あれ、もしかして……ドラゴン?」
俺がごくりと唾を飲み込むと、アルディオンは冷静に答える。
「ああ、そうだ。星屑の竜、『ヴォルテクス・ドラグーン』。かつて余が仲間たちと力を合わせ、ようやく打ち倒した強敵だ。
だが、今は幻影。貴様ら二人だけで打ち破れるものなら、やってみるがいい!」
ドラゴンは悠然と空を舞い、鋭い咆哮をあげた。
その声は、星空に響き渡り、俺たちの心を震え上がらせた。
「うわあああ! なにこれ、無理ゲーじゃん! 俺、帰る!」
俺は腰を抜かし、尻餅をついた。
「ほら、またそうやって! 悠真、いつまでヘタレなのよ!」
エルナはレイピアを構え、俺を鼓舞する。
「私も、正直怖い。でも、ここで諦めたら、これまで頑張ってきた意味がないでしょ!」
彼女の瞳は、エメラルドグリーンの輝きを放ち、決意に満ちていた。
その言葉を聞き、俺の心は再び奮い立った。
「…そうだ、エルナの言う通りだ!
俺だって、ただのヘタレじゃ終わりたくない!」
俺は立ち上がり、手に持った短剣を握りしめる。
短剣は、勇気の試練と信念の試練を乗り越え、星の模様が鮮やかに浮かび上がっていた。
「いくわよ、悠真! 私が隙を作るから、あんたはその間に攻撃して!」
「おう! 任せろ!」
俺とエルナはアイコンタクトを交わし、戦闘が始まった。
エルナは素早い剣技でドラゴンの注意を引きつける。
「ヴォルテクス・ドラグーン」は、その巨大な口から夜空を凝縮したようなブレスを放ち、エルナを追いつめる。
「くっ……!」
エルナはギリギリでブレスをかわし、俺に叫んだ。
「悠真! 今よ!」
俺は短剣を構え、ドラゴンの懐に飛び込む。
だが、ドラゴンの鱗は固く、俺の短剣では傷一つつけられない。
「なんだよ、硬すぎだろ!」
俺が焦ると、アルディオンの幻影が俺のそばに現れ、毒舌を吐く。
「当たり前だ、雑魚! そのままじゃただの棒切れだ!
聖剣は、持ち主の心と共鳴して真の力を発揮する!
お前の心に、星の輝きは宿っているのか!」
アルディオンの言葉が、俺の胸に突き刺さった。
信じる心と、仲間との絆――。
そうだ、俺はもう一人じゃない。
ヘタレな俺を、エルナはいつも支えてくれる。
カイトやミナは、陰ながら応援してくれている。
リリアは、謎めいているけれど、なんだか俺を見守ってくれているような気がする。
みんなの顔が、走馬灯のように頭の中に浮かんだ。
俺は、短剣を握りしめ、心の中で叫んだ。
「俺は雑魚だ! でも、俺はもう一人じゃない!
エルナが、みんなが、俺を信じてくれている!
だから……俺は、俺自身を信じる!」
その瞬間、俺の胸に提げたペンダントが眩い光を放った。
そして、短剣に刻まれた星の模様が、まるで生きているかのように輝き始める。
古びた短剣は、夜空の光を纏った美しい聖剣へと姿を変えていく。
その名も、「星降る刃」。
「やった……! これが、聖剣の真の力!」
俺は高揚感を覚えながら、聖剣を構え、ドラゴンの鱗に再び斬りかかった。
ヒュンッ!
鋭い音が響き、ドラゴンの鱗がまるでガラスのように砕け散った。
「やったぞ、エルナ! 聖剣の力、すげえ!」
俺は歓喜の声を上げる。
エルナはブレスをかわしながら、にこやかに微笑んだ。
「あんた、ほんと鈍いんだから……でも、やるじゃない!」
俺とエルナは、互いの動きを読みながら、完璧な連携でドラゴンに攻撃を仕掛ける。
俺が聖剣でドラゴンの鱗を砕き、その隙をエルナがレイピアで追撃する。
アルディオンは、その様子を静かに見つめ、口元に笑みを浮かべていた。
「……見事だ。かつての余たちをも超える連携。やはり、お前たちは……」
アルディオンは、何かを呟き、その姿は星屑となって消えた。
俺は、エルナと背中合わせになり、最後の力を振り絞る。
「いくぞ、エルナ! 最後の攻撃だ!」
「うん! 行くわよ、悠真!」
二人の声が重なり、聖剣「星降る刃」が夜空の光を吸い上げ、青白い輝きを放ち始める。
「俺、雑魚かもしれないけど、仲間は最強だぁぁぁ!!!」
俺は渾身の力で聖剣を振り下ろした。
聖剣から放たれた光は、まるで流星群のようにドラゴンの巨体を貫き、その存在を消し去った。
「星降る一撃」――聖剣の真の力が、今ここに解放されたのだ。
ドラゴンが消え去った後、俺とエルナは疲れ果て、その場にへたり込んだ。
「やったね、悠真……! 私たち、やったのね……!」
エルナは息を切らしながら、俺の肩にもたれかかった。
俺は、エルナの肩を抱き寄せ、
……られるような度胸はないので……優しく微笑んだ。
「ああ、やったな、エルナ……!
俺たち、最強だ!」
試練を乗り越え、俺とエルナの絆は、さらに強固なものへと変わっていた。
そして、聖剣「星降る刃」は、星の力を宿し、俺の心と共鳴する、真の聖剣へと進化したのだ。
試練を乗り越え、絆を深めた俺とエルナは、墓の深部に眠る祭壇に辿り着いた。
祭壇の中心には、光り輝くクリスタルが鎮座しており、それが魔王の封印を維持する「鍵」だと、アルディオンの幽霊が教えてくれた。
「ふん、お前たちのおかげで、鍵の力が増幅された。このままいけば、魔王の封印は維持されるだろう」
アルディオンはどこか満足げに呟いた。
その時、祭壇のクリスタルが不気味に揺らぎ、不穏な空気が墓全体に広がる。
「なんだ……? この不吉な気配は……!」
俺が警戒すると、祭壇の奥から、複数の影が姿を現した。
それは、禍々しいオーラを纏った、魔王の眷属「影の使徒」だった。
「鍵の力が増幅したのを感知されたか!
ついに、ここも見つかってしまったか……」
アルディオンが悔しそうに歯噛みする。
俺とエルナは、聖剣とレイピアを構え、影の使徒と対峙した。
だが、その数は多く、俺たちの力だけでは歯が立たない。
「クソッ、多すぎる! このままじゃ、まずい!」
俺が焦ると、エルナも息を切らしながら応戦する。
「悠真、諦めないで! 私たちがここで倒れれば、魔王が復活してしまう!」
絶体絶命のピンチに、俺は聖剣「星降る刃」を構え、最後の力を振り絞ろうとした。
その時、影の使徒の一体が、俺たちの背後から奇襲を仕掛けようとした。
「悠真、後ろ!」
エルナが叫ぶが、もう間に合わない。
俺は、迫りくる影の使徒に目を閉じ、死を覚悟した。
だが、その瞬間、銀色の光が舞い、影の使徒は霧散した。
俺が目を開けると、そこに立っていたのは、転校生のリリアだった。
銀髪のショートボブが揺れ、紫の瞳が俺をじっと見つめている。
「天城君……大丈夫?」
彼女は、手に持った短いダガーを、静かに構えていた。
「リリア……? なんでここに……?」
出ました!謎の美少女リリアさん!
明らかに怪しいですね!
そして悠真のヘタレ!
エルナの肩をギュッと引き寄せていれば、もっとこうチャンスが……
って何のチャンスでしょうか。
さて、次回はどうなる!?
魔王の封印、影の使徒、リリアの謎…物語はまだまだ加速する! (はず)
また次のエピソードでお会いしましょう!
P.S. 聖剣「星降る刃」のデザイン、キラキラ星モチーフのイメージ、伝わったかな?
絵が描ければ良かったんだけど…