出会いと出会いの騒動 ヨン
「地下牢に居やがったか………手間取らせやがって」
破壊された地下牢の扉―――守衛の騎士が吹き飛ばされてきたところから、二人の人物が顔を覗かせる。
どちらも瘦せ型。しかし、その顔は薄ら笑いを浮かべる白磁の仮面をつけており、表情を伺うことはできない。………また、闇に紛れるように黒いロングコートに身を包んでおり、声の調子でしか、性別を判断することができない。
「おい、『メインプラン』」
仮面の人物(仮に仮面一)は、シュケリに向かって、心底面倒そうに言葉を投げる。
「………っ」
牢を挟んで、仮面一と相対するシュケリは、そんな彼らを引きつった表情で見ている。―――そんな彼女の様子を見た仮面一は、これまためんどくさそうなため息をついて、牢の中に入ってくる。
「『フォーラム』………って言えばわかるな?」
シュケリの耳元まで顔を近づけた仮面一は、ヨミヤに聞こえない程の小声で、シュケリにそう告げる。
「―――!?」
驚愕に目を見開くシュケリ。めんどくさそうな仮面一は背筋を伸ばして姿勢を正した。
「抵抗すれば―――わかるな?」
「………どうなるか、ですか………―――わかりますが、従いたく………ありません」
怯えた目で、それでもシュケリは仮面の人物をまっすぐ睨みつけた。
「チッ………めんどくせぇなぁ」
そういって、仮面一は首を鳴らして――――――シュケリの胸倉をつかんで持ち上げた。
「ぅあ………!!」
「ちっとイテェが―――仕方ねぇよな」
仮面一は大きく拳を振りかぶり―――
「ダーノ避けろッ!!!!」
後ろに控えていた仮面二が、初めて口を開いた。
「ッ!!」
刹那―――
熱線が、ダーノと呼ばれた仮面の人物を掠める。
「ッ………!! 誰だッ!!」
ダーノは、シュケリを乱暴に手放すと、仮面二の位置まで下がり、周囲を見渡す。
「ダーノ、落ち着け。今の魔法は僕の目の前で突然現れた。―――原理はわからんが………おそらく能力の類だろ」
冷静に仮面二は状況を分析し、ダーノへ伝える。―――ダーノも、その言葉をすぐに理解し、能力を行使し得る人物へ視線を送った。
「テメェかクソガキ………めんどくせぇことしやがって………」
「まぁその人には―――色々お世話になったからね」
ジャラ………と、熱線で千切れた鎖を鳴らしながら、ヨミヤは立ち上がった。
「ヨミヤ様………ダメです………!」
「いいよシュケリさん。―――下がってて」
シュケリの前に庇うように立つヨミヤ。
対して、仮面の人物たちは、臨戦態勢で名も知らない邪魔者を見据える。
「おい、フィーガン。―――殺していいんだな」
「あぁ………どのみち、我々を目撃した者は―――消さねばならない」
奈落の復讐者は、暗殺者達と対峙した。
閲覧いただきありがとうございます。
毎年、なんとなく誕生日は休みをもらっているのですが、
今年はそのまま仕事に行ってきました。