剣閃の先に映るは『夜』 サン
ヒカリはシルバーの元へ駆け出す。
全身が血だらけでも、人外の速度はそのままシルバーに迫るヒカリ。
「うおォォォォァァァァァァァァァァッ!!」
「………」
シルバーそんなヒカリを見つめ―――
「『五・受黒の夜風』」
上段からのヒカリの剣を、見事に受け流し―――身体全体を使いながら彼の剣を綺麗に弾き飛ばした。
「なッ―――」
そして、男は無造作に切っ先を突き出す。
「………っ!!」
今度もギリギリ反応が間に合ったヒカリは、さりとて、右の肩口に刃の直撃を許してしまう。
「ッッッ!!?」
声を上げず悶絶するヒカリは、そのまま刃に持ち上げられてしまう。
「………これで詰みだ。諦めるんだな」
「くっ………!!」
足が地面から離れた状態でジタバタと暴れるヒカリだが、もちろん逃げることは叶わないし、何なら、刃が上に向いているせいで、徐々に剣が肉を裂いてしまい、激痛が電流のように体中を駆け回る。
「抵抗するな。―――安心しろ。痛みもなく殺してやる」
どうやら、シルバーは次の一撃で肩をつけるようだった。
首を落とすか、心臓を一突きするか、腰から両断されるか、はたまた脳天から真っ二つにされるか。
いずれにしろ、目の前の男にできない殺し方はないだろう。
「―――………」
ヒカリはシルバーの言葉を聞き、ゆっくりと動きを止める。
「………諦めたか」
男は、ヒカリが『生』を諦めたと思い込み、動き始める。
そして―――
シルバーの前まで上げられたヒカリの拳が、開かれた。
「なに―――」
刹那、閃光の濁流がシルバーの眼球を灼いた。
大量の光は、昼間にも関わらずメフェリトの空を照らして―――
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
目に直接陽光でも入れられたかと思うほどの絶叫を上げるシルバーは、それでも、剣だけは落とさず―――そのまま悶え苦しむ。
「グッ―――オオオオオオォォォオォォォォォォォォォオォォォッ!!!!」
対し、ヒカリも覚悟を決めた咆哮を上げて、
―――刺さっている刃で、無理やり肩の肉を裂いた。
『腕が落ちた』かと思うほどの灼熱の激痛の中、それでも立ち上がり、ヒカリは駆け出して、
「はあああああああァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
シルバーの胸倉を掴んだヒカリは、左腕のみで男を持ち上げ―――背負い投げでシルバーの頭部を地面に全力で叩きつけた。
閲覧いただきありがとうございます。
久々の短めの投稿です。
楽ではありますね!「短すぎないか…?」なんて思ったりしますが。




